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6「なんつってね」

何で…どうして…クッソ!詠唱している暇なんてない!ぶっつけ本番の無詠唱…出来るのか…?いや違う、出来るかじゃない。


やるしかないんだよ!!


イメージしろ!強固な盾を、何もかもを守れるそんな絶壁を、聖なる盾を。

そして全てを返す…最強の盾を。


「クッ!間に合えぇ!!」


そして俺は術名を叫ぶ。


「【ガラハド】!!」


そう叫び終えると共に、父様の目の前には十字架の聖なる盾が出現する。


『グオォオオオオオオオオオオ!』


そしてドラゴンのブレスがその盾に直撃した。


Aランクの防御系魔術。


【ガラハド】


その盾はどんな物でも壊されず、そして全てを『弾き返す』


ドラゴンのブレスは【ガラハド】の盾によって弾き返された。

そして、その炎は『ファントムドラゴン』自身の身を焦がす。


『グオォオオオオオオオオオオオオオ!』



その強さ故【ガラハド】は防御系魔術の中でも高度な魔術である。


燃え盛るファントムドラゴン。

それを呆然と眺めるのは俺と父様。

そして、ファントムドラゴンは、悶え苦しむ。


「間に…あった…」


俺はその場でへたりこむ。

マジで焦ったぁ…てか、成功したよ…。

防御系の魔術は練習してたけどBランクまでしか出来なかったってのに、Aランク、それも無詠唱で、実戦経験が物を言うとはこのことだろうか。


「アルー!大丈夫かー!?」


父様がそう叫びながらこちらに走り寄る。


「えぇ、私は大丈夫です…。

それより父様、まだ終わっていません」


俺がドラゴンに指を差すと、ドラゴンから炎が消えて行く。


「だな…けど、なんでもう一匹ファントムドラゴンが…」


「いや、たぶん違います」


俺は即座に否定した。


「どういうことだ?」


「あちらを見てください…先程いたファントムドラゴンの死体、なくなってます」


「なっ!?」


俺が指し示した先には、先程殺したはずのファントムドラゴンがいなかった。


どういう事だ…?

確かにさっき、奴は殺した。

なのにその姿がない、血すらもだ。


考えられるのはーー


「魔術の可能性がありますね」


「魔術?自身を分身させたり出来るってことか?」


「その可能性もありますが…検証が必要ですね…父様、一分でいいです。

ドラゴンの足止めをお願いできますか?」


「ま、マジか…」


「お願いします!では私は向こうの石影に隠れながらファントムドラゴンのスキルを探ります、では!」


「ちょ!?おいアルー!!」


すまん!父様、ここは任せた。


「あぁクソ!やってやるよ!

さっき助けられた仮を返さなきゃいけねぇしな…っしゃ!来いやクソドラゴン!!」


父様は二本の剣をドラゴンに構え、煽る。

ありがとう父様、マジ助かる!

おっと、やべ早くかくれなきゃ。


「ふぅ…よし、んじゃ」


俺は詠唱する。


「《全てを見通す目よ、今宿れ》【鑑定】」


俺はドラゴンへと視線を移す。


【鑑定】

相手を見ることで、その相手の情報を知ることが出来る。

俺がこの世界に来て最初に覚えた魔術がこれだったりする。


この魔術は無詠唱が出来ない。

イメージする情報が多すぎるからだ。

だから父様には詠唱の時間と相手のスキルの確認をする時間を稼いでもらっている。


「おぉ…父様ドラゴンの猛追を避けきってる…すげぇ…っと、感心してる場合じゃないな」


さて、どんな秘密が隠されているのかな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【ファントムドラゴン】


種族:邪竜


スキル:【幻影魔術】【ブレス】【武器無効】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なるほどね…」


幻影魔術。

つまり名の通り『ファントム』ってことか。


てか【武器無効】って…うわぁ…嫌なもん見た。

これつまりあれだ、父様じゃ確実に殺せない。

そう、武器特化の父様には。


「はぁ…」


俺はつい溜め息が出る。


つまり一番最初に戦ったのは奴が作り出した幻影、なら対処の仕方は…


「行けるか…?魔力に余裕は…個々の魔術は少量の魔力しか使わない…なら」


落ち着け…時間は限られてる…。

今は全てを詠唱している暇はないんだ。

集中しろ…想像しろ…イメージしろ。


複数の魔術のイメージを忘れるな。


「【魔力感知】【魔術態勢】【攻撃力上昇】【攻撃力超上昇】【防御力上昇】【防御力超上昇】【瞬速】…よし、成功」


俺は全ての魔術を『自分』にかけ終えた。

だが、時間は限られている。

精々持つとしても五分。


「選手交代だぜ、父様」


俺の口元は苦い笑いを見せる。


「さぁーー俺の本気、見せてやる」


俺は、ドラゴンの元へ走る。

そして父様の前に堂々と立つ。


「アル!なにやってる!?下がれ!」


「父様、信じてください」


俺がそう微笑みかけると、父様は呆然としながらも俺の後ろに着いてくれた。


いつでも助けるってか…?まったくかっこ良すぎるぜ父様。

俺が男じゃなきゃ惚れてたよ、まぁ今は女の子な訳だが。


んじゃま、やるか。


俺はドラゴンを見て、笑う。


「行くぞ、ファントムドラゴン、炎の貯蔵は充分か…?なんつってね」


俺は初めてこの世界で、本気で戦う。

読んでくださりありがとうございます!


一応説明すると、アルの使える魔術は現在


攻撃系の魔術はCランク。

防御系の魔術は一応Aランク。

強化系の魔術はBランク。

治癒系の魔術がSランク?

その他無属魔術。


となっております。

そして次回!とうとうアルが本気出します。

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