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短編集  作者: 谷川山
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遠く離れていても、あなたの側に

 母親から、「都会は寒いらしいから此れでも着けて温かくしなさい」とネックウォーマーが届いた。

 シンプルなデザインの、自己主張しない子だった。


 仕事に着けていくにはちょっとどうかと思ったけれど、私服の時ならばいつもウニクロ一式のようなものだから良いかとクローゼットの中に置いておいた。



 「初雪が降りそうです」と朝からニュースでやっていた休日、体を動かそうとジャンパーを羽織り、送られてきたネックウォーマーをせっかくだからと身につけて、暫く乗っていなかった自転車にまたがり川沿いの道を走る。



 それにしても、寒い。

 風は無いが、曇り空でとにかく冷える。


 首に巻いていたネックウォーマーに手をかけて口元を覆うまで持ち上げる。


 温かい。いつも要らない物ばかりしか送ってこないと思っていたのに、こればかりは有り難いと思う。



 しかし、なんだ、とても懐かしい気がする。

 なんだこれ。


 匂い…かな。

 懐かしい匂いの気がする。


 実家の線香混じりの匂いではない。


 なんだろう、これは。

 思い出せそうで思い出せない。そんなもどかしい思いにかられる。


 実家にいた頃に嗅いだ匂い。

 子供の頃によく嗅いだ匂い。

 あの頃の、懐かしい匂い。



 あぁ、そうか。これは、この匂いは…


 「嶋邑〈しまむら〉の匂いだ」




遠く離れていても、あなたの側に

 fashion center 嶋邑〈しまむら〉

同級生の島村君、なんかごめん。いろいろと、ごめんなさい。

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