8「七歳になりました」
よっ!この異世界に女の子として転生した俺こと、アルトリア=シューレル。
気軽にアルたんとでも呼んでくれ。
まぁそんな冗談は置いていてだ。
後日談、と言うべきか。
あの後は大変だった。
俺が目覚めると、まず、母様にめちゃくちゃ怒られた、あれは正に鬼の形相と言うべき姿だった。
思い出すだけで恐ろしい。
母様の憤怒が収まった所で、俺が外を出ると、村はお祭り騒ぎだった。
どうやら父様は俺がドラゴンを倒したと言ったらしくて、そのせいか「英雄の誕生じゃー!」とか皆騒いでる。
五歳の子供が倒したとかよく信じるよなぁ…それほどに父様に人望があるのか。
そして、そんな噂が瞬く間に広がり、俺は【金髪碧眼の魔術師】と言う異名がついたらしい。
そのまんますぎだろ、もうちょっと捻って欲しかったわ!
外見にしか触れてねぇんじゃん…ドラゴンを殺した功績皆無なあだ名じゃん…もっとこう~【竜殺しの魔術師】みたいなさぁ…。
けど、村のお祭り騒ぎ以外はなんとも平和な物だった。
五歳の少女がドラゴンを倒したんだから王国からとかなんかあってもいい気がする…やっぱり流石に信じられんのかね。
ま、何もないならないでいいか、平和が一番。
そんな目標を掲げた俺の日々は、淡々と過ぎて行きーー
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
 ̄
二年経過。
「…さて、今日も魔術の練習をしますか」
七歳になりました、アルたんです。
体は順調に成長し、結構女っぽくなったと思う、そして男の夢がつまっている胸の方は少し膨らんだ気がする。
ちなみに体の方だけでなく、魔術の方はこれまでにないくらい成長した。
今の俺はAランクの魔術ならほとんどが使える様になった。
あのドラゴン戦以来、伸び悩んでたのが嘘の様に成長して行った。
Sランクの魔術も少しなら使える。
恐らくだが、世間の魔術師よりか俺は少し強いだろう。
それくらいの自信があった。
はてさて。
今俺が中庭で何をやっているのか、それはこう答えよう。
【固有魔術】の作成である。
つまり、一から魔術を作り出そうとしている。
ちなみに今試そうとしているが【具現化魔術】だ。
何故具現化なのかと言うと、正直な理由を言うと…ほら、カッコよくない?
何か魔術で双剣を一瞬で作り出すとか憧れない?
あのアニメ見たら絶対やりたくなるって、詠唱して固有結界発動したくなるよ。
まぁなんのアニメかは言わないけどさ…。
てことで!実戦である。
「魔力を右手と左手に…均等になるよう…一ミリの誤差もなくかき集めて…」
すると、段々と魔力の塊が形を成して行く。
「そしてイメージ…二つの鉄の剣…そして、固定!」
その瞬間だった。
アルの手には二本の剣が生成された。
「おぉ!出来た!」
俺はその成功に歓喜し、剣を振ると、その剣とんでもなく軽かった。
それはもう紙切れ程度の重さだった。
これ大丈夫かな…。
心配なった俺は近くにある薪をとりそれを空中に投げ「ッ!」切った。
すると、薪は綺麗スパッと切れた。
「な、なんだこの切れ味…」
そんな驚愕を隠せないまま俺の今日の固有魔術作成が終了した。
俺この世界に来てから魔術の練習ばっかしてるなぁ…もっと異世界らしいこと出来ないもんかね。
いや充分魔術とか異世界っぽいけどさ。
でも…でも!可愛いの女の子とかとイチャイチャしたい!せっかくの異世界だぜ!?
ケモ耳ッ子とかエルフ美女とかに会ってイチャイチャしたい。
その為には…
「やっぱ…冒険者になるのが一番なのかね」
俺は密かに、冒険者になりたいと思っている。
この世界を思いっきり旅したいし、俺は理想のヒロインと出会したい。
この村にやってきて七年。
本当にここはいい村だし、居心地もいい。
けど、俺はもっと広い世界に行きたい…前世で出来なかった、人生を思いっきり楽しむ、それが俺の夢でもある。
勿論、その中に可愛い女の子とのイチャイチャも含まれてるがな。
「よし」
俺は覚悟を決め、父様と母様に相談することを決意した。
「っと、その前に風呂だな。
魔術の練習で汗かいちまったし」
俺は風呂場へ行き、ワンピースを脱ぎ、女性用のパンツを脱ぐ…ちなみにシマパンである。
もう女の子の服を着るのに抵抗なくなってんな…やばい、男としてダメな気がする。
いやま、今は女の子だけど…だけど!
いやいいや…何言っても事実は変わらんしもういいや。
「…」
ふと鏡を見ると俺の体が写っていた。
なんとすべすべモチモチな幼女体型だろうか。
てか俺の体これ成長したらいつか直視できなくなりそうだなおい…俺、見た目だけは可愛いし。
そんな感想をのべ、俺は湯船に浸かる。
「ふぃ~…生き返るぅ~…」
と、俺がオッサン臭い声を上げると、風呂場の扉が突然と、ガラ!、と音をたてた。
そこに視線を写すと
「かかかか母様!?え?何で!?」
タオルを巻いて入ってきた母様がいた。
「たまにはアルと一緒に入ろうと思ってね!
いいでしょ?女の子同士たまにはね」
「よくないです!いつも一人で入るとあれほど…」
俺は赤面しながら母様から視線を外す。
その有り余るほどの美しい男の夢を見せないでくれ…正直今にでも理性が持たない。
「アルは本当に昔から裸を見られるのが嫌いよね~」
違います、母様の裸を見るのが耐えられないのです…興奮してしまいます…いやわかっている…俺自身わかっているよ?
実の母親にこんな感情を抱くなんてよくないって…けど俺は前世男な訳で…もしこの下に俺のエクスカリバーがあれば確実にフルスパーキングしていた訳で…何が言いたいかと言うと…
俺の母様がこんなに可愛い訳がない。
「さっ!アル、お母さんの背中流して頂戴」
パサッ…
瞬間、母様の巻いていたタオルが落ち、その美貌が露になった。
「あ…あ…」
「さぁさぁ~♪」
「ッーーーーーーーー!!」
そして俺は、風呂場で天国と言う名の地獄を見たのだった。
いきなり七歳になったアルたん。