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BBQ

遅くなってしまっちった…


ギャグ回


「お、驚いたな………」



 後ろから恐る恐る近づいてくるのは先ほどの男達だ。未だベヒーモスの再生を警戒しながら、パーティ全員でこちらに寄ってくる。



「し、死んでいる…んだよな?」


「心臓部の核を体諸共真っ二つにして生きてたらもうどうしようもないだろ」


「た、たしかに……」



 剣の切っ先でちょんちょんとベヒーモスをつつく彼。数秒して、ようやく死んでいると確認できたのか警戒心を解いた。



「いや、しかしすごいな君は。これほどの大きさのベヒーモスであればランクはS+はくだらないだろう。それを一切りの元に半分にするとは………」


「そりゃどうも。後ろの……パーティ?の皆は無事か?怪我とかないか」


「は、はいです!」


「だ、大丈夫です」


「………………(コクン)」


「ならいい」



 一応、治癒の魔法は使えるので怪我でもしていたら治してやろうと思っていたが、大丈夫なようだ。みんな怪我の一つもおってないらしい。



「さて………これをどうしようかな」


「どうするって……ギルドに連絡して取りに来て貰えばよくないか?悪いが僕たちのパーティにはまだ『ボックス持ち』がいなくてね…」


「違う違う。別に持って帰るのなら人手呼ばなくても私が運べるし」


「あ、あの戦闘能力を持ちながら『ボックス持ち』なのか………だがそれなら何をしようというんだい?」


「決まってるだろ」



 スキル『売買』発動。


 ドサ、と少し重量感のあるものが虚空から出現した。



「焼肉だ」



 それは、バーベキューセットだった。





 ☆☆☆☆☆☆☆




「…………」


「…………」


「…………」


「…………(もくもく)」


「………っ…(イラッ)」


 鑑定した時の説明文で美味いという一文があるだけで食べようと提案するには充分であったが、彼らはそれに待ったをかけた。


 骨は加工屋に、肉は商業ギルドに、真っ二つに割れた魔石は討伐証明としてギルドに。解体費などは別途かかるが、それらを差し引いても有り余るほどの金が手に入る、と。


 知るか。


 私は、今、こいつを食いたいのだ。


 彼らの制止を振り切り、準備を進めていった。包丁の代わりは刀で補う。体術スキルのおかげか、思うように切れたのはありがたかった。


 肉だけじゃ物足りないので『売買』で適当に野菜と紙皿と調味料を買った。そしてバーベキューセットを使って切った肉を焼いていく。


 で、だ。


 そこまでは良かった。ただ、食べるときになると彼らは遠慮しがちに遠目でこっちを見てくる。お前らも食べろというと、そういうわけにはいかない、と。なぜならあのベヒーモスを倒したのは実質君一人だけの力であるからだ、と。


 しかし飯食ってる目の前で物欲しそうな目で見て来られるほど最悪な気分になるものはないだろう。もう一度食えと促す。


 そして、



「…………」


「…………」


「…………」


「…………(もくもく)」



 この有様であった。茜は完全に肉を焼く係となってしまったのだ。



「…………」


「…………」


「…………」


「…………(もくもく)」


「……おい」


「「「「はひ?」」」」


「なんか喋れや」


「ふひまへんむひゅうになっへまひた」


「おいひいのれふ!」


「ほんほにおいひいわ」


「……………(コクン)」


「口ん中全部飲み込んでからじゃボケ!」



 叱咤すると慌てて紙コップに入った水を飲み出す彼ら。



「てめぇらのせいで私が食いそびれてんのわかってるか?あぁ?」


「いや、でも仕方ないですよ!こんな美味しいのは初めてですよ!いやぁ、ベヒーモス ってのはこんなにも美味いんだなぁ!」


「です!」


「はい!」


「(コクン)」



 適当に塩とコショウでいい感じにフィーリングで焼いただけだがまあ美味いのなら良かった。しかし食いすぎだ。私も食いたい。



「そしてこの……源タレ?っていうのも最高です!なんですかこれは!味の暴力ですよ!」


「です!」


「はい!」


「(コクン)」



 当たり前だ。上◯農産加工スタミ◯源タレ。これ以外、私は焼肉のたれと認めない(過激派)。


 まあこの時の茜は知る由もなかったが、この世界ではそもそも調味料が貴重だ。砂糖なんて貴族しか食えないくらいの高値で取引されている。コショウも少し高めだ。一般的な調味料といえば塩しかないのである。

 そんな世界でこんな味の濃いものが出たらどうなるか。


 前例が無いため言葉で表すことができないのだ。



「まあ美味いのは良かった。よし、次は私の番だ、休みたいし、焼いてくれ」


「「「「えっ……」」」」


「なんだよ、散々私が焼いたろ。それ真似すればいいんだよ」


「俺らは焼いてるところは…」


「見てなかったりするです…」


「お肉が美味しかったので…」


「………(コクン)」


「てめぇら……」



 清々しいほどの釈明で、もう怒るどころかため息しかでなかった。



「仕方ねぇ……おい、そこのお前」


「は、はいです!」


「名前は?」


「ス、スーモです!」


「スーモだぁ?」



 脳裏をかすめるは某緑色の生物。



「とりあえず焼き方教えるから、覚えろ。いいな?」


「はいです!」



 こうして、茜が肉にありつけるのは数時間先になったのであった。











語尾にですつける少女の名前はスーモらしいです


この世界でも週七日で翻訳では今日曜なので翌日は月曜日です

つまりこの日が終わったらやっと学園に行って公爵令嬢できるわけです、はい

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ここまでスクロールした人に感謝を
死神は地球に転生したあと、異世界に転移しました
とか
現実は異世界よりファンタジーファンタジーしてました
とか連載中ですのでこちらもどうぞ
気に入ってくれた方はブックマーク評価感想をいただけると作者が狂喜乱舞したのち執筆スピードが上がるとか上がらないとか
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