ワーゲンゴルフ社
ワーゲンゴルフ社の尾張小牧ナンバーは、希少なものである。
パナソニックから、谷田と楠木、黒澤と花に車をわかれた。
今回の名古屋での不測の事態に、神戸マフィア小林から、「犬山城を通って帰るように」と言われた。
黒澤の運転を、楠木が不満そうに見送った。
「何か、曇っとる」と、花がフロントガラスから空を見た。
すると、黒澤の携帯が大音響に鳴った。
黒澤が、いきなり急ブレーキを踏み車を歩道に乗り上げた。
花のシートベルトが、キュッと閉まる。
後ろからついてきた車から、谷田と楠木が降りて来た。
「もう、無理やわ」と、楠木が、助手席のドアを開けたのと、谷田が運転席から黒澤を出すのが同時だった。
早急にホテルを探せ。 星いずみ。
黒澤の携帯の表面には、テロップが流れている。
横からのぞいた谷田が、「何でまた」と、怪訝そうな声を出した。
ワーゲンゴルフ社の車の運転席に座ろうとしていた楠木に、谷田が「楠木!ホテル」と言った。
「OK!」と、楠木は言うと、車の運転席に入りながら、「ホテルはラブホ、ラブは俺の花」と、カーナビをつけた。
「は、ひ、ふ、へ、ほだろ」と、楠木が打ち込むと、花が、「寄り道じゃけ?」と聞いた。
窓から花が外を見ると、黒澤がタバコを吸いながら、谷田と話しているのが見えた。
蛍からの電話で、「空港じゃけ?」と花が聞くと、蛍が、「朝食は付けるじゃけ?」と言った。
花が黒澤の方を見ると、運転していた楠木が、「付けよ~よ~」と言い、「はい、小牧JCT」とハンドルを回した。
「お客さん、支払いはIDで」
楠木がにこりともせずに言う。
後ろの座席の花が、「わかりました」と言うと、黒澤にたたかれた。
蛍が、「皆伐さんもいるじゃけ」と言うと、「OK」と楠木が言ったあと、「花、電話切って」と言うので、花は、「じゃ」と言って、蛍との電話を切った。
名古屋高速は空いていた。
名古屋に入ると、夕焼け雲が出ていた。
花が、その高いタワーマンションを見上げていると、黒澤が、「天空の城じゃけ」と言った。
谷田がぴったりと後ろに張り付いて車を運転しついて来ている。
「何が、天空の城」と、一人言って谷田はラジオをつけた。




