「歌の心」採点機
カラオケ採点の技術は著しく向上し、
「歌の心」までも、採点出来るようになった
今までは、歌手本人が歌っても100点にならないことがあった
聴衆の心に響き、感動させる歌声も
歌の技術力だけ判断され、高い点数にならなかった
逆に採点が100点でも、その歌声がヒットするとは限らず、
人を感動させるとは限らなかった
人々のその不満を、技術の進歩は一気に解消した
「歌の心」採点機が現れた
どんなに上手い素人より
本人の歌声に100点が付けられた
高い技術力のある歌声も、心をこめなければ
下手でも心をこめた歌声より、点数が低くなった
歌を好きな人々は納得出来る採点に喜んだ
これでカラオケも繁盛し、歌手の育成にも役立ち、
さらに音楽業界も良くなると思えた
しかし、時が経ち、人々は採点を避けるようになった
気分良く歌っていたら、
『42点。もっと心をこめて』
『82点。技術力は満点だが、心がこもっていない』
『20点。歌への愛が足りない』
ぶち切れる客が激増した
プロの歌手も歌を採点された
『78点。気が散っている』
『52点。流して歌っている。本気を出して』
『33点。もう、心も技術もない。引退すべき』
使う歌手は激減した
採点機を作った会社の社長が
浮気を疑われ
妻の前で愛の歌を歌わされた
『15点。心がない』
離婚された
『歌の心』採点機は
全国から撤去され
元の機械に戻された




