表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/21

2-1: スライムの可能性

次の日です。

ムーナウルフの群れを撃退したあの後、私たちは雨風をしのげそうな洞窟を見つけ、その中で一夜を過ごした。

洞窟の中は人間3人が暮らせそうなほど広い。私だけで暮らすには少し広すぎるかもしれないけど、そんなわがまま言ってる余裕はないよね。

でも……、

「……あまり眠れた気がしない」

というのも、夜は寒いし魔物の遠吠えや足音がはっきり聞こえるし、当たり前だけどベッドはないし、寝るにはちょっと厳しすぎる。

それと、私の使い魔のスライム君がいるとはいえ、ちょっと寂しかった。

あ、そういえば、昨日のことまだお礼言ってなかった。

スライム君の方を見ると、まるで溶けたように床に寝転がっている。

「昨日は助けてくれて、ありがとう。キミ、強かったんだね」

するとスライム君は、ビー玉のような黒い目玉だけをこっちに向けてきた。

スライム君……、そうだ。名前つけてみようかな?屋敷の人たちも、自分の使い魔には名前を付けてたし。

えーっと……。


"ベル"で良いかな?


そう思った瞬間、スライム君がこっちを見てきた。え、私の考えてること分かるの?

溶けてたスライム君が元のプリンのような形に戻り、私のところに転がってきた。なんか、やっぱりかわいい、気がする。

うん。この子の名前はベルにしよう。とっさの思い付きだけど。

「ベル」

私はこの子の名前を口にしてみた。すると、ベルが私の上に飛び乗ってきた。

私の右肩の上に乗って、首の後ろを通って左肩から頭を出すように乗ってきた。

ふふ、なんかくすぐったい。

正直、ベルのことをもっと知りたい。なんで私の使い魔がスライムだったのか、なんでスライムのはずのベルがドラゴンに変身できるほど強いのか。

あーあ、本当なら今頃、屋敷の人たちから使い魔についていろいろ教えてもらうはずだったんだけどなぁ。

……油断してると、つい屋敷のことを考えてしまう。やっぱり、帰りたいんだろうなぁ。


……あれ?


ベルが強いってことは、そのことを屋敷の人に言えば屋敷に戻してくれるのでは!?

え、でも、スライムが強いなんてことある?いや、実際ベルがドラゴンになってムーナウルフの群れをほとんど倒したのは事実。

てか、使い魔のベルが強いってことは、私って実は才能ある……?だって、使い魔は主人の素質に見合った種族が召喚されるんだし。

でも、スライムって最弱種だよね?でも、私のスライムは最弱って言うほど弱くないし、なんなら強いし、え?この場合どうなるの……?


よし、決めた。


私は屋敷に戻る。ベルが実は強いってことを伝えたら、もしかしたら屋敷に帰れるかもしれない。

やることは単純。ベルにドラゴンになってもらって、軽く技を披露してもらうだけだ。

それでも帰してくれなかったら、またここに戻って独り生活かな……。

ずっと遠くに歩いていけば町に出るんだろうけど、今の私はそこまでの実力はない。

だから、帰してくれなかった時はここで修行の日々になるなぁ。そうならないことを祈ろう。

それとも、ずっと屋敷の前に居座ってみようかな?屋敷の中に入れてもらえないだけで、屋敷の外で生活するのは禁止されてない、っていうか、そうさせられてるわけだし。

ああ、こっちが良いかも。よし、そうしよう。

魔力も回復している。私は透明化の魔法をかけ、緊張感を持ちながら洞窟を出た。


……。


あ、そっかぁ、しまったぁ……。

屋敷までの道のりが分からない……。


あのねぇ、ちょっと考えたらわかったことじゃない。なんで私気づかなかったの?

屋敷から追い出された直後にムーナウルフの群れに襲われて逃げ回ってたんだから、そりゃ道なんて覚えてるはずないじゃない。

屋敷の前に着いた後のことばかり考えてたなぁ。やってしまったぁ。

しょうがない、また計画の立て直しだ。屋敷への道のりが分からないことが分かった今、次にすることは……。


キュルルル……


突然、私のおなかが鳴った。

……次にすることは、食料の確保だ。

いや、ほんとにこれはまずい。私は昨日の昼食以来何も食べてない。このままだと飢え死にしてしまう。

今思えば、屋敷にいた頃は全部何もかもやってくれてた気がするなぁ。

ご飯だって、決まった時間にシェフが作ってくれてたし、魔法の修行だって、私よりずっと強い人に教えてもらってたし。

屋敷から追放された今、そういうことは全部一人でやらないといけない。

追放って言ってるけど、独り立ちだと考えればまだ気が楽かもしれない。……辛いのに変わりはないけどね。


さて、透明化の魔法もかけてある。一刻も早く食料を見つけなくては。

サバイバル生活スタートです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ