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その4

「全く、正気の沙汰じゃない!」

 そう言い放ったのは気絶しかけていたロイであった。

 

 フィオレンティーナは激怒する彼を前に

「そうね、彼が一番常識人かも知れないわね」

 と冷静に心の中で突っ込んでいた。


 もちろん常識人だと思うが、彼の言葉に従うかと言うと『No』である。

 今ここでフェーズラッドをオズワンドに委ねてしまっては世界は大きく傾いでしまうことは明白であった。

 オズワンドはきっと更に他の国にもその触手を伸ばして以前の聖皇国へと戻そうとするだろう。

 だが、民衆はきっとそれをよしとはしないだろう。


 聖皇国の衰退の原因は強い選民意識による民衆の反発にあったからである。

 聖皇国の中央に住む上流階級の貴族とそれを取り巻くように末広がりにそれぞれの土地で暮らしていた人々はまさに搾取するものと搾取されるもので真っ二つに割れていた。


 その軋みの中で現在のそれぞれの王の先祖がある者は天啓を受け、ある者は使命を感じ、その地域の人々を守り発展させるために反乱を起こしたのである。


 つまり、現在のオズワンド以外の民はオズワンドの国に吸収されることをよしとしていないので、戦乱は各地で勃発し、何れはオズワンド自体も崩壊していくことになる。


 フィオレンティーナは怒髪天を突いているロイに

「それでも、今ここで私たちがアイスノーズの保身だけを行ってもアイスノーズは何れオズワンドに滅ぼされる」

 守るべき時に守り

「攻める時に攻めなければ国は守れない」

 と告げた。


 ロイはふぅと息を吐きだすと

「わかっています」

 ただ、どーして婚礼の儀の日に

 とはぁとため息を零した。


 カイルは苦く笑むと

「ロイ、すまない」

 いま誓いのキスは済ませた

「もう一回しようか?」

 と告げた。


 ……。

 ……。

 ロイは目を細めて

「もういいです」

 と言い

「後の処理はしておきますので、とにかくお二人ともご無事にお戻りください」

 戻られた際はこちらの指示に従っていただきますから

 と目をキランと光らせた。


 それにカイルもフィオレンティーナも少し冷や汗を浮かべた。

 フィオレンティーナはアーサーを見ると

「一番近いルートはオズワンドの脇を通る道だけど」

 と告げた。


 アーサーはそれに

「それは問題ない」

 と答えた。

「ただし、変装はしてもらう」


 それにカイルもフィオレンティーナも頷いた。

 ロイは部屋の入口で警備についていたロッシュを見ると

「ロッシュ、お前も頼む」

 と告げた。


 ロッシュは敬礼して頷いた。


 ジョンはエリーゼ王女を見て

「王女は今しばらくこのアイスノーズで私の土地でお暮しください」

 と告げた。

「その間にフェーズラッドが解放された際に持ち替えられるものを持って帰られた方が良い」


 エリーゼはそれに彼の手を握りしめて小さく頷いた。

 フィオレンティーナは2人を見て安堵の息を吐きだすとカイルとアーサーを見た。


 カイルはアルフレッドに

「じゃあ、後は頼んだ」

 と言うと足を踏み出したのである。

最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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