表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/20

サブストーリー〜青春のバンド〜

「なぁ、3人でバンドやらね?」

「や、やるのか!? 今、ここで!?」


 文化祭のちょうど3ヶ月前のことだ。

 鷹木 秀がそう提案した。


 秀は父がギターをやっていたこともあり、幼少期からギターを弾いていた。

 だから腕前はかなりの物である。


 さらに湊もベースの経験がある。


「......という訳で、司がドラムをやってくれないか?」

「え、ええ......2人は?」

「俺はボーカル兼ギターをやる。歌はまあまあ音痴だけど3ヶ月もあればそれなりに完成するだろ」

「うちはベースやな。経験あるし」

「俺、ドラムの経験ないぞ。強いていうなら小さい頃にゲーセンにある某有名キャラ太鼓をやったくらいだ」

「それなら問題ないな」

「な、何で!? 柚李は!?」

「誘ったけど拒否られた」

「それで俺に!? 俺への押し付け感酷くない!?」


 このままだと埒が開かないと判断した秀は司に耳打ちをした。

 柚李にこれをやったところ『興味ないしそんなのでモテたら苦労しない』と一蹴されたが、司になら効くかもしれない。


「(バンドを組んだらどうなると思う?)」

「え? どうなるって......まあちょっと目立つとは思うけど」

「(だろ? ってことは女子にモテるかもしれないんだ)」

「......!?」


 司はドラムなどやったことがないしあまり悪い意味で目立ちたくもなかったので断るつもりだった。

 しかし、女子に良い意味で目立ってモテるとなれば話は別だ。


「やります! やります!」

「はっや」

「ん、まあじゃあとりあえずこの3人で決定?」

「だな、俺らで最高のステージにしようぜ!」

『おーう!』


 それから司と愉快な2人の猛特訓が始まった。

 放課後は時間を空けて3人で集まって必ず練習。


 司はドラム未経験者ということもあり家でも練習をしていた。

 そうして2週間が経った。


「ぜ、全然叩けねえ。......2週間でまだイントロしか完成していないし、そのイントロも不安定だし」


 それもそのはず。


 司はドラムを甘く見ていた。どうせただ叩くだけと。

 それに叩くのは有名曲でありつつ、比較的難易度の易しい方の曲だったので見くびっていたのだ。


「まだ2ヶ月半あるから大丈夫なはず......」

「大丈夫な訳ない。3人でこれを合わせなきゃダメなんだぜ?」

「......」


 そうして時間だけが過ぎていった。

 モチベもなく、不安と怠さだけがバンドメンバーに渦巻いていた。


 時間をかければ上手くなる。しかし微小な物だった。

 最初の段階と変わっていない。


「なあ、バンドやめる?」


 そして、ついに秀はそう切り出した。


「......そっちの方がいいかもな」


 湊も賛成的だった。

 司も正直賛成だった。

 しかし心にモヤが残ったままで気分が悪かった。

 男に二言はない。モテたい。やり切りたい。青春の1ページに刻みたい。


「......もう少しだけ続けてみようぜ。成長期が来るかもしれない」

「人間かよ。......じゃあ俺もまあそうだなあと少しだけ」

「......わかった」


 そしてそんなある日だった。


「......!?」


 練習からの帰り道、久しぶりにゲーセンでゲームでもやって発散しようと考えていると、心陽と柚李がゲーセンから一緒に出てきたのを見かけたのだ。


「ゆ、柚李......い、いつのまに!?」


 心陽は楽しそうに柚李と話しながら歩いている。

 心陽は『学園の聖女様』と名高く、超級の容姿を持っている。


 しかし心陽はガードが硬い。司も一度アプローチしてみたが全部拒否。

 塩対応という訳ではなくむしろ暖かい対応。

 しかしそれで心が抉られて、司は聖女様にアプローチするのをやめたのだ。


 ただ、柚李は心陽と歩いている。


 あんなに心から笑っている聖女様を見たことがなかった。


 それを見た時に湧いてきたのは驚きと柚李に他の友達ができたという嬉しさ、その反面、怒りと嫉妬、そして負けてられないという強い闘争心が芽生えた。


「俺も負けてられるかあああああああ! 帰って練習だああああああああああああ」


 そこから司は練習に練習を重ねた。睡眠時間も削り、生活時間以外全て練習だ。

 その結果、僅か1週間で完成し切ってしまった。

 ここまで来るとモテたいという執念は天才の域を遥かに超えている。


「ど、どうだぁ!」

「す、すげえ、すげえよ、司! 理由はあれだけど天才だよお前!」

「この勢いのままなら行ける。あとは音を合わせて微調整だ!」


 司の成長に合わせてチームのモチベも上がっていき、3人とも放課後の練習が待ち遠しいほど楽しく、やりがいのある日々だった。



 そして現在、司、秀、湊は大舞台に立っている。


 公演は午前と午後の2回。

 (絶対にやりきって、モテてやる!)

 (3人であれだけやってきたんだ。絶対に成功させて見せるっ!)

 (うちはベース。3人の主軸や。......楽しい文化祭の幕開けや!)


 体育館は人で埋め尽くされている。


「緊張するな」

「大丈夫、3人ならやり切れる」

「モテたいんさろ?」

「はは、そうだったな。3人で絶対成功させるぞ!」

『おー!』

 




 


 




 






文化祭と言ったらバンドだよねぇ。

そう言えば文化祭に鈴交換というイベントあるらしいんですけど鈴交換知らないんですよね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ