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悪徳令嬢は奸臣に無双する フェーズラッド編  作者: 如月いさみ


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11/16

その11

 領土。

 領民。

 国が歪めばその歪みの影響を誰もが受けてしまう。


 それはその国に住む以上は逃れる術はない。


 ミラーは冷静にフィオレンティーナを見て

「策があるというが、我が父も悲しいかな日和見だ」

 確かに宰相が王族に変わることに抵抗はあっても腰が引けている状態だ

「恐らくトンプソン子爵もアンダーソン侯爵もロドリゲス男爵も同じで例えば5つの爵位を持つものだけでは心もとないと思っていると思う」

 と告げた。


 フィオレンティーナはそれに

「つまり必ず勝つという保証があれば動くということだと思います」

 と告げた。


 それに全員が頷いた。

 卑怯だがいま自分たちだけが領民を犠牲にして立ち上がったとしても領土を奪われて終わりになることを恐れているのだ。


 ミラーは腕を組み

「宰相のワルダーに従うなど嫌だと思っているがワルダーの背後にはオズワンドがいて、兵士が既に入り込んでいる」

 アーサーさまが止めようとしても反対に殺されてしまうことになる

 と告げた。


 フィオレンティーナは彼らを見ると

「私の記憶はフェーズラッド王の臣下は12人いたと思います」

 つまり半数近くは現在手を取ることが出来る

「問題はワルダーを除く6人の臣下です」

 まず彼らがどちらに味方に付くかを探る必要があります

 と告げた。


 それにジミーが

「多分5人は父たちと同じように様子見だと思う」

 と告げた。

「クック男爵は間違いなくワルダーの方だ」

 ワルダーが王に進言して男爵になったからな


 フィオレンティーナは頷き

「ではワルダーがオズワンドを後ろ盾にするならこちらはアイスノーズを後ろ盾にするのです」

 と告げた。


 全員が目を見開き

「え?」

 と声を零した。


 フィオレンティーナは笑むと

「私に伝手があります」

 と答えた。

「先ず、皆さんの父たちを説得するのです」

 そして父たちから残り5人の臣下たちに呼びかけを

「アルダーの後ろにいるオズワンドは自らの領地にするために動いている以上、次は皆さんに変わる領主を送り込んできます」

 そうなっては取り返しがつかなくなります

 

 ミラーは冷静に

「敵国の反感を持っている領民がどう扱われるか」

 歴史を学んだ中でオズワンドが中央にいる上流以外の人々からは搾取するだけだったことを考えると

 と告げた。


 シャールもジミーもマーティーも顔を見合わせて頷いた。


 シャールは彼らを見送り、フィオレンティーナを見ると

「確かにフィオレンティーナに言われなければ俺たちは……きっと負けていた」

 と言い

「ありがとう、感謝する」

 と告げた。

「ただ」

 その前にアイスノーズの伝手を本当に持っているのか?

「俺たちに父を説得するための方便じゃ」


 フィオレンティーナは笑むと

「私は仕事が終わりましたらサラアさんの宿屋へ戻ります」

 ご心配なら身を隠してきてください

 と告げた。


 シャールは首を傾げながら馬に乗りフィオレンティーナと館へと戻った。

 夕刻を迎えフィオレンティーナは侍女の仕事を終えると宵闇の中をカイルの待つサラアの宿屋へと戻った。


 カイルは部屋の片隅にあるテーブルの椅子に座って待っており

「夕食はここで食べるように言われているが、トンプソン子爵はどうだ?」

 と聞いた。

 フィオレンティーナはカイルの正面に座り

「そうね、フェーズラッドの臣下は今は様子見みたいだわ」

 ワルダー侯爵に抵抗はあってもオズワンドと手を組まれていて自らの領土を守るだけで必死みたいだわ

 

 カイルは腕を組むと

「なるほど」

 フェーズラッドは現在の王にしても先の王にしても後継者争いになったことがないからな

 と告げた。


 フィオレンティーナは驚きながら

「そうなの? 戦がなかったと言ってはいたけれど」

 と呟いた。


 カイルは頷き

「ああ、子が何時も一人しかいなかったし……フェーズラッドは王族であっても側室は持たないんだ」

 と告げた。


 フィオレンティーナは「あらあら、そうなのね」と少々面食らったように呟いた。


 カイルは冷静に

「まあ、俺も君だけで充分だがな」

 と答えた。


 フィオレンティーナは目を見開いてクスッと笑うと

「そうね、側室を持つと言ったら離縁ね」

 とさっぱり告げた。


 カイルはふっと笑って

「と言うことは永遠にないってことだな」

 とそっと口づけをしようと腰を抱いた。


 コホン。


 ……。

 ……。

「非常に申し訳ございませんが客人も一緒なので」

 とロッシュが目を細めて戸口に立っていた。


「ノックは致しました」


 カイルはそっとフィオレンティーナから離れてロッシュの後ろに立つフードを被った青年を見た。

 青年はフードを取るとフィオレンティーナを見た。

「フィオレンティーナ、そいつが言っていた旦那か?」


 ロッシュは一瞬剣を手にした。

 が、カイルは冷静に

「ロッシュ、いま俺たちは一介の旅人だ」

 と言い、フィオレンティーナを見ると

「彼はもしかしたらトンプソン子爵の?」

 と聞いた。


 フィオレンティーナは頷き

「ええ、シャールさまようこそお越しくださいました」

 と頭を下げて

「こちらがカイル・ホワイト・アイスノーズ様です」

 アイスノーズの第二王子です

 と告げた。


 シャールは目を見開くと

「え?」

 と言うと、カイルとフィオレンティーナを交互に指をさして

「え!? えぇぇぇ!」

 と叫ぶと

「しょ、しょ、証拠は?……それに何故アイスノーズの王族がこんな……」

 と汗を吹き出しながら告げた。


 カイルはふぅ~と息を吐き出すと

「まあ男だから良いか」

 と言うと上着を脱いで背中を見せた。

「これが証だ」

 フェーズラッドはペンダントだろ?


 シャールはじっと見て

「これはアイスノーズの地図の半分?」

 と呟いた。


 フィオレンティーナは目を細めて口を閉ざしていた。

 カイルは服を着ながら

「ここへ来た理由はアーサー王子からフェーズラッドの状況を聞き彼に力を貸そうと決めたからだ」

 と告げた。

最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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