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【進撃】汚染なき荒野

【注意・免責事項】

※本作品は生成AI(Gemini)を活用して執筆・構成されたフィクションです。

※本作は架空戦記であり、実在の人物・団体・国家・史実とは一切関係ありません。作中の描写は物語上の演出であり、特定の政治思想や戦争行為を称揚・助長する意図はございません。

※作中には戦争描写、残酷な描写が含まれます。

一九九〇年、一月下旬。  アステリア大陸中央部、通称「魔王領域」の境界線。  かつては生者必滅の地と恐れられ、紫色の毒々しい霧が立ち込めていたその場所に、異様な集団が整列していた。


 ソビエト連邦陸軍、第1化学防護旅団。  彼らは全身を緑色のゴム製防護服「OP-1」で包み、ガスマスクの奥から不安げな視線を荒野に向けていた。背中には酸素ボンベではなく、魔力中和剤の散布タンクを背負っている。  彼らの任務は、核攻撃と長年の魔力汚染によって穢された大地を浄化し、本隊の進路を切り開く「決死の除染作業」のはずだった。


1.消えた毒霧

「……おい、計測器が壊れてるぞ。叩いても直らん」


 先遣隊の偵察兵が、ガイガーカウンターと、それを改造した携帯型マナ測定器(魔導工学研究所製)を交互に見比べながら首を傾げていた。  数日前まで、針は赤い「致死圏」を振り切っていたはずだ。しかし今、針は驚くべき速度で緑色の「安全圏」へと下がっている。


「隊長、信じられません。大気中の悪性マナ濃度、急速に低下中。放射線レベルも想定の十分の一以下です。……これでは、通常の荒野と変わりません」


 報告を受けた技術将校は、防護服の曇ったバイザー越しに空を見上げ、一つの科学的な仮説を立てた。


「なるほど。魔王城とは、やはり巨大な『マナの原子炉』だったのか」  彼は納得したように頷いた。 「核攻撃で炉心(発生源)そのものが物理的に蒸発したことで、供給が断たれたのだ。さらに、あの数百万度の超高温の火球が、大気中に滞留していた汚染物質ごと『焼却消毒』したのかもしれん」


 毒の霧は晴れた。  視界を遮るものは、もう何もない。  ただ、黒く焼け焦げた大地が広がっているだけだ。


 方面軍司令部からの無線が、全周波数で割り込んだ。 『こちら司令部。化学防護旅団へ通達。作戦変更プラン・ベー。除染作業は不要だ。繰り返す、洗浄は不要。全軍、前進せよ。……全速前進ダヴァイ!』


2.赤い蒸気ローラー

 ドォォォォォォン……。


 地平線の彼方から、腹に響く地響きが始まった。  それは雷鳴でも、魔獣の足音でもない。  荒野を埋め尽くしたのは、最新鋭戦車T-80UMを先頭とする、ソ連軍機甲師団の「鉄の波」だった。


 T-80の特徴であるガスタービンエンジンの、ジェット機に似た甲高い咆哮(キーンという金属音)が何千も重なり合い、世界を圧する。  数千の履帯キャタピラが、乾いた大地を無慈悲に噛み砕き、土煙を上げる。


 彼らは止まらない。  有毒な沼地があれば、工兵部隊が架橋戦車で瞬時に橋を架ける。  進軍を阻む岩場があれば、爆破して道を拓く。  後方には、燃料を運ぶタンクローリー、兵士の食事を作る野戦炊事車フィールドキッチン、そして故障車を直す回収車が続く。


 それは「進軍」というよりは、巨大な工業機械による**「整地作業」**のようだった。  ロマンも情緒もない。ただ地図上のA地点からB地点へ、障害物を排除しながら直線を引く作業だ。


3.最後の抵抗、あるいは自殺

 核の炎と、それに続く空爆を生き延びた魔物たち――地下壕や深い洞窟に隠れていたオークの残党や、知性を持った上位ゴブリンたちは、侵略者の姿を見て戦慄した。


 空からは銀色の鳥(戦闘機)が仲間を殺し、地上からは鉄の塊が押し寄せてくる。  だが、彼らには退路がなかった。魔王領域の主としての矜持、あるいは逃げ場のない絶望が、彼らを無謀な突撃へと駆り立てた。


「グルァァァァッ!!」


 岩陰から、身の丈三メートルを超える**「オーク・ジェネラル(将軍)」**が飛び出した。  全身に魔法金属ミスリルの鎧を纏い、魔力で強化されたその肉体は、中世レベルの軍隊ならば、たった一人で一個大隊を壊滅させるほどの武力を持つ「一騎当千」の猛者だ。  彼は戦意を失った配下を鼓舞するように、腹の底から響く蛮声を上げ、先頭を行くT-80UMの側面へ肉薄した。


 言葉など不要。ただ圧倒的な殺意だけを込めて、彼は巨大な戦鎚を振り下ろした。    ドガァァァン!!


 爆音が響く。  だが、それは装甲が砕ける音ではなかった。  戦車の側面に貼り付けられた弁当箱のようなパネル――**爆発反応装甲(ERA)「コンタークト5」**が作動し、自ら爆発することで衝撃を相殺カウンターしたのだ。


 オークの手の中で、自慢の戦鎚が砕け散る。  腕が痺れ、呆然とする怪物の目の前で、巨大な砲塔がゆっくりと、油圧音を立てて旋回した。  砲身が、オークの鼻先数センチで止まる。


「……邪魔だ」


 戦車長の無慈悲な声と共に、同軸機銃ではなく、125ミリ滑腔砲が至近距離(ゼロ距離)で火を噴いた。


 ドォン!


 対戦車榴弾(HE)の直撃を受けたオーク・ジェネラルは、悲鳴を上げる間もなく上半身が赤い霧となって四散した。  ただの下半身となった肉塊が、泥の中に無様に崩れ落ち、後続の戦車に踏み潰されていく。


4.耕作される森

 後方からは、さらなる死の雨が降り注ぐ。  BM-21「グラート」多連装ロケット砲の斉射である。


 ヒュルルルル……シュバババババ!!


 「スターリンのオルガン」と呼ばれた死の口笛と共に、数千発のロケット弾が、ゴブリンたちが潜む枯れ木の森へ吸い込まれていく。  着弾。  森全体が炎と爆風で波打った。    面制圧エリア・サプレッション。  そこに、個人の武勇や回避スキルが入り込む余地はない。  座標を指定し、グリッドごと生命反応を消去する。  隠れている敵を見つける必要すらない。「敵がいそうな区画」ごと吹き飛ばせばいいのだ。


 ソ連軍伝統の火力ドクトリンが、ファンタジーの住人たちを、物理的に、そして数学的に粉砕していった。


5.グラウンド・ゼロへの旗

 進撃開始から、わずか三週間。  当初の予定よりも大幅に早く、先鋒の戦車隊は目的地である**「爆心地グラウンド・ゼロ」**に到達した。


 そこには、直径数キロメートルに及ぶ、巨大なガラス質のクレーターが広がっていた。  かつて魔王城がそびえ、世界を恐怖させていた場所。  今はただ、核の高熱で岩盤が溶解し、冷え固まってできたオブシディアン(黒曜石)のような黒い大地が、鏡のようにアステリアの青空を映しているだけだ。  残留放射線も、魔力汚染も、すべてはガラスの下に封じ込められている。


 キィィィン……とタービン音を停止させ、戦車のハッチが開く。  這い出した煤まみれの戦車兵が、まだ微かに熱の残る地面にブーツを踏み下ろす。  彼はポケットからタバコを取り出して火を点け、深く吸い込んだ後、クレーターの縁に一本の旗を突き立てた。


 風になびく、鎌と槌の赤旗。


「こちら先鋒中隊。司令部へ入電。……『掃除』完了しました。これより、駐留および拠点建設に移行します」


 兵士の声は淡々としていた。  彼らは神を殺し、魔王を滅ぼしたという英雄的な高揚感を持っていなかった。  ただ、困難なノルマを達成し、これでようやく休暇がもらえるかもしれない、家に帰れるかもしれないという、労働者としての安堵があるだけだった。


「終わったな」 「ああ。……次は建設部隊の出番だ」


 こうして、数千年にわたりアステリア大陸を脅かし続けた「魔王の脅威」は、ソビエト連邦の地図上から完全に「抹消」された。


第五章 第三話:後世の注釈 『一九九〇年の進撃において、ソ連軍の進撃速度はナポレオンやヒトラーの電撃戦をも凌駕していた。  それは彼らが優秀だったからだけではない。敵対する魔物たちが「近代火力」という概念を理解できず、密集して突撃するという、砲兵にとって最も理想的な標的カモであり続けたからである。  彼らは勇気を持って戦ったが、その勇気こそが、彼らの絶滅を早める最大の要因となった。』(二〇三四年刊:『次元を超えた赤い足跡 ― 魔導ソ連初期史』より抜粋)

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