2-11: 洞窟内の療養生活
無事に帰ってきました。
いつもの洞窟に着いた私はその後、クーゲルベアー流の看病を受ける生活になった。
まず私は、元々のクーくんの寝床に寝かせられた。木の葉っぱが敷かれた人間の物とはかけ離れた寝床だったけど、枝とかそういう固いものはなかったから案外フカフカだった。
落ち着いた今考えてみれば、この感じ、肋骨折れてる?……確かめるために自分の胸を触る勇気はない。一応腕は動くんだけど。
ちなみに、最初は横向きに寝かせられたんだけど、それだと痛いし首も傾いて痛いから色々となんとかして仰向けにしてもらった。
クーくんが仰向けで腹出して寝てるとこ見たことないなぁ。大体うつ伏せだし、たまに横向きになるくらい。仰向けって野生の魔物には馴染みがない?
次にクーくんは、追加の寝床用の葉っぱを採ってきて、寝床を広くしたかと思うと、なんと私の隣で一緒に寝始めた。
横向きで寝ながら私を見るクーくんは、本気で私のことを心配しているようだった。
クーくんがどうして人間の私にここまでよくしてくれるのか、もう考えないことにした。
いくら考えたって答えは出なさそうだし、クーくんに聞いても言葉通じないし、答えを知ったところで何も変わらないだろう。
今はただ、クーくんといる時間を大切にしよう。
にしても、安静にして自然治癒か。屋敷では考えもしなかったな。風邪とか切り傷なら大体魔法薬で数分で治るんだもん。……今の私の状況を魔法で治すとなると、数時間かな?
あ、ベルに治してもらえば……、ダメだ、私の魔力がない。
ベルの魔法、何回使ったら私の魔力が尽きるんだろう?
最初は、ムーナウルフだっけ。私が霧魔法で撹乱して、透明化魔法も使って、ベルがドラゴンに変身して、その後炎魔法と電気魔法で私の魔力が尽きた。
次は魔法の修行を色々した後、ベルに色々変身してもらってたら尽きた。
さっきのロブロの時は、魔鉄砲で魚とりとロブロへの射撃、あとは……あれ?ロブロから魔力を吸い取って?その後クーくんを強化して、私を持ち上げて尽きた。
えーと、変身はどう考えても相当な量の魔力を使いそう。1分くらい変身して、8割くらい?消費された。
でも、魔法の修行の時に6割くらい使ってたはずなのにその後のベルの変身は3分くらい継続した。ドラゴンの時だけ消費量多いとか?
ロブロの時の魔鉄砲は魔力消費に考えなくてよさそう。だって本当に微々たるものなんだもん。50発撃って1割消費するレベル。あ、でも100発くらい撃ったかも。じゃあ2割だ。
ん?でもその後ロブロの火炎魔法から魔力吸い取ったよね?じゃあその時魔力はほぼ全快したと考えて、その後のクーくん強化と私の持ち上げで魔力を使い切った。
あの時の体感なんだけど、クーくん強化で8割くらい持ってかれた気がするんだよね。魔法の種類でも消費量違う?いや、それは私もそうか。
うーん、一回ベルで魔法消費量の実験をしたほうが良いかもなぁ。ここらを把握してないと実戦でベルの使い道に困る。
……まぁ、初手からベルに全部任せたら一瞬で一掃しそうだけど、私の魔力を消費する関係で連戦ができなくなる。
それに、誰かに頼ってばかりではダメだ。
……頼ってばかりじゃ、ダメ?
今回だって、ベルに頼ってたらここまでの大事にはならなかったかも。それに、今だって、クーくんやベルに頼るしかない場面だ。
……もっと誰かに頼って良いのかな?
思えば、屋敷でも父上や親戚に頼ってばっかり。私だけじゃできなかったことがたくさんある。
……いや、どうなんだろう?頼ってばかりだと怠けてしまうから頼ってはダメなのか、独りでできることに限界があるから頼るべきなのか、どっちなんだろう?
その答えに答えてくれる存在は、この場にはいなかった。
……もういいや、しーらない。寝る。
それからは、私はほぼ毎日洞窟の中で過ごした。その場に座ることはできるようにはなったんだけど、立つと痛い。
ベルの治癒魔法でも、骨折までは治らないらしい。ベルにできないことがあるのは、ちょっと意外だった。
ただ、それでもベルは私に毎日治癒魔法をかけてくれた。もちろん私の魔力を消費するけど、今の私が魔法を使うことはない。
クーくんは、毎日私の分の木の実や魚を採ってきてくれた。料理はベルがやってた。料理といっても、焼くだけだけど。
寝るときは、やっぱりクーくんやベルと一緒だ。誰かに触られても痛くない程度にまで回復した頃には、クーくんが私を抱えて眠るようになった。
あったかい。毛で覆われてるからっていうのもあるんだろうけど、何より生き物の温かさが伝わってくる。
ベルは、冷たい。材質のせいなのかもしれないけど、冷やしたゼリーみたいな冷たさだ。
て、これ、温かいのと冷たいのでサンドイッチにされてる?
……やっぱり、私は頼ってばっかりだ。でも、今はこれで良いや。
いつかもっと強くなって、誰かに頼られるくらいの魔法使いになりたいな。
そして、何日か経った後、私は外出できる程度にまで回復した。
うーん、超久しぶりの外。何日か、いや、何週間か洞窟の中で過ごした気がする。
明らかに痩せたなぁ。多分体重も軽くなっただろうね。
軽い準備運動を済ませて、脳内地図の再確認だ。
洞窟に近づいてくる魔物はみんなクーくんが追い払ってました。




