37「一番大きく芽生えている感情」
長らくお待たせしました。
そして、シエルは語り終えた。
…
………
………………お……重いいいいいいいいい!!
いやわかってたけどね!?重い話だろうなぁ…って予想くらいついていましたけどね!?
いやでもこれは流石に重すぎるでしょう…マジかよぉ…もうアルたんのキャパシティ越えちゃってるよぉ…。
よし、とりあえずツェルトに助けをーー
「……」
なーに魔剣に戻っちゃってんのこの英雄様は!?
シエルが俯いてるのを良いことに逃げやがった!こう言う時って貴女みたいな英雄様は励ますんじゃないんですか!?
どうしよう、言葉が見当たらない。
こう言う時ってどういう言葉をかけるべきなのか…俺は考えた。
大丈夫?とか辛かったね?とか、きっとそんな言葉じゃないと思う。
そんな当たり前の言葉が欲しいんじゃない…きっと、きっと欲しいのは言葉なんじゃなくてーー
「へ…?」
俺はゆっくりと、シエルの頭を撫でた。
今までこの子がどれ程の苦しみを味わってきたのか、そんなの俺にわかる訳がないない。
その痛みは、決して共有できる物ではないのだから…だから、今俺に出来る事は、ただ彼女に暖かさを、温もりを、それらをあげることしか出来ない。
よし!
「それじゃあシエル!王都の観光をしましょう!」
「え…えっと…」
「王都は中心都市と言われているんです。
きっと様々な娯楽がありますよ!私は一度その娯楽に触れて見たかったんですよ」
「で、でもボクは…」
シエルは躊躇する。
当たり前だ、これまでの生活を考えれば、誰だってこうなる。
だからこそ、今の彼女には必要なのだ。
感情が、楽しいとそう思える様な思い出が。
「いいんですよ!私がシエルと楽しみたいんです!さぁ行きましょう!」
「え!まーー」
「待ちません!」
俺は有無を言わさず、シエルの手を引っ張り、外に出た。
その後は、ただ遊んだ。
目についた物に飛び付き、二人で遊んだ。
遊んで、遊んで、ただただ楽しい時間を。
そんな、有意義な時間を過ごした。
遊び疲れた俺達は、宿へ戻る。
その道中で、シエルは俺にこう言った。
「ありがとう…ございます!」
その時、俺は初めてシエルの笑顔を見た。
けど、きっとその時の俺の顔に、笑顔はなかっただろう。
まだ、彼女の為にやらなければいけないことがある。
これは、彼女がやるべき事なのだろう。
でも、今の彼女にそんな力はない…なら、俺がそれを変わりにやるだけだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
 ̄
夜、宿屋の扉の外で、俺が空を見上げていると、ガチャリ、と、扉の方からツェルトが出てくる。
「シエルは?」
「寝たぞ」
「そうですか…」
「それで…本当にやるのか?」
「えぇ、既に情報は掴みました」
「…段取りの良さがまるで暗殺者だぞ、アル…」
ひきつった笑みを浮かべるツェルト。
「まぁ間違ってはいないですよ…これからやることを考えれば」
「そうだな、けれど、追われる身になるぞ?」
「大丈夫ですよ、証拠さえなければ」
そう、バレなければなにも問題はない。
証拠も、何もかも、全てなければバレる事はないのだ。
「最後に聞くが、本当にいいのだな?」
「なにがですか?」
「お前はまだ人を殺したことがないのだろう?」
「ええ」
「躊躇はないのか?」
その問いに、俺はただ平然と、こう答えた。
「ないですよ」
何を躊躇する必要がある?
奴はクズだ、聞けば聞くほど、それがわかった。
その時、色々な物が芽生えてきた。
憎しみ、怒り、それらが全て押し寄せてくる。
そして、俺のなかで静かに、そして一番大きく芽生えている感情、それは紛れもないーー
ー殺意ー
「さぁ行きましょう」
すぐに終わるから、待ってて、シエル。
【アルたんのプチ劇場】
4
アル「はいどうも!毎度お馴染みのコーナー…もうさ、この挨拶やめよう、てことで!全然毎度お馴染みでもないコーナー第四回目です!」
ミーニャ「わー!パチパチ!」
アル「えぇ無事、ツェルトとも仲直り出来たので、このプチ劇場もめでたく再開ですね」
ミーニャ「ごめんねお姉ちゃん」
ツェルト「いやいいのだ…これからは平等に扱って貰えるのだから…」
アル「さて、とりあえず久しぶりすぎてあんま覚えてないですけど、確かゲストを呼んでお喋りしちゃうコーナーなので、ゲストカモン」
リコック「あ、こんにちわ」
アル「……え?いいの?久しぶりなのにゲストこの人でいいの?てか皆覚えてないだろ」
リコック「アルちゃんになんか貶されてる気がする」
ミーニャ「パパー!」
リコック「やぁミーニャ」
アル「では、今回のゲストは、女神ミーニャのパパさんこと、リコックさんです」
リコック「まさかここに呼ばれるなんて予想もしてなかったよ」
アル「まぁモブですしね」
リコック「いきなりの言い様!」
ツェルト「同士だ」
リコック「え?ツェルトさんって結構メインなんじゃ…今回も出てるし」
ツェルト「このコーナーで私は初めて今回自分の名前以外の台詞を言えたぞ」
リコック「…なんかすみません」
ツェルト「いいのだ、モブ同士だ、仲好くしよう」
リコック「はい!」
アル「なんかモブ同盟が結成されたな…」
ミーニャ「アルちゃん、私の出番はいつくるのかな?」
アル「んー無能な作者に聞かないとわからないかなぁ…」
…………い、一応プロットは出来てるんだよ…。
アル「……半年感放置した奴が何言っても無駄だかんな、てことで!今回はここまで!でまた!…作者、ちゃんと謝れよ?」
はい…本当にすみませんでした…。