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12「指一本触れさせねぇ」

俺は森の中に入る。

村の人達が何か言っていたが関係あるものか。

今はミーニャが最優先だ。


さて…何処にいるのか。

闇雲に探した所で見つけられとも思えない。

ならここは…


俺は一旦立ち止まり、集中する。


「《対象、人間》【探知】【瞬速】【跳躍】【千里眼】」


四つの魔術を自分にかける。


そして、早速【探知】の魔術に誰かがひっかかる。

この誰か、なんて一人しかいないに決まっている…。


俺は【千里眼】で【探知】にひっかかった森の奥を見据える。


「いた!!」


ミーニャはやはり森にいた。


「ん…?あれはっ!」


更に、ミーニャの近くには魔獣がいた。


俺は【跳躍】を使って木の上を登り【瞬速】を使ってミーニャの元へ急いで向かう。


間に合え!間に合ってくれ!


木々を抜けた。


その瞬間、俺の目に飛び込んで来たのは、狼がミーニャに襲う瞬間だった。


「ミーニャから離れろおおおおおおお!」


【具現化魔術】!!


俺は鉄の剣を生成する。

そして瞬時にミーニャの前に立ち、襲い掛かってきた狼の目は牙を剣で受け止める。


「もう…大丈夫だよ」


「アル…ちゃん?」


怪我はないな…大丈夫。

俺が絶対に、守ってやる。


俺は狼に『殺意』を向けた。


「覚悟は出来てるか…?クソ犬ッ!!」


この時のアルは、ただ殺意に満ちていた。

【具現化魔術】で生成した剣を握り、抑えていた狼の牙を上に上げる。


「死ね」


それは一瞬の交差だッた。

アルの放ったその剣は狼を真横から切り捨てた。


飛び散る血は、アルの金色の髪を染める。

それと当時に、アルは周りの殺気に気づいた。


周りを見渡すと


『ガルル!』

『ガウゥゥウ!』

『ガアアア!!』


そこには、数えきれない程の赤い狼がいた。


「そっか…確かお前ら『オーガウルフ』とか言ったな…その特徴は、仲間の死を嗅ぎ付け、集団でその殺した相手に襲い掛かるとかなんとか…」


『オーガウルフ』

赤く、鬼の様な色をした狼。

その一匹一匹の牙は狂暴かつ野蛮。

更に集団で行動し、狙った獲物は骨ごと食らいつくすと言われてる。


討伐難易度は『A』級だ。


だが、今のアルにはそんなことはどうでも良かった。


アルはミーニャに背中を見せ【具現化魔術】で剣をもう一本生成する。


二本の剣を握り、アルはその憤怒の心を声に込めて叫ぶ。


「さぁ来いよ!!お前ら全員殺してやるからよぉ!!」


(ミーニャには指一本、血の一滴だって触れさせねぇ!)


そして、オーガウルフの群れは同時にアルを襲う。


(まずは…前の二匹…)


アルは前の二匹に狙いを定め二つの剣を同時に突き刺した。

二匹は目を潰され、その場で倒れこむ。


そしてアルは再び剣を二つ生成し、その剣を奥にいる二匹に 投げた。

鋭く放った剣には【サーチ】を付与していた。

狙いは確実に、外れない。


二匹のオーガウルフは胴体の心臓部分を刺され即死する。

アルはもうその生死を確認すらしない。

アルはミーニャの方に視線を向け、その先にいた三匹のオーガウルフに無詠唱で魔術を放った。


その瞬間、三匹のオーガウルフの顔が吹っ飛ぶ。


Aランク魔術。


【エアショット】

空気の銃弾、魔力によって撃てる数は決まっており、同時撃ちも可能。

その威力は相手を『即死』させる程。

だがこれは魔力の調整が難しいため、使える人は少ない。


それをわずか七歳にして扱うのは【金髪碧眼の魔術師】アルトリア=シューレル。

彼女(彼)のその力は間違いなく、天才と言う枠の中じゃ収まらない程の才能を持っていた。


その魔術師の逆鱗に触れたオーガウルフ達は、不運と言うべきなのだろう。


アルは再び剣を生成し、オーガウルフの群れに突っ込んで行く。


一匹、二匹、三匹、四匹、もう数えられない程のオーガウルフ達を切って行く。

その姿は正に【剣鬼】と呼ぶそれに相応しい。


そして、ミーニャに襲い掛かるオーガウルフ達を、的確に【エアショット】で頭を飛ばして行く。

周りは血で染まり、アル自身も。


だが、ミーニャには一滴の血もついていない。

アルはそこまで計算した上でオーガウルフ達を殺していた。

ミーニャにとってその計り知れないアルの強さは、頼もしかった。


美しい剣劇、いつの間にかミーニャはその剣に魅了され、血の臭いなど気にしていなかった。


「うおおおおおおおおおおおお!!!」


アルは雄叫びを上げた。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「はぁ…はぁ…」


何十分、いやもしかすれば数時間。

どれくらい経ったのか、それすら理解出来る余裕がなかった。


アルは周りを眺めた。

そこにあったのは、もはや数えきれない程のおぞましい死の大群だった。


「全部…俺がやったのか…」


アルはその事実を呟いた。

全てアルが殺した、全身を血で染め、もはやその姿にアルの面影がない。

美しく輝く髪も、血で赤く染まっていた。


「うっ!!」


その瞬間に、アルはとてつもない吐き気に襲われ、その場に四つん這いになる。

死体から発せられるその臭いと、血が空気となってアルの体を襲う。


アルは両手で口を抑えて、その吐き気を全力で押し込んだ。


「はぁ!はぁ…!」


上手く呼吸が出来ず、汗がポタリと何粒も落ちた。

落ち着くと、アルは後ろを振り返る。

その先にいたのは、ミーニャだった。


(良かった…無事だ…)


ミーニャはこちらをずっと見ており、アルはゆっくりとミーニャに近付いた。


アルはミーニャの前に立ち、優しく微笑み手を伸ばした。


「帰ろうか…ミーニャ」


「…うん」


ミーニャはアルに怯えることなどなく、目に涙を浮かべて手を握ったのだった。


俺がミーニャを村に連れて帰ると、村の人達がこちらに駆け寄り身を案じてくれた。


ミーニャはリコックさんに抱き締められ、俺は父様に「頑張りすぎだ…馬鹿」と、言われ、抱き締められた。


完全に安心したのか、俺は眠った。

その眠りはとても心地よかった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

翌日の朝、それは突然だった。


「アルちゃん!朝だよ!」


俺はその可愛らしい声に起こされた。

まだダルく眠け気がとれない朝、目を擦り声の先に視線を向けると、ミーニャがいた。


「どうしたの…?朝から…ふぁ~」


俺がだるそうに聞くとミーニャは言った。


「アルちゃん!私に剣を教えて?」


「あ?」


俺はしてたあくびを途中で止め、疑問系のあくびに変わる。


「私ね、昨日のアルちゃんみて思ったの!

すごいな、カッコいいなって。

だから私もアルちゃん見たいにカッコよく剣を使える様になりたいの!ダメ?」


「え、えっと…」


どうやら俺の剣は、ミーニャに火をつけてしまったらしい…。

今回戦闘シーンガッツリ描いてみました。

この小説は女の子とのイチャイチャとアルのチートな戦いッぷりがメインです。

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