その13
館のエントランスホールから豪華であった。
吹き抜けの広々とした空間には煌びやかなシャンデリアが光を放ち、床には踏み心地の良い美しいカーペットが敷かれていた。
柱にも多くの装飾が施され一見すると小規模であるが王宮と間違えそうなほどの作りであった。
エドワード・ワルダーはその中央で苛立たし気に腕を組み眉間にしわを寄せていた。
アーサーは番兵に扉を開かせると中へ入り、近衛兵に守られながら左右を行き交っているエドワード・ワルダーを見て
「まだ、見つかっていないようだな」
と第一声で告げた。
エドワード・ワルダーはそれに慌てて平伏すると
「まだ王宮の探索は漸く3分の1でございます」
必ずや王と王女の遺体とペンダントを見つけてみせます
「万が一逃げ出していたとしても既に国中に探索兵を派遣しておりますのでどちらにしても見つかるのは時間の問題かと思っております」
と告げ
「しかし、このままでは政治的に空白ができます」
私が代理王として
と言いかけた。
アーサーはそれに
「それはならん!」
と一括し
「王と王女の遺体が見つからないのは良しとしてもペンダントが無くてはオズワンドとしても他の国に対しても王として認めることができないのは良く知っているはずである」
と告げた。
「サザンドラは手に」
アイスノーズは背に
「イースは剣にウェンズランドは盾に、そして、フェーズラッドはペンダントに王としての呪がかけられている」
エドワード・ワルダーはそれに
「確かにオズワンドから独立した際に……しかし……それは口伝で……」
と告げた。
アーサーは呆れたように口を歪ませると
「別にだからと言ってどうか? ということか?」
と聞き返した。
エドワード・ワルダーは「そこまでは言っておりません」と『そう思っている』と言外に告げながら返した。
確かに各国はそれを現在も延々と受け継いでいる。
アーサーは息を吐き出し
「オズワンドの歴史書に『その禁を破り受け継がれない者が王を名乗れば国は亡びる』それこそがオズワンドの呪だと書かれている」
とにかく今はペンダントを瓦礫の中から探し出せ
「急いでな」
と告げた。
「王も王女も恐らくペンダントと共にあるだろう」
各地に派遣している兵も呼び戻して大掛かりに探した方が早いかも知れんな
「オズワンドの兵にも伝令しておこう」
エドワード・ワルダーは「はっ、ありがとうございます」と答えると
「……致し方あるまい」
と言うと兵士に至急各地の探索の兵の数を減らして王宮の瓦礫を調べるように指示を出したのである。
アーサーは踵を返すと
「急ぐように」
と言い、エドワード・ワルダーの館を立ち去った。
見上げれば空は青く風が流れていく。
彼は息を吐き出すと
「これである程度、手透きにはなるだろう」
動きやすくなるはずだが
「彼女がどこまでシャールたちの心を動かしているかだな」
いやそこまで進んでいるかだな
と呟いた。
フィオレンティーナはアーサーが事態をフェーズラッドの王都で動かしていることを知らずシャール達と共に各地の領主に決起を呼び掛ける行動を開始していた。
もちろん、表向きはシャールの侍女である。
朝に館へ行くとシャールの食事の用意や召し物を着替えさせたりしている。
シャールはフィオレンティーナがアイスノーズの王子の妻であることを知っているので
「あ、いえ……そこまでは」
と真っ赤になりながら告げることもあるが、フィオレンティーナはさっぱりと
「仕事ですから」
と着替えをさせていた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




