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白くなったキャンバスに再び思い出が描かれるように  作者: さかき原 枝都は
白くなったキャンバスに再び思い出が描かれるように
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姉貴からの電話


     ***姉貴からの電話***


 ある暑い日、姉貴から電話があった。お袋から事使っていたらしい。


 結局僕はお盆実家には帰らなかった。

 バイトがあるだの、友達と予定を組んでしまっただとと言い訳を付けて。


 そして沙織は、ナッキと共に彼女の実家に遊びに行った。沙織はナッキの実家には何度も顔を出していて、ナッキの両親からはもう一人娘が出来たと実娘同様の歓迎を受けていた。


 「達哉、結局あんたは今年も来なかったのね」


 「俺だっって、そんなに暇じゃないよ。バイトだってあるし……」


 「ほら、都合悪くなると必ず何かのせいにする。少しはもっと自分を変える努力しなさい。もっとも、貴方がここに来れば美野里ちゃんの事想い出すからと言われれば、私からは何も言えないけど」


 声のトーンを下げて「そんなんじゃないよ」


 咲良ちゃんが鳴き声を上げる。「え、なんだって聞こえないわよ」


 「そんなんじゃないって言ったんだよ」電話口で「あなた、咲良お願い。ハイハイ」と鳴く咲良ちゃんを一緒にいる兄さんにゆだねる声がする。


 「そんなんじゃないって、他に何かこれない理由でもあるの。それとも彼女が出来たとか」少し意地悪そうに

 「ば、ばかな……」「あ、当たっちゃった」


 反論が出来ず無言になる。それが確定として受け取られる。


 「よかったじゃない達哉。私は嬉しいよ、あんたに彼女が出来て」


 「姉貴……」  


 「でもね、私もさ結婚してあの人の妻になって子供が出来て、毎日自分の夫と子供の世話をしてふと思うの。母さんもこうして私たちを一生懸命育ててくれたんだなって。だからって言う訳じゃないけど、少しは母さんの事も考えてやって」


 「…………」


 「あの時、母さんが電話した時、母さん今年は達哉帰ってきてくれるかなぁって嬉しそうに期待しながら電話したんだよ。でもあんたは、はっきりさせないまま来なかった。


これないならこれないって。彼女いるから、彼女と過ごしたいから来れないって。母さんにそうはっきり言えばいいじゃない。そういってくれれば、母さんもあんたがこなくても本当に喜んでたと思うよ」


 「うん……」


 「何もそんなに、神妙にしなくても。それよりあんた彼女ともう寝た」「な、なにいきなり」


 相変わらず姉貴はオープンというか、あけっぴろげな性格は結婚してから加速度を増していた。


 「あははは、まっ若いうちはそれがお勤めだからね。避妊だけはちゃんとしておきな。それと母さんから頼まれてたんだけど……」


 「うん、解った」


 「そうだ、落ち着いたら今度その子連れてきなよ。挨拶とかそんな堅苦しい事じゃなくてさ。喜ぶと思うよ母さんも、私もあってみたいしね」


 「うん、その内」「うん、それじゃね。頑張って」「うんそれじゃ」


 思いがけず、姉貴に彼女がいる事を打ち明けてしまった。



 そして、後で電話じゃなく手紙を書こうと思った。俺らを一生懸命育ててくれたお袋に。


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