表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/41

20「スパルタツェルト」

俺の頭が真っ白になる。

何も考えられない、痛い、痛い、痛い。


「どう…して…?」


振り絞って出た台詞がこれだった。

だがツェルトは笑ったまま何も答えてくれない。


クッソ…!ヤバい…死ぬ…。


死ぬ…?本当に…?


…死んだら次があるのか?


また来世が…あるのか…?


嫌だ…嫌だ!俺はまだ死ねない!!


「クッ!!」


俺は腹に刺さっている剣を掴む。

手が真っ赤に染まるが、そんな事を気にしている程余裕はない。


「抜っけろおおお!!!」


火事場の馬鹿力と言えよう、剣を抜いた。

そして俺は速やかに剣を生成し、一歩引いた状態で剣をツェルトへと構える。


腹の血が収まらない。


クソ…こんな状態で戦うって言うのか…?


「っ!?」


あまりの痛さにもはや立てることが出来なくその場で膝をつく。


ヤバい、動けない…もうダメだーー


俺がそう諦めようとしたその時だった。


「ん~やはりアルは反応速度に難ありの様だな、よしそろそろいいか」


ツェルトが訳のわからない事を言う。

それと同時に「あれ…?」何故か俺の腹の傷、いや傷所か血の後すらなくなっていた。


「えっと…どう言うこと?」


急な出来事に脳がついて行けず、俺は問う。

すると、ツェルトは手を合わせて言う。


「本当にすまん!アルの反射速度の確認をしたいが為に【幻影魔術】を使ってしまった」


「はい?」


「本当にすまない!!」


えっと…つまり俺の反射速度を見るが為に【幻影魔術】で俺が死ぬような思いをして…て言うか死ぬ覚悟をして、それでそれが嘘だったとか、そんなふざけた事を抜かしてやがるんですか、この英雄様は?


は…はは…。


「ツェルト」


「な、なんだ…?」


「正座」


冷たくいい放つと、ツェルトは涙目になりながら正座した。


この後俺が激怒したのは言うまでもあるまい。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「よぉーし!では剣の練習開始と行くか!」


ツェルトはわざとらしく元気に振る舞う。

頭の上にあるたんこぶは痛くないのだろうか?大丈夫かなぁ…心配だなぁ…え?お前がつけたんだろって?え~…そんなぁ…。


そうだけど?


「ツェルト、次あんな練習方法を実戦したらわかってますよね?」


「わかった!わかったからその拳をしまってくれ!怖いぞ!?だって仕方ないじゃないか!?昔私はこんな教え方しかしてこなかったのだから!ま、まぁ確かに皆すぐに私の元から離れて行ったが…」


だろうな!そりゃそうだよ!

あんなスパルタ方針でやられたら誰でも辞退したくなるわ。

いくら【幻影魔術】とは言え精神病む。

アルたんヤンデレルート突入するぞ。


「はぁ…とりあえず【幻影魔術】での恐怖体験はやめてくださいね?寿命が縮みましたよ…まったく…」


「う、うむ了解した!……アルは怒らせない方がいいな…いつもの可愛らしい容姿とは裏腹にあれは悪m…「なにかいいました?」なんでもない!!」


どうやら俺の笑顔はお気に召した様だな。

そしてツェルトは「コホン」と咳払いを一つ挟んで気を取り直す。


「では、模擬戦形式で稽古をつけよう」


「それが無難ですね」


「だが普通の模擬戦ではない、アル、お前は全力でかかってこい」


「全力で?」


「あぁ、お前の本業は魔術だろ?

アルの父上とは剣技のみでやってた様だが、私とは魔術も剣もありでいいぞ、逆に私は三割の力で相手しよう」


ほほう?随分となめられた物だ。

いくら英雄様とは言え、俺はこう見えても【金髪碧眼の魔術師】とか言う異名を持つくらいには強いんだぜ?


…やっぱりこの異名チェンジお願い出来ないかな?


「いいんですか?ツェルト。

後で泣いても知りませんよ?」


「泣かせられるものならな」


言うじゃねぇか。







「アルトリア=シューレル、全身全霊を持って行きます!!!」







この後、俺がぼろ雑巾の様にボコボコにぶちのめされたのでした。


いや調子に乗って本当すんませんした。

アルを楽々倒しちゃう鬼強いツェルトさんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ