表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/48

ヤクシジの依頼

 ヤクシジから依頼を受ける経緯だが、まずは彼女の何気ない質問だった。



「そういえば、お前たちが調査に乗り出している、ということは、汚染犯がこの辺りをうろついているということか?」


「そう。しかも、一人はアンドロイドだから、暴れられたりしたら、大変なことになるかもしれないわ」

「アンドロイドの汚染犯か……」



 ヤクシジが含みのある相槌を打つものだから、翡翠が顔を寄せて尋ねる。



「もしかして、何か心当たりがあるの??」


「……それが、最近アキーバで連続殺人事件が起こっているんだ」


「連続殺人事件!!」



 その仰々しいワードに、翡翠が大袈裟なリアクションを見せるが、ヤクシジは落ち着いた調子で頷き、詳細を話した。



「街に不安が広がらないよう、もちろん何者による犯行か調査したのだが、手がかりらしいものはない、通り魔的な犯行だった。ちなみに、殺されたアンドロイドは四体。しかも、首を切断され、頭部を持ち去られている」



 アンドロイドの首なし死体。しかも、持ち去られたとなると、何かしらの意味があるだろう。



「汚染犯が現れた街で連続殺人事件……。関係がないとは思えないわね」



 考えを巡らせる瑠璃に、ヤクシジは改めて提案する。



「時間を持て余しているのだろう? ならば、コーラルの魔女に依頼がある。時間が余っているなら、受けてくれないか?」




 三人はアキーバに戻り、ヤクシジが開放してくれた自宅で彼女から受けた依頼について考えた。


「連続殺人事件か。目的な何だろう……」


 瑠璃は考える。オルガとアッシュが起こした事件だとしたら、祈りに関係があるのだろう。しかし、アンドロイドを四体も殺す意味が分からない。



「しかも、頭を持ち去るってところが気になるねぇ」


 疑問を重ねる翡翠に同意する。


「何となくだけれど、これだけ派手な事件を起こすということは、あいつらの祈りが達成するのも時間の問題なのかもね」



 とは言え、瑠璃たちが追う汚染犯とは、まったくの別人によるもの、という恐れもある。だとしたら、ややこしくなることは間違いない。ただ、同一犯であることを祈るしかなかった。


「まぁ、考えても仕方ないわね」


 瑠璃は疲労を感じたのか、ソファに身をうずめる。



「犯人が動くまで少し休みましょう」


「犯行はいずれも深夜。この時間から気を張っていても仕方ないものねぇ」



 そう言って、瑠璃も翡翠もリラックスしてしまったため、アナトは目を瞬かせた。



「二人とも、せっかく依頼をもらったのに、真面目に調査するつもりはないのか??」



 信じられない、と言わんばかりのアナトに、瑠璃は笑みを零しながら否定する。



「違う違う。もうやることはやった、というだけ」


「そうそう。ここに戻る途中、済ませちゃったんだよー」



 二人はアキーバに戻ると、街のところどころにアンテナとなる魔力端末を数か所に設置していた。これで、アキーバで何者かが魔力、もしくはそれに準ずるエネルギーを使用した場合、二人は瞬時に感知できるのだとか。



「東側が私。西側が翡翠。二人で魔力探知の網を張っているから、この街で争いごとがあれば、すぐに位置を特定して駆けつけられる、ってわけ」


「犯行が続く、という前提の対策だけどね。翡翠さんは悪者を逃がしませんよー」


「……魔女って恐ろしい力を持っているんだなぁ」



 関心するアナトだが、瑠璃はいい意味に捉えなかったらしい。



「化け物扱いしないの。多少でも魔法の心得があれば、これくらいは誰でもできるから」


「そうそう。逆を言うと、それを回避する魔法も存在するってことだけどね。それを魔力の隠蔽と言います」



 翡翠が補足する。



「だから、犯人が私たちが設置したアンテナに気付かないことを祈るしかないねぇ」


「その辺はお手並み拝見よ。と言っても、私たちの魔力感知をかいくぐれるやつがいるとは思えないけど。特に翡翠の感知を回避できるやつは、コーラルに十人といないでしょうね」


「そういうこと。だから、西側は任せておいてー」



 アナトの表情が固まっている。どうやら、怯えさせてしまったらしい。



「とにかく、アナトくんも休んだから? 昨日の疲れだって取れていないでしょ?」


「……確かに、休めるときに休んだ方がいいって、上司も言っていたな」



 過酷な労働環境を思い出したのだろうか。珍しくアナトが苦し気な表情を見せた。


「うん。一条の言う通りにして、僕も休むことにしよう」


 アナトは二人から少し離れたところにある椅子に腰を下ろすと、すぐに目を閉じて睡眠状態に入ったようだった。それを見た瑠璃は密かに思う。



(まるで、電源を切ったみたいに眠るのね。実はアンドロイドなのかしから)



 アナトのこれまでの行動を考えても、どちらとは言い切れない。アンドロイドだって食事を取るし、睡眠も取る。特に魔女戦争の後期に誕生したアンドロイドは、人間とほとんど変わらないライフスタイルなのだ。



(まぁ、どっちでもいいけど……)



 そんなことを考えている間に、瑠璃に眠気が訪れる。休まないと。最近は少し働き過ぎだ。瑠璃もそっと目を閉じたのだが……彼女は悪夢にうなされるのだった。

「面白かった」「続きが気になる」と思ったら、

ぜひブックマークと下にある★★★★★から応援をお願いします。


好評だったら続きます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ふと、RPGみたい、と思いました。 先がわからないこのドキドキ感、続きをしたくて夜更かししたくなるワクワク感。これもしかして、ゲーム化しても面白いんじゃないだろうか?!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ