トレーニング
次回予告はあとがきに書こうかと
さて、リリアが起きてから色々怒られた茜。まあ、あの性格だから別に怖くもなんともなかったわけだが。
現在彼女は、ようやくリリアの説教から解放されて
「暇だ」
暇を持て余していた。
「なんもねぇな」
(言われてみればそうですわね)
改めてアナスタシアの部屋を見渡して見ると、資料やら何やらばかりで、小説など玩具などぬいぐるみなどがまるでなかった。
この時代の人間はどこもこうなのかとも考えたが、そういえばアナスタシアは王子様とやらの仕事を受け持っていたのだったなと思い出す。要するに、嗜好品やら何やらを楽しむ時間もなければ買う暇もないほどの激務だったのであろう、と。
「しゃあなし、か」
(…………?)
寝転がっていたベッドから起き上がり立ち上がっておもむろに伸びをする。
そして
「んしょ」
(???????????????)
脱いだ。
ぷるんっ、と。抑えめな脂肪が露出する。反射的にアナスタシアは茜の意思とは勝手に胸の周りを風魔法による光学的に見えなくした。
(な、何をしているんですの…?)
「いやぁ、筋トレでもしようかなって」
そう言って手のひらとつま先だけで体を支え、腕立て伏せを開始。
(……??な、なぜ脱ぐ必要があるのです???)
「いや、邪魔じゃん」
アナスタシアの動揺など意に解せず、脇を締めてひたすら腕立て伏せをする。しかし、いくらやれども疲れが訪れず、片手でやってももう片方の手で鼻をほじれそうなほど余裕であった。
それもそのはず、強化されきった体の前では、自重トレーニングなど何の糧にもならないのだった。
「…そうか。私のステータス人類最強だったな…腕立ても腹筋も意味ねぇのか……」
(その前に恥じらいというものをですね…)
「は?だってここ自室じゃん」
(それはそうですけれど………)
アナスタシアは、なんというべきか言葉を紡ぎ損ねた。あちらの世界の方々はトレーニングをしたいときは裸になるのだろうという間違った認識をアナスタシアに植えつけてしまう。
「しっかし困ったなぁ」
筋トレは意味がない、と分かったら本当に何をすればいいのか皆目見当もつかない。
なぜならば筋トレは彼女の日課であるからだった。週に一度はジムにも通っているほどだ。
うーん、と悩んでいると、ふととある国民的少年漫画を思い出す。
「そうだよ、重力室だ!」
(とりあえず服を着てくれません?)
「うっせぇなぁ!分かったよ」
スキル『創造』で、トレーニングウェアを出現させ、それを着る。ついでにヘアゴムも作り出す。髪を後ろに集め、ゴムでぐるぐるぐる…パチンッ、ポニーテールの完成である。
「さぁて、まずはこの部屋だ」
まずは魔法で異界化。どのような負荷にも耐えられるようにする。この瞬間、この部屋の中はこの世界で一番安全な場所になった。家具は固定、傷まないように魔力で保護。
これで準備は完了だ。
「そうだな、とりあえず1000倍にしよう」
(重力を1000倍にしたらどうなるので??)
「こうなるんだ、よ!」
指をパチンと鳴らす。
茜の体を1000Gの衝撃が襲う。骨は耐えきれず悲鳴をあげ、血液は下へと移動、立っていることすらままなら
「なくないな」
(私が神格に機能により計算したところ、1000倍程度じゃなんの負荷にもならないらしいですわ)
こう、体にズンッとした重さがのしかかるかと思いきや、別になんの変化もなく少しがっかりな茜。
「じゃあどんくらいならいいんだよ」
(えぇと、このくらいかと)
直後、期待通りの衝撃。
身体を動かそうとするも、ゆっくりとしか動けない。ふつうに立っているだけで汗がジワリと滲んでくる。茜は何かに感動したかのように口を動かした。
「……こ」
(こ?)
「これだよ!これこれええええええぇぇぇぇぇ!!」
狂ったように自重トレーニングをやりだした茜。心拍数を限界まであげたり、そこから8割を維持してサーキットトレーニング。
その間、茜は常に他人がみれば思わず釣られて微笑んでしまうほどの笑顔であった。……汗だくで。
こうして、茜のトレーニング問題は解決したのである。
次はテンプレ。Sランクの魔物倒して焼肉
そして時間は経過してるのにまだ小説内の日にちは進んでいないという