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その7

 福与かな体系をした年配の女性サラアはフィオレンティーナとカイルとロッシュを値踏みするようにじろじろと見て

「まあ、見た目も悪くないし」

 目がキリっとしているのがいいね!

 と言うと

「私は人を見る目はあるんだよ」

 とアハハと笑って

「こっちへきな」

 と二階への階段を上がった。


 フィオレンティーナとカイルとロッシュが案内された部屋は少し手狭な部屋であった。

 それでもベッドは2つありサラアはさっぱり

「こっちはご夫婦さんようね」

 と言い

「それでそっちのあんちゃんはこっちだよ」

 と部屋を出ると隣の部屋へとロッシュを連れて行き

「お邪魔虫のあんちゃんはこっちだよ」

 と告げた。


 ロッシュは「……お邪魔虫……」と思ったものの冷静に

「御意」

 と答えた。


 サラアはフィオレンティーナとカイルの部屋に戻ると

「さて、お嬢さんは料理とかは出来るのかい?」

 と聞いた。


 フィオレンティーナはきっぱりと

「できます」

 と答えた。


 サラアはウンウンと頷くと

「なら問題ないね」

 と言い、カイルを見ると

「あんたは別にいい」

 とスルーし、ロッシュを見ると

「あんたは体力に自信がありそうだね」

 と告げた。


 ロッシュは「問題ありません」と答えた。


 サラアは立ち上がると

「じゃあ、早速二人には働いてもらうことにするよ」

 と歩き出した。

「こっちだよ」


 フィオレンティーナとロッシュは頷いて立ち上がりカイルを残して部屋を出ると階段を下りて通りへと出た。


 フィオレンティーナはカイルの様子を見るために肩越しに宿屋を振り返り

「あそこが私とカイルの部屋ね」

 隣が……ロッシュの部屋

 と言い、目を細めると

「まさか、そういうことなのかしら?」

 と心で呟くと前を行くサラアに

「働くのは宿屋ではなくて外なんですね」

 と告げた。

「毎日帰ることが出来るのかしたら?」


 サラアは頷くと

「もちろん」

 ほら見えるだろ? 町の中央にある屋敷

「トンプソン子爵さまのお屋敷だ」

 そこの下働きをしてもらうからね

「安心してもらっていいよ」

 と答え、少し意地悪く笑むと

「そんなに旦那が恋しいのかい?」

 と聞いた。


 フィオレンティーナは笑みを深めると

「ええ、守るべき人がいるので様子は何時でも確認できるようにしておきたいと思います」

 と答えた。


 サラアは目を見開くとアハハハと大きく笑って

「そりゃ、熱々だねぇ」

 全くあんたみたいに楽な子は面倒のみがいもあるってもんだよ

 と告げた。

「説明が少なくて済む」


 フィオレンティーナは笑むと

「誉め言葉と頂戴しておきますわ」

 と答えた。


 ロッシュは首を傾げつつ、二人の後をついて足を進めた。

 サラアが案内したのはオズワンドとの国境近くを領地とするトンプソン子爵の館であった。


 館の裏の入口に立つと番兵に

「先日、お話をいただいていた賄いの娘と臨時労働の若者を連れてきました」

 娘は私の遠い親戚の子で話をしてきてもらいました

「腕は確かですよ」

 と言い

「この若者は娘の知り合いで……まあ、体力には自信があるとかないとか」

 と告げた。


 番兵は2人を見ると

「よし、入れ」

 と中へとフィオレンティーナとロッシュを連れて入った。


 それを見送り

「さて、私が出来ることはここまでだから……悪いが後は自分たちで切り開いておくれ」

 世界の未来のために

 と呟き、背を向けると今来た道を戻った。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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