2-2: 食料調達
人間は何も食べないと餓死します。(あたりまえ)
……食糧なんだけど、どうやって探そう。
雑草はそこらへんにいっぱい生えてるんだけど、これって食べれるの?……いや、地面の雑草を食べるのは最終手段にしよう。
一応屋敷の本で見た食べれる草ならいくつか知ってるんだけど、この付近には見当たらない。
キノコは、ダメだ。毒にあたったら本当に終わってしまう。
木の実は、ちょっと無理かもしれない。だってこの森の木ってみんな背が高いんだもん!
元居た屋敷は3階建てだったけど、その屋敷より背が高いんだよ!私木登りはできないもん!
ほんと、この森に住んでる魔物たちってどうやって暮らしてるんだろう?強いなぁ。
……ん?
横に誰かいる。そう思って振り向くと、そこにはカンガルー型の魔物が歩いていた。
あれは、ラドックだ。この森に住む魔物にしては大人しくて、相手にしなければ危険性はない。(相手にした場合は物理と魔法でフルボッコにされる)
そうだ。ラドックがどんな感じで食料を確保してるか、見てみよう。ちょうど透明化もしてるし、ムーナウルフとは違ってラドックは鼻はそんなに良くない。
私は音を立てないようにだけ気を付けながら、ラドックの後をつけた。もちろん、来た道は覚える。帰れなくなったら元も子もない。
聞いた話だと、ラドックは木の実とか草を食べてるらしいけど、実際に見たことはない。
草を食べる光景は想像できるんだけど、木の実ってどうやって食べてるの?あんな高い所にあるものをどうやって採ってるの?
とか思ってたら、意外と早くその答えを見ることができた。
ラドックは、地面に落ちてきた木の実をそのまま食べ始めたのだ。
……バカか私は。木の実って地面に落ちてくるものじゃないか。
あれ?頭回ってない?空腹のせい?私のバカさ加減に変な冷や汗をかき始めた。
それは置いといて、良いものを見れた。私もまねさせてもらおう。この森の中では、あのラドックのほうが先輩だ。
ふと、ラドックが立ち止まった。そしてある1点を見つめている。なんだろうと思ってその先を見てみると、……?何もない?
ラドックは身をかがめて、ゆっくりと前に進み始めた。私は何もせず、その様子を見ていた。
するとラドックが急加速し、前足で地面を叩きつけた!
え、ええ?何してるのあれ?と思っていたが、その行動の理由はすぐにわかった。
ラドックが叩きつけた前足を上げると、その手にはネズミが捕まっていたのだ。そしてラドックはそのネズミをむしゃむしゃと食べ始めた。
あれ?ラドックってネズミも食べるんだ?ちょっと意外。
でも、今のもヒントになった。確かにネズミくらいのサイズの魔物なら、私でも倒せそうだ。
……あれ、ちょっと待って。魔物って確か、倒したら霧になって消えるのでは?なのに、さっきラドックが倒したネズミは霧にならなかったよ?
まだ死んでないからセーフとか?それとも、魔物が魔物を倒した時だけ実体が残るとか?
私の知識をもう一度疑う必要がある?っていうか、私さっき頭回ってなかったから、どこか根本的に間違ってるかもしれない。
……あ。
そんなことを考えてたら、ラドックを見失ってしまった。
まぁ、良いや。これ以上追うと帰り道分からなくなりそうだし。一回帰ろう。
私でも倒せそうなネズミのような魔物を食べる案なんだけど、もしかしたら現実的じゃないかもしれない。
彼ら小さいから、そういう魔物を見つけること自体が難しい。さっきもネズミがいたこと自体気が付かなかったし。っていうか倒したら霧になって消える懸念もある。
ちなみに、見つけた後の手はすぐに思いついた。魔法で指先から刃を高速で放ち仕留める。
私、この魔法の命中率には自信がある。屋敷で特訓してた時でも、30m離れた的に当てたことがある。外すのは8回に1回くらい。
相手が避ける可能性を考えてないけど、運よく食べれそうな小型の魔物を見つけた時はやってみよう。
となると、一番現実的なのは木の実探しかな。透明化して家を見失わないように気を付ければ可能ではある。
ということで、さっそく木の実探しをやってみてるんだけど、なかなか見つからない。
変なキノコなら1個見つけたんだけど、毒持ちである可能性を考えるとさすがに食べる勇気がない。
さっきのラドックはどうやって見つけたんだろう、凄いなぁ……。
私はふと上を見上げる。あの鬱蒼とした木の葉っぱの中には木の実がなってるんだろうなぁ。
そう考えたら、やっぱりそこにある木の実を採る方が現実的なのかな?
でも、だとしてもどうやって採ろうか?私の魔法の刃でも、対象が見えないとどこに撃てばいいのか分からない。
そんなことを考えていると、突然ベルが前に出てきた。
「ベル?」
するとベルは、自分の身体を木に引っ掛けながら跳ねるように登って行った。
ええ!?ベル、そんなこともできるの!?
ベルが木を登りきるころには私からは見えなくなるほど小さく見えていた。
まさかと思うけど、木の実を採りに行ってる?そう考えながら様子を見ていると、上から何かが落ちてきた。
ベチャ!
……ベルだった。
ベルが木の実を一つ体内に包み込み、地面に落ちてきた。
そしてベルは体内の木の実を上に持ち上げて、自分の頭に乗せた。
「……採ってきてくれたの?」
私はおもむろに木の実を手に取る。リンゴと同じくらいの大きさのそれは、おなかがすいた私にとってはごちそうのように見えた。
私はその木の実を一口かじった。
「……うん、おいしい。ありがとう」
ベルが誇らしげに笑ったような、そんな動きを見せた。
それにしても、ベルって木登りもできるんだ。
……あれ、食糧問題は解決したんじゃない?
一応何とかなりそうです。




