第二章 一歩踏み出す
はじめまして、こんにちは。台湾出身の陸坡ルポと申します。
カツ丼が好きです!(`・ω・´)b
この小説は、もともと中国語で執筆したものをAI翻訳を通じて日本語に変換しています。そのため、不自然な表現や誤った言葉遣いなどがあるかもしれませんが、どうかご容赦ください。
「トントンコーチもついにマッチングアプリで生徒探し始めたんだって?」
コアトレーニング中のユウンは、休憩時間にコウとアーノルドの会話を聞いていた。女の子が来ると、二人の男トレーナーは嬉しそうにゴシップを共有する。コウがユウンに言った。
「そうだよ、しかもね、アキ兄貴がどんなアプリをダウンロードしてあげたと思う?なんとゲイ向けマッチングアプリだって!ウケるでしょ。」
「しかもさ、あのホモフォビア直球ノンケが、意外とアプリ内で人気出てるんだよ。」アーノルドが言った。
「本当に?」
水を飲みながら、ユウンは藤毅騰コーチのことを思い浮かべる。筋肉と体型はなかなかだけど、千円カットで刈り上げたみたいなヘアスタイル、パンツと合わない色のトレーニングウェア、剃り残したヒゲ、モジャモジャのふくらはぎ……考えれば考えるほど減点ポイントが出てくる。最後に素直に聞いた。
「ゲイって、こういうのが好みなの?」
コウとアーノルドは顔を見合わせて、困ったようにまたユウンを見る。「それは……知らないなぁ」って顔だ。そもそも「トントンがイケメンかどうかなんて俺らには関係ないし」って感じ。
「で、進展はあったの?」
自分が聞く相手を間違えたことに気づいたユウンは、話題を変える。
「さぁ、どうだろうね?」アーノルドが言う。「さっきチラッとスマホ見たけど、メッセージめっちゃ来てたよ。」
「それはね、新規ユーザー特典みたいなもんだよ。俺も最初はいっぱいメッセージ来たけど、数日経ったら一気に減るから。結局こっちからもアクションしなきゃダメで、しかも急に“会いましょう!”って言うと警戒されるし。まずはプロフィールとかインスタの趣味チェックして、自然に会話に織り交ぜて……」
コウが説明しながら、ふと気付くとユウンとアーノルドがじっと自分を見ていた。
「あ、やべ、語りすぎた……」と黙り込むが、アーノルドの視線がもう「そりゃ女子生徒がコウのところばっか来るわ」って呆れている。
「じゃあ、私の時もそうやって誘ったんだ?最低男~」
ユウンが皮肉っぽく言うと、アーノルドと一緒にコウを置き去りにして、ソファでスマホをいじるトントンコーチの様子を見に行った。
三人はソファの後ろからそっと近づき、トントンのスマホ画面がまだマッチングアプリのまま開かれているのを発見した。
なんだかんだ言って、ちゃんと生徒探ししてるじゃん――
三人はそう思いながら、「やっぱりホモフォビアどうこうより、無職の方がよっぽど怖いかも」と納得。少なくとも、生徒ゼロのトントンコーチも、ようやく普通の人間みたいに緊張してるようだ。
「まぁ、やってるだけマシか」と納得して立ち去ろうとするアーノルドとコウ。しかしユウンが二人を引き止めた。
「ねぇねぇ、どこ行くの?もっとちゃんと見てよ。トントン、このままだと……ヤバくない?」
「ヤバい?何が?」
アーノルドとコウは意味が分からず、さらにトントンの背中にぐっと近づいた。
二人の大きな男が背後からぐいっと迫ると、トントンコーチはさすがに気づき、ソファから体を離して振り返った。
「なに?お前ら。」
「いや、先輩のこと心配してるんだよ。」
「トントンコーチが、好みの男見つけてるかどうかチェック中。」
「……バカか、お前ら。」
二人のニヤニヤ顔には目もくれず、トントンは再びソファに座り、スマホをスワイプし続ける。
アーノルドとコウは彼の両脇にぴったりくっついて、まるで実況観戦。
画面に現れたのは、スーツ姿の四十代サラリーマン風のガッチリおじさん。
――興味なし。トントンは素早く左にスワイプ。
次に現れたのは、タンクトップ姿でサーフボードと一緒に写真を撮る二十代の陽キャ男子。
――これもナシ。やっぱり即スワイプ。
アーノルドとコウは最初こそ何も思わなかったが、だんだんとトントンの行動がおかしいことに気付き始めた。
登山好きの青年、琉球でダイビングをする男子、海外でスノーボードを学ぶイケメン、伝統衣装を着ていて目力の強い先住民風男子……いろんなタイプの男性が次々と登場するが、トントンは誰に対しても一秒もかけずに「ナシ」でスワイプし続ける。
ついにまた次の男性をスワイプしようとした時、アーノルドがトントンの手を止め、小龐がすかさずスマホを奪った。履歴をチェックしてみると、そこにはほとんど全部「×」マークばかり。マッチ成立はゼロ、つまり一回も誰とも会話していなかった。
「先輩、それじゃ“生徒探し”どころじゃないでしょ……」
「いや、始まってすらいないって!」
二人の後ろから見ていたユウンは、「だから言ったでしょ、トントンコーチ絶対問題あるって」と小声で呟く。
「もちろん生徒探すつもりだよ。でも、ほらこれ……」
トントンはスマホを取り返し、みんなに画面を見せる。
画面には、最近人気のアイドルにそっくりな爽やか系男子が、大きな犬を抱きしめて笑っていた。
「わっ、イケメン……」
一瞬心を奪われかけたユウンだが、すぐに我に返る。
そして、トントンのしかめっ面を見ながら訊く。
「え、なにがダメなの?普通にイケメンじゃん。」
「このボタンだよ。」
トントンは、×ボタンの横にある大きなハートボタンと、“好き”を押すとアニメーションがキラキラ飛ぶのを指さし、真剣な顔で言った。
「俺さ、生理的に、あの“ハート”に指を動かすのが無理なんだ。」
「いやいや、ハート押さなきゃ会話すら始まらないから!」
「ボタン一個押すだけだよ、付き合うわけじゃないんだから!」
「そうだよ、なにビビってんの?」
隣のアーノルドとコウも盛り上がってからかい始めると、トントンはイラッとした表情で隣のスミス・マシンを指差して言った。
「うるさい!自分の夜のレッスンメニューでも考えとけよ。俺のマッチングアプリの使い方に口出すな!」
「先輩……」
その時、元ナショナルアスリートのコウが近づき、トントン先輩の隣に座って真剣な目で見つめてきた。その表情にトントンもつい目を奪われる。すると、コウはそっとトントンの手を取ってこう言った。
「スワイプなんて、やってみれば案外簡単なんだよ。俺も最初はめっちゃ迷った。でも、“愛”には勇気が必要だろ?人の目や噂なんて関係ない。君が一度、心を決めてくれたら――このスワイプにも意味が生まれるんだ。」
出たよ……歌詞を語る系のコウ、また始まった。
外野のアーノルドと生徒のユウンは、すぐコウの魂胆に気づいた。
あの濃い眉毛と大きな目で“真剣”なフリして、大学生の女子たちに何人もサインアップさせたあの手口――まさかトントン先輩相手にも使うとは!
「俺、ずっとこの手を離さないでいたいんだ。愛って、シンプルで、傷つかないものであってほしいよね?」
コウはさらに歌詞っぽい言葉を続け、トントンを混乱させる。
そしてそのまま手を引いて、ハートボタンに指を滑らせてしまった!
スマホから可愛い効果音が鳴る。
「うわあああ、なにしてんだよお前!」
愛の音が響き、トントンはパニック。初めてハートを送った男が画面に表示されるや否や、消えてしまい、もうやり直しは効かない。
「ここまでが俺のサポート。先輩、あとは頑張って。」
コウは親指を立ててアキ兄貴の真似をしたが、次の瞬間、湿ったタオルが顔面直撃。そのタオルからは何とも言えない酸っぱい匂いが……。
コウはタオルを取って叫びながら、後ろに投げつけた。
しかし、そのタオルはアーノルドに命中。
「これ、トントンがさっき使ってた汗まみれタオルじゃねぇか!」
アーノルドは慌てて壁に投げ返し、ブツブツ文句を言う。
「俺はお前のためにやったんだぞ!」
コウが言い訳しつつ、またトントンのスマホを奪おうと手を伸ばす。
「なにやってんだよ、お前は!やめろって!」
トントンが警戒すると、今度は足音が近づく。
「俺も見たい!」
アーノルドも興味津々で近寄ってきた。
三人の男が一つのソファでぎゅうぎゅう詰めになってモゾモゾしているその光景に、後ろで見ていたユウンはふと思った。
(シュウ姐さんがいないと、この人たちみんなサボりだすんだよね……)
だからシュウ姐さんが毎日怒鳴ってるのも無理はない。ジムのオーナーのアキ兄貴でさえ、いつも何事にもあまり関心を持たないタイプだし。でも今は――
ユウンもトントンコーチのスマホ画面が気になって、少しずつ近づいていった。
正直、彼女も気になっていた。あの“ホモフォビア”なトントンコーチ、実際どうやってゲイアプリで会話するんだろう?
みんながトントンのアプリ画面を見つめる。でも数分経ってもまったく動きなし。
ひたすら「ナシ」をスワイプするトントンの指だけが忙しい。
そんな中、コウが言い出した。
「おい、全然動きないじゃん!」
「そうだよ、なんでこんなに遅いんだ?それとも相手がオフライン?」アーノルドも続く。
「いやいや、ほら、ここに“本人オンライン”って表示されてるだろ。絶対、俺たち大イケメン軍団に何て返事しようか迷ってるんだって!」
そう言った瞬間、コウの腹をトントンが軽くパンチ。
「お前ら、ちょっとは考えろよ……」
その後ろからユウンが口を挟む。
「もしかして……相手、最初からトントンに興味ないんじゃない?」
三人のノンケ男は、その一言で三秒フリーズ。その後「ああ、なるほど」と納得してうなずく。
その様子を見て、ユウンは教練たちの知能指数に軽く絶望し、ため息をついた。
「とにかく、返事が来なかったら次に行った方が早いよ。」
「ほら、トントン先輩、さっさと次行けよ!」
コウがまた手を伸ばす。今回はトントンもすばやく反応して身を引き、二人の後輩との距離をとる。
「やめろ!絶対にお前らには触らせないからな!」
「ちぇっ、これじゃ俺たちネタが……いや、先輩、そのまま意地張ってたら生徒なんか見つからないぞ!」
コウは本音を言いかけてあわててごまかす。そうしてスマホを奪おうと、二人はマットエリアで犬みたいにじゃれ合いながら取っ組み合い。
「アーノルドコーチ、止めに行かないの?」
ユウンが聞く。
「やだよ、俺まで巻き込まれるじゃん。まあ大丈夫、二人ともMMA(総合格闘技)やってるから、グラウンドの攻防は慣れてるし。」
「え、そういう問題じゃ……あ!スマホ!」
トントンのスマホは、二人が床で取っ組み合っている間に滑り出し、ちょうどユウンの足元に転がった。
ユウンがスマホを拾い上げ、アーノルドと一緒に画面を覗き込むと、さっきまで消えていたディスプレイが急に点灯し、例のゲイマッチングアプリの画面が現れた。
そこには、大きなハートとカラフルなリボンがはじけるアニメーション、そして「おめでとうございます!」の文字。
「おめでとうございます、マッチング成立……チャットを始めましょう。」
ユウンが画面のメッセージを読み上げると、地面でコウと絡み合っていたトントンが一瞬でコウを蹴飛ばして立ち上がり、急いで駆け寄った。
画面には、さっきの男の子のアイコンと自分のアイコンの間にハートが浮かんでいて、トントンは一気に顔色が青ざめる。
慌てて画面を消してスマホを短パンの中にしまい込むが、直後に通知音が鳴り響いた。
「何やってんの?ほら、早く返事しろよ!」
「いや、あとで返すって……」
トントンが渋っていると、ユウンは「ほら、スマホ貸して」と手を差し出す。
トントンは首を振るが、ユウンはもう一度言う。「スマホ貸して。あいさつだけ返すから。別に本気で会話しなくてもいいけど、せめて一言は礼儀でしょ?ほら、早く。」
しぶしぶながら、トントンはスマホをユウンに渡す。
ユウンは画面ロックを解除させ、アプリを開く。相手のメッセージを見ると、「こんにちは!」とだけ書かれていた。
ユウンはそれに「こんにちは!」とだけ返信し、二人でしばらく画面を見つめる。
……が、相手からはなかなか返信がこない。
「なんで返事こないんだろう?」
トントンが首をかしげると、ユウンはあきらめたように答える。
「普通だよ。あんたがすぐに返さなかったから、相手も“興味ないんだな”って別の人に行っただけ。ね、ゲイアプリも別に怖くないでしょ?……トントンコーチ、なんでそんなにゲイ嫌いなの?」
「別に嫌いじゃない。ただ、そんなに好きじゃないだけ。」
――それ、嫌いとどう違うの?
ユウンは内心でつっこみつつ、「まあいいや」とスマホをトントンに返した。
「とにかく、その人はもう多分返信してこないよ。それから……」
――このままずっとバカなままだと、最後は誰も助けてくれなくなるよ。
「…………」
藤毅騰はユウンの表情から目をそらし、そのまま視線を下げ続けた。ユウンがジムを出て行くまで、ずっと。
「……なんか、空気重くなったな。」
コウがアーノルドのそばに寄って小声で言う。アーノルドは腹筋を肘でつつきながら、「お前もちょっとやりすぎだったぞ」と返す。
「いや、お前だって最初はトントンのこと茶化してただろ?」
コウが言い返すと、アーノルドも何も言えなくなる。
ふたりとも冗談半分だったが、今は目の前のトントンにどんな言葉をかけていいか分からず、そっと自分の仕事に戻った。
トントンは通知音をオフにし、スマホのゲイアプリの虹色アイコンを見つめた。
さっきのユウンの問い――「トントンコーチ、なんでそんなにゲイが苦手なの?」――が頭から離れない。
「いや、別に“苦手”ってわけじゃ……」
普段はお調子者のトントンも、珍しく真剣な顔をしていた。
ちょうどスマホをポケットにしまおうとしたその時、突然バイブが鳴り、手がすべりそうになる。
慌ててスマホを握り直し、画面を見ると――マッチングアプリに新着メッセージが二件。
開いてみると、さっきコウに強制的に“いいね”されたあの男の子から。
ユウンの言ったとおり、既読スルーじゃなく、ちゃんと返事が来ていた。
『ごめん、さっきちょっと仕事してた(笑)』
トントンは「まあ、そりゃそうだよな」と納得した。今は平日の昼間、自分みたいに生徒ゼロで暇してるトレーナーでもなきゃ、普通の人は仕事中。だから、メッセージのやり取りが遅いのも当たり前だ。
しかし、次の一文を見てトントンは手が止まった。
『で、君は何を探してるの?』




