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蛮族たちの傭兵帝国

【注意・免責事項】

※本作品は生成AI(Gemini)を活用して執筆・構成されたフィクションです。

※本作は架空戦記であり、実在の人物・団体・国家・史実とは一切関係ありません。作中の描写は物語上の演出であり、特定の政治思想や戦争行為を称揚・助長する意図はございません。

※作中には戦争描写、残酷な描写が含まれます。

一九九三年、秋。  帝国の経済崩壊から数ヶ月。  ソ連製インフレの波は、ついに帝国の統治能力の限界点クリティカル・ポイントを突破した。


1.農民反乱と禁断の果実

 帝国の北東部、穀倉地帯を預かる地方長官ヴァレリウスは、総督府の城壁の上から眼下の光景を見下ろし、絶望に打ち震えていた。


 地平線を埋め尽くしているのは、敵国の軍隊ではない。  鍬や鎌、あるいは竹槍を持った、数万の「自国民」だった。


「パンをよこせ! 税を下げろ!」 「我々は飢えている! 強欲な長官を殺せ!」


 飢えた農民たちの怒号が、物理的な津波のように城壁へ押し寄せてくる。  かつて帝国の屋台骨を支えていた彼らは、ソ連製の安価な穀物によって生活を破壊され、さらに悪貨によるハイパーインフレと重税で搾り取られた結果、ついに暴徒ジャックリーと化したのだ。


「……正規軍レギオンの到着はまだか!」  ヴァレリウスが叫ぶが、副官は青ざめた顔で首を振るだけだ。 「帝都からの返信はありません! それに、仮に来たとしても……今の正規軍に、これだけの数を鎮圧する力はありません」


 帝国の正規兵たちは、給料であるデナリウス銀貨の価値暴落に抗議してストライキを起こすか、あるいは食い扶持を求めて武器を持ったまま逃亡していた。  今、城壁を守っているのは、かき集めた少数の衛兵だけ。門が破られるのは時間の問題だった。


「ええい、背に腹は代えられん! 『彼ら』を使え!」  ヴァレリウスは、脂汗を拭いながら決断した。  それは、帝国法で厳しく禁じられている「異民族の私兵化」だった。だが、自分が農民に吊るされて内臓をぶちまけるよりはマシだ。


 城門が軋んだ音を立てて開く。  農民たちの前に姿を現したのは、帝国式の洗練されたプレートアーマーではなく、獣の毛皮と粗末な革鎧をまとった、血の匂いのする異形の集団だった。


 ――騎馬遊牧民、スキフン人。  帝国の辺境草原地帯に住む、人馬一体の如き騎乗技術を持つ半人半馬ケンタウロスにも例えられる戦闘民族だ。  彼らは長年、帝国によって「野蛮人」として差別され、不毛な荒れ地に追いやられていた。だが今日、彼らは長官の金貨(ソ連から闇ルートで仕入れた宝石)で雇われた「傭兵」としてここにいる。


2.飼い犬の牙

「ヒャッハー! 狩りの時間だァ!」


 スキフン人の族長が、喉を鳴らすような奇声を上げると、五〇〇騎の騎馬隊が一斉に突撃を開始した。


 ドカカカカッ!!  蹄の音が雷鳴のように響く。  農民たちは慌てて鍬を構えるが、訓練された騎兵相手に勝負になるはずもなかった。


 スキフン人は疾走する馬上で自在に短弓を操り、正確無比な射撃で農民の頭を次々と射抜いていく。  接近すれば、湾曲した蛮刀シミターが閃き、逃げ惑う農民の首を藁束のように刈り取る。


 それは鎮圧ではなく、一方的な**「害獣駆除アニマル・ハント」**だった。  数時間後。城壁の下には、数千の死体の山と、赤黒い血の海が広がっていた。


「素晴らしい! 素晴らしいぞ!」  ヴァレリウス長官は手を叩いて喜んだ。これで自分の地位は安泰だ。  彼は意気揚々と城内に戻ってきたスキフン人の族長を、ワインと食事で歓待しようとした。


「よくやったぞ、蛮族の長よ。約束の報酬だ」  長官は、帝国の金貨(混ぜ物だらけの悪貨)が入った革袋を差し出した。


 しかし、族長はそれを受け取らなかった。  代わりに、血に濡れた蛮刀をテーブルに突き立て、ギラギラした目で長官の娘と、長官の座る豪奢な椅子を見つめた。


「……長官殿。俺たちは馬鹿じゃねぇ。この金貨、もうパン一個も買えねぇゴミ屑だろ?」 「な、何を言う! これは皇帝陛下の刻印が入った……」 「俺たちが欲しいのは、そんなゴミじゃねぇ。――**『土地』**だ」


 族長が合図をすると、控えていた部下たちが一斉に抜刀し、長官を取り押さえた。


「き、貴様ら! 飼い主に牙を剥く気か!?」 「飼い主? 勘違いするなよ、太っちょ」  族長は長官の頬をペチペチと叩いた。 「弱い奴が強い奴に従う。それが草原の掟であり、今のこの国の掟だ。……お前は弱い。だから死ぬ」


 その日、地方長官ヴァレリウスは城壁から吊るされた。  そして翌日、総督府には帝国の双頭の鷲の旗が下ろされ、代わりに**「スキフン自治領」**の狼の旗が掲げられた。


3.パズルの崩壊

 同様の悲劇――あるいは喜劇は、帝国の至る所でドミノ倒しのように発生していた。


西部:ゴルニア人の「森の王国」  深い森林地帯を有する西部では、狩猟民族ゴルニア人が立ち上がった。  彼らは熊のような巨躯と剛力を誇る亜人種であり、帝国軍によって長年、過酷な森林伐採の労働に従事させられていた。  反乱鎮圧のためにソ連製のマスケット銃を与えられた彼らは、その火力と強靭な肉体で反乱軍を粉砕した後、そのまま銃口を雇い主へ向けた。  彼らは領主を一族ごと追放し、森の中に独自の「森の王国」を建国した。


南部:ラーシ人の「海賊国家」  南部の沿岸部では、海洋民族ラーシ人が覇権を握った。  彼らは荒波を越える屈強な船乗りであり、戦斧の使い手だ。  海賊対策として雇われた彼らは、逆に港湾都市を武力で占拠。交易の利権を独占し、帝国中央への納税を拒否した。  中には、生き残るためにラーシ人の族長と婚姻関係を結び、事実上の「ラーシ人化」を受け入れることで地位を保とうとする元・帝国貴族も現れた。


 帝国全土が、パズルのピースのようにバラバラになっていく。  中央政府の命令が届くのは、もはや帝都ウィンドボナ周辺のわずかな地域だけ。  かつて「パクス・ガリアナ(ガリアナの平和)」を誇った大帝国は、無数の軍閥と異民族国家が割拠する、戦乱の巷と化していた。


4.死臭の漂う勝利

 アステリア自治共和国、ソ連軍司令部。  壁に貼られたガリアナ大帝国の巨大な地図には、日を追うごとに新しい「色」が増えていた。  赤、青、黄色、緑……それぞれの色が、新しく独立を宣言した軍閥や異民族勢力を示している。


「順調ですね、同志将軍」  KGBの情報参謀オルロフが、地図に新たなピンを刺しながら、薄ら笑いを浮かべて報告した。 「帝国は事実上の『封建時代』に逆戻りしました。中央集権体制は崩壊。各勢力は互いに争い合い、我々に刃向かう力など残っていません」


 司令官のヴァシリー大将は、ウォッカのグラスを揺らしながら地図を眺めた。  ソ連の工作は成功した。完璧に。  安価な商品で経済を壊し、安価な武器(マスケット銃)で治安を壊した。  その結果、強大だった隣国は、無害な小国の集まりへと解体された。


「……ああ、順調だ。順調すぎて怖いくらいだな」  ヴァシリーは呟いた。勝利の美酒のはずなのに、なぜか苦い味がした。


 彼は軍人としての長年の勘で、微かな、しかし確実な不安を感じていた。  これまでは「腐っても大国」という一つの交渉相手がいればよかった。話が通じる皇帝というトップがいた。  だがこれからは、話の通じない蛮族の王や、野心に燃える軍閥の長たちと、個別に付き合わなければならない。ルール無用の殺し合いの世界だ。


「オルロフ。混沌カオスというのは、作り出すのは簡単だが、制御するのは難しいぞ」 「ご心配なく。彼らは所詮、我々の武器と物資がなければ生きられない連中です。餌さえ見せれば、忠実な番犬として飼い慣らしてみせますよ」


 オルロフは自信満々に答えた。  彼らはまだ気づいていなかった。  破壊された帝国の瓦礫の中から、ソ連にとっても制御不能な「怪物」――すなわち、数百万の難民の波と、終わらない泥沼の内戦が生まれようとしていることに。


 大国が死ぬ時、その死臭は国境を越える。  ソビエト連邦は、隣人の死体を解体することには成功したが、その腐臭が自国にまで漂い始めていることには、見て見ぬふりをしていた。


第六章 第二話:後世の注釈 『一九九三年の「帝国大反乱」は、ソ連による遠隔操作の極致であった。  しかし、帝国という巨大な重しが取れたことで、アステリア大陸西部は「力の空白地帯」となり、後の「第一次大陸大戦」の火薬庫となっていく。ソ連はパンドラの箱を開けたが、その中身を管理する準備まではできていなかった。』(二〇三四年刊:『次元を超えた赤い足跡 ― 魔導ソ連初期史』より抜粋)

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