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翼なき竜たちの挽歌

【注意・免責事項】

※本作品は生成AI(Gemini)を活用して執筆・構成されたフィクションです。

※本作は架空戦記であり、実在の人物・団体・国家・史実とは一切関係ありません。作中の描写は物語上の演出であり、特定の政治思想や戦争行為を称揚・助長する意図はございません。

※作中には戦争描写、残酷な描写が含まれます。

一九九〇年、一月某日。  三発の核弾頭による閃光が消え、成層圏まで達したキノコ雲が崩れ始めた頃。  ガラス状に溶解し、灼熱の熱を帯びた魔王城の跡地で、大地が悲鳴を上げた。


 核の直撃によって地表の岩盤が粉砕されたことで、地下深くに存在した巨大空洞の天井が崩落したのだ。  ズズズズ……と無数の亀裂が走り、黒い噴煙と共に、地下から無数の「影」が噴き出した。


 それは、核の直撃を免れ、地下深層で生き残っていたドラゴンたちの群れだった。  巣を焼かれた怒り、そして崩壊する地下から逃れようとする生存本能。数千匹の翼竜が、太陽を遮る黒雲となってアステリアの空を埋め尽くした。


1.怒れる竜の群れ

 彼らは、この世界の空の絶対的な支配者だった。  鋼鉄よりも硬い鱗、あらゆる下位魔法を弾く対魔力皮膜、そして一息で城塞を溶かすブレス。  地下で数千年の眠りについていた、伝説級の**古竜エルダー・ドラゴン**が、先頭を切って咆哮する。その声は物理的な衝撃波となって大気を震わせ、硝煙を吹き飛ばした。


『侵入者はどこだ! 我が巣を、我が眷属を焼き払った卑怯者はどこにいる!』


 古竜の黄金の瞳は、数キロ先の獲物を見逃さない。  数千年前、神々とさえ戦った彼らの「支配者としての本能」が、敵の気配を探る。  だが、見渡す限りの地平線に、敵の姿はなかった。  地上には黒く焼き付いたクレーターがあるだけ。空には自分たち以外、鳥一羽飛んでいない。


『……姿も見せずに攻撃したというのか? 卑劣な!』


 彼らは知らなかった。  彼らに死をもたらそうとしている「敵」は、彼らの認識できる世界の、はるか外側にいることを。  彼らの視力が届かず、彼らのブレスが届くはずもない、理不尽な距離レンジにいることを。


2.視界外からの死(BVR)

 魔王領域から南へ一五〇キロメートル。  高度一万二〇〇〇メートル、成層圏に近い希薄な大気の中を、超音速で巡航する銀色の編隊があった。  ソビエト防空軍・第4航空団所属、**MiG-31「フォックスハウンド」**迎撃戦闘機。


 コクピットの中は、驚くほど静かだった。聞こえるのはジェットエンジンの低い唸りと、空調の音だけ。  パイロットのヴォルコフ少佐は、HUDヘッドアップディスプレイと、計器盤の緑色のレーダースコープを、書類仕事でもするかのような退屈な目つきで眺めていた。


「こちらフォックス1。レーダーに感あり。方位〇三〇、距離一二〇キロ。高度三〇〇〇から五〇〇〇」  ヴォルコフは眉をひそめた。 「……スコープが緑色に塗りつぶされている。故障か? それとも雲か?」


『こちらAWACS(早期警戒管制機)“グラース”。計器は正常だ、少佐。目標はすべて敵性飛行生物ドラゴンと識別。数は推定二五〇〇以上』 「二五〇〇だと? 冗談だろう、イナゴの大群か」 『全機、交戦を許可する(エンゲージ)。害虫駆除の開始だ』


 ヴォルコフは、火器管制レーダーのスイッチを切り替えた。  彼の愛機が搭載する**「ザスロン」フェーズド・アレイ・レーダー**は、戦闘機でありながら早期警戒機並みの出力を誇る化け物だ。一度に十個の目標を追尾し、四個を同時攻撃できる。


 火器管制装置が、即座に最適な四つの目標をロックオンする。  相手は生物だ。チャフもフレアも撒かない。電子妨害(ECM)もかけてこない。回避機動すら取らず、ただ無防備に直進している。  それは、ドッグファイトですらない。ただの「射撃訓練」以下の作業だった。


「フォックス1、発射プースク。長距離空対空ミサイル、四発」


 ドシュッ!  機体下部から、巨大なR-33ミサイルが切り離される。  一瞬のラグの後、ロケットモーターが点火。白い航跡を引いて、ミサイルはマッハ4.5まで加速する。  四本の「死の槍」は、音速を置き去りにして、肉眼では影も見えない遥か彼方の空域へと吸い込まれていった。


3.見えない断頭台

 ドラゴンの群れは、依然として敵を探して旋回していた。  その時、先頭を飛んでいた古竜が、本能的な悪寒を感じて首を上げた。何かが、来る。


『……散開せよ!』


 だが、その警告は遅すぎた。  雲の切れ間から、太陽の光を反射する小さな「針」のようなものが、信じられない速度で降ってきたかと思うと――。


 ドォォォォン!!


 古竜の脇を飛んでいた眷属のワイバーンが、爆発四散した。  高性能炸薬と、マッハ4超の運動エネルギーが直撃した衝撃は、ワイバーンの魔法障壁など紙切れのように貫通し、その肉体を空中でバラバラに引き裂いた。


 悲鳴を上げる間もなかった。  一匹、また一匹。  隣を飛んでいた仲間が、突然、何の前触れもなく血の霧と肉片に変わっていく。  どこから? 誰が? 魔法の光も見えない、矢の風切り音もしない。


「ギャオオオオッ!!」  パニックに陥った群れが四散しようとしたその瞬間、第二波、第三波のミサイルが突き刺さる。  今度は赤外線誘導のR-40ミサイルだ。ドラゴンの巨大な体温(熱源)を正確に追尾し、執拗に追いすがる。


 回避しようと急旋回したドラゴンの翼が、近接信管の作動によって根元から吹き飛ばされる。  翼を失った「空の王者」たちは、ただの重い肉塊となって、重力に従い地面へと墜落していった。


4.事務的な殺戮

 この日始まった一方的な虐殺は、二週間にわたって続いた。


 ソ連空軍の作戦は、極めて事務的かつ徹底的なものだった。  弾薬を撃ち尽くした機体は基地へ帰投し、ベルトコンベア式にミサイルを再装填され、パイロットはコーヒーを一杯飲む時間だけで再び離陸する。  それを繰り返すだけで、神話級の魔獣の群れは、統計データ上の「撃墜数」へと変換されていった。


 そして作戦最終日。  アステリアの空から、翼を持つ者の影は消滅しようとしていた。


 Su-27「フランカー」に乗る若い中尉が、最後の一匹――逃げ惑うワイバーン・ロードの背後についた。  HMS(ヘルメット装着式照準装置)が、パイロットの視線に合わせて敵を捕捉し、ロックオン音を奏でる。相手は必死に不規則な機動を取るが、コンピューター制御された火器管制システムからは逃れられない。


「終わりだ」  トリガーを引く。  30ミリ機関砲弾の雨が、ワイバーンの背中を粉砕した。


「……呆気ないものですな。お伽話じゃ、もっとこう、命懸けの戦いになるはずだったんですが」  中尉が無線で呟く。  僚機の隊長が、冷淡に答えた。 「勘違いするな中尉。これは騎士の決闘じゃない。**害虫駆除ペストコントロール**だ。……さあ、帰るぞ。地上部隊が待ちくたびれている」


 アステリアの空に、ジェットエンジンの轟音が勝利の凱歌のように響き渡り、彼らはアフターバーナーの光を残して去っていった。


5.沈黙の荒野

 眼下の荒野には、数千のドラゴンの死骸が山脈のように積み重なっていた。


 そこは高濃度のマナ汚染地域であり、通常の生物は近づくことすらできない死の世界だ。  ハエもたからず、野犬もいない。腐敗さえも緩慢な、静寂に包まれた「肉の墓場」。  かつて人々が畏怖し、神と崇めた存在は、ソビエト連邦の「航空優勢ドクトリン」の前に、ただの処理に困る**「有機廃棄物」**として大地に還ったのである。


 アステリアの生態系ピラミッドの頂点は、この二週間で完全に交代した。  生物から、機械へ。  神秘から、物理へ。


第五章 第二話:後世の注釈 『一九九〇年のアステリア航空撃滅戦は、アステリアにおける「制空権」の概念を根本から覆した。  ドラゴンライダーという兵科は、視界外攻撃能力(BVR)を持つジェット戦闘機の前では、単なる「空飛ぶ標的」でしかなかった。  後に回収された古竜の頭蓋骨には、30ミリ機関砲弾による弾痕が残されており、彼らが死の瞬間まで「敵がどこにいるのか」さえ理解できていなかったことを物語っている。』(二〇三四年刊:『次元を超えた赤い足跡 ― 魔導ソ連初期史』より抜粋)

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