ふいうち
午後5時半──
待ち合わせは
いつもの場所
キミから
届いた約束のメール
夜のデートが
うれしくて
寒いの我慢で
おしゃれして
「きれいだよって
言ってくれるかな?」
時間ギリギリまで
キミを想って──
きれいだよって言われたくて──
時計に目をやり
慌ててウチを
飛び出した
街には人が
たくさんいて
右も左も
カップルばかり
ワタシも早く
会いたくて
トコトコ歩いて
キミ探す
10──
9──
突然始まる
カウントダウン
8──
7──
上を見上げる
カップル達
6──
5──
「見つけた!」
4──
3──
大好きな声と共に
あたたかな体温に包まれる
「ごめんね
急いで来たんだけど……」
「しー!」
キミは
わたしの唇に
人差し指を置く
2──
1──
「えっ?」
0!──
街が光に包まれる──
「この瞬間を
一緒に見たかったんだ」
「──きれい」
あまりに
きれいだったから
ただ口を開けて
見上げていた
わたしに──
「周りがきれいだっていう
100万の光より
キミの方が
きれいだよ」
寒いのなんて
どこかに消えてしまった
「ふいうち過ぎて
顔上げられないじゃん
ばか……」
そろそろ光のイベントの季節ですね──