21「エデンの園へと」
やぁやぁ皆、元気かな?アルたんだよ。
最近はツェルトとの関係も深まり、楽しい日々を過ごして…
「うわああああああ!!」
過ごし…
「うぎやぁぁぁぁぁぁあ!?」
すご…
「ひええええええええええ!!」
す…
「死ぬうううううううううう!!」
過ごしてねぇよ!!
現在、俺はツェルトの剣に殺されそうになっている。
ここ数日、俺はツェルトに剣の稽古をしてもらっているんだが…本当この英雄様手加減を知らない!あんだけ叱ったのに何も理解してない!クソ!アルたんヤンデレルート突入するぞこら!?
「どうしたアル、逃げてばっかでは意味がないぞ?」
「そんな事言ったってこんなのどうやって太刀打ちしろってんですか!?」
「たかが三本の剣に戸惑っていてどうする!」
「普通三本なんて使えないんですよ!!
どこぞの海賊一味の剣豪じゃないんですから!!」
ツェルトは三本の剣を使って俺に何回も斬りかかる。
剣を中に投げ、二本の剣で交互に切るとまた空中で剣を投げ、そして先程投げた剣をキャッチして斬りに来る。
んだよあの大道芸は!?
それでいて隙がない…なんで三本の剣をあんな風に使って、隙を作らない動きが可能なんだよ。
あれもはや人間の領域を越えている…あれで三割?もうこの英雄様規格外過ぎて無理だよ!!
「誰か助けてえええええええええ!!」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
 ̄
「はぁ…まったく、だらしないぞアル。
この程度でへばるなど」
「し、死ぬかと思いました…」
ツェルトの猛追がやっと終了し、四つん這いになりながら息がきれる。
ヤバイ…もう…無理…死ぬ…フルマラソン全力で走った気分…いや走ったことないけど。
ツェルトの教え方は無茶苦茶すぎる。
これいつ死んでもおかしくないぞ…けれどーー
「ん~…アルの欠点はやはり、反射速度、体力、読みの甘さ、この三つだな」
流石、と言うべきか、俺の今の欠点を見破る。
「とは言ってもツェルトのあの教え方では私は成長力出来ないと思うのですが」
「ふむ…けれどやはり人は生死に立たされた時、一番力が発揮するのだが…アルの場合は違う様だな。
よし、練習方法を変えよう」
おい、反省の色がなかったってことだよな?
「はぁ…もういいです、早く違う練習方を教えてください」
「よし、では私は一度魔剣の状態になる、それで私を掴んで構えてくれ」
その謎の指示に俺は一応頷いとく。
そして、ツェルトが魔剣になりそれを掴んで構えた。
『よし、掴み終えた様だな』
ツェルトはいわゆる、直接脳内に!?、のあれで俺に話しかけてきた。
初めてこの感覚を味わった時にもちろんその台詞を言ってやった。
「で、この後はどうするんです?」
『簡単な話だ、この状態の私を掴んだアルには私の考えが伝わる様になる。
ならばそれを読んで動けばいい。
そしてそれを体の芯まで叩き込む』
「なるほど…」
ツェルトは言うより体で覚えろのタイプだと思っていたが…真の意味で体で覚えろってこの事だな。
『それではアル、これから私の動きを体現してみろ』
「全力を尽くします!」
そして、俺は神経を研ぎ澄ましてツェルトを構えた。
脳内にツェルトの動きがイメージとして伝わってくる。
右に剣を振り、一度下がり、そして突く。
そこから上に切り上げ、振り返り刺す。
『短剣』の一通りの動き。
頭の中に一瞬で流れてくる。
そして俺はそれを再現しようとする。
だがーー
「ふっ!っ!?」
下がろうとした瞬間に体制を崩しその場でへたりこむ。
『やはりまだ体が動きに追い付かない様だな…アル、もう一度だ』
「はい…」
また挑戦するも…。
「うわぁ!?」
失敗する。
「ぬぁ!」
失敗。
「うっ!」
失敗。
「ひゃ!?」
失敗…何度も何度も失敗を繰り返す内に、俺の体は悲鳴を上げた。
「はぁ…はぁ…もう…無理です…」
『では今日はこの辺りで終了にしよう、続きはまた後日だな』
そう言ったツェルトを腰に刺し、俺はフラフラな状態で家へと帰った。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 ̄
「ふぃ~…生き返るぅ…」
俺は風呂に浸かり、顔がつい緩んでしまう。
あまりの気持ちよさに何もかもを忘れそうになる。
風呂の時間は俺にとって睡眠の次に好きなことと言っても過言ではない。
「風呂…最高」
俺がそんな事を呟くと、開くはずのないお風呂場の扉が開いた。
「だ、誰!?」
俺がそう声をあげ、視線の先に居たのはーー
「つ、ツェルト!?」
真っ白い肌を露にしているツェルトだった。
そのあまりの美貌につい目が釘付けになる。
そして何より、その大きな二つの果実が素晴らしいデスッ!!
「失礼するぞアル」
「ななな何故ツェルトが!?
魔剣の状態で風呂場に置いたはずですが!?」
「アルはなにか勘違いしている様だが、私は別にアルの呼び声がなくともこの姿になることは出来るぞ」
なんですと!?
「ただ眠りについていたから私はこの姿になれずにいたのだ。
一度呼び起こされればいつでもこの姿になれる」
「今まで魔力を注いでた意味!!」
「いや、あれはあれで有り難い。
アルの魔力はとても美味であるからな」
「魔力に味とかあるんですか!?
あぁもう今はそんな事はいいんです!とりあえずタオルくらい巻いてくださいよ!!」
「まぁ良いではないか、女同士裸の付き合いは大切だぞ?それに今日は流石にやりすぎたと思っているしな、そのお礼に背中を流させてくれ」
「い、いや別にいいから!ってじりじりとこちらに近寄らないでください!」
あ…あ…お、俺の理性が…。
「さぁアル、こちらに来るのだ」
ツェルトが俺の腕を引っ張り、その実った大きな果実が俺の腕にソフトタッチされた。
その瞬間、俺の腕は幸せに包まれ、エデンの園へと向かったのだった。
ツェルトさんの裸の暴力炸裂。