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10「ミーニャとおままごと」

「はぁ!!」


俺は木剣で父様の懐に潜り込み、そして下から上げるように切り伏せる。

だが、父様は読んでいたと言わんばかりに、一歩バックステップし俺の剣先をよけた。


「チッ!ならーー」


俺はもうひとつ余っている方の手に【具現化魔術】を使う。

そこにもう一本の木剣が生成され、それを強く握る。


そして一回転し、遠心力を応用して父様の脇腹に木剣を振るーー


だが…


「相変わらず読みが甘いな、アル」


父様は持っていた木剣で俺の剣を防いでいた。

更に、いつの間にか父様の拳が俺の顎の下で停止していた。


「…負けました」


「じゃあ、今日はここまでだ」


父様は笑いながら家の中へと消えた。


父様と剣術の稽古をしてて思う。

強すぎだろ!?なんだよあれ!チートですか、そうですか。


「はぁ…読んでも読んでもその先を行かれる…」


課題は増えて行くばかりだなぁ…。

よし、んじゃ俺も一休みーー


「アルちゃーん!あーそーぼー!」


「ん?」


中庭の外から聞き覚えのある声が聞こえた。

確認しに行ってみると、そこにはやはりミーニャがいた。


ミーニャとは最近友達になった栗色の髪の毛が特徴的な女の子だ。

この世界で初めて出来た同い年の俺の友達で、俺の剣術の稽古が終わった後に必ず遊びに来る。


「アルちゃーん!!」


「わぁ!?」


ミーニャは俺に飛び付いてくる。


「アルちゃ~ん♡」


「み、ミーニャ離れて…」


俺は少し頬を染めながらミーニャに言う。


すると…


「うっ…あ、アルちゃんはミーニャのこと嫌い…?」


そんな潤んだ瞳で見ないでくれ、いや可愛すぎるから、全力で愛でたくなるから。


「そ、そんな訳ないよ!私はミーニャの事大好きだよ!」


「アルちゃん…!私もアルちゃんだいだいだいだーいしゅきー!!」


ミーニャは俺の頬にスリスリ…。


俺にロリコンになれと?てかなんで俺こんなになつかれてるんだろうか…。

まぁ悪い気はしないが、いやむしろ最高…んん…自重しよう。


「それでミーニャ、今日はどうしたのかな?」


「あ!そうだった!」


あ…ロリ肌さらば。


「今日はアルちゃんと遊びたいの!」


「そっか、じゃあ何して遊ぶ?」


俺がそう聞くとミーニャは「んっとねんっとね」と、口元に人差し指を置いて考えてる。


可愛いなぁ…。


「決まったぁ?」


俺は子に向けるかの様な微笑みを向ける。

ちなみに勘違いしないで頂きたい、俺が少し特殊なだけで、ちゃんと同い年である。


「うん!おままごと!」


「いいよ~それじゃおじちゃんの部屋行こっか~」


「おじちゃん?」


俺はミーニャの手を引いて自分の部屋につれて行く。


そして俺は扉の鍵を…


ーガチャリー


閉める。


「ふ…ふふ…」


これでミーニャの可愛さは俺が独り占めだ。


「アルちゃんアルちゃん」


「ん?」


「アルちゃんはお父さん役ね!

私はアルちゃんのお母さんやるから!」


なんて最高の役割なんだ。


「わかった、それじゃ私がお父さんね」


「うん!じゃいくよ~?始め!」


ミーニャの掛け声と共におままごとは開始された。

ミーニャは俺のベッドで手をわなわなと動かしている。


あれかな?ご飯の準備かな。

よし、それじゃ全力でお父さん役、やらせて貰うぜ。


「ただいま、ミーニャ」


「おかえり!あなた!」


「あ、ミー「ちゅ♡」ニャん!?」


俺はとてつもなく声が裏返る。

左の頬に柔らかく暖かな感触が残る。


え?今、え?ちゅ…ちゅって…ちゅって…。


俺は顔を真っ赤にし、頬を擦りながらミーニャを見る。


「ニヒヒ~♪おかえりのちゅー!

パパとママがいつもやってるの!」


ミーニャのパパママさんなんてものミーニャに覚えさせてるんだよ!?

こんなの即萌え殺されるわ!!

まったく…俺だったから良かったものの…他の男なら今すぐ襲われてもおかしくないぞ!


ん?いやでも女の子同士のキスは挨拶みたいなもんとか聞くし別にいいのか?だとしたら最高かよ。


だが注意は必要だ!


「そ、そっか…でもミーニャ、そう言うのは簡単にしちゃダメだよ?」


「大丈夫!アルちゃんにしかしないから!」


守りたい、この笑顔。

もうなにこの子、俺の嫁にしていい?

いいよね?答えは聞いてない、てか異論は許さん。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

そして、俺とミーニャはたっぷり遊んで疲れた後、ミーニャは家でご飯を食べて帰って行った。


「アルちゃん!だいしゅき!また明日も会いに来るね!」


俺はお風呂場で先程帰り際に言っていたミーニャの台詞を思い出す。


「大好き…大好きか…んふ…ふふ…ふふふブクブクブクブク…」


俺は湯船にブクブクと泡立たせ、隠しきれない喜びを現す。


「明日が楽しみだ」


そして、次の日…








ミーニャは来なかった。

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