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春の章 桜が眺める淡い季節 開花1

今回、ちょっと短めです

お待たせしました

鬼の世界へ迷い込んでから数年過ぎて行った。

人喰い鬼の問題は夢刻(ゆめこく)煉華(れんげ)、月がうごいているようで、行方不明者は激減した。

「出会って16年くらいだけど、夢刻さん、見た目変わらないな」

夢刻を見つめて夢茨の言葉に「赤子の時の記憶は覚えてないはずだろうが」と即答した。

「鬼の時間の流れは、お前たちとは違う。しかし、夢茨が自分の姿の変化を不思議におもうならば、この土地に住居を構えるのは潮時かもしれんな」

 夢刻はブツブツと考え込んでしまった。

「えっ、移動するの?」と夢刻の言葉に反応して夢茨は首を傾げている。

はっと夢刻は夢茨を見た。

「ここを去るのは私だけだが?」

「えっ?」

夢刻の言葉に夢茨は不安気に夢刻を見つめていた。

「この家は、お前が使え、後は……私がしていた仕事はお前が全て引き継げ」

有無も言わせない雰囲気の「いいな?」と言う夢刻の言葉に夢茨はコクっと無言でうなづいた。

「人喰い鬼の対応は、煉華様たちに任せておけ、力試しはもってのほかだ」

「えー?! 16だから自分で考えて行動出来る」

夢茨の言葉に夢刻はため息ついた。

「期待? していたよ。 自分で考えて行動するだろうと、でもその行動で示したのは、やれ鬼退治だ! やれ、力試しだ!と1人で突っ走って行ってたよな」

 夢刻は遠い目で乾いた笑いを張りつけて力説している。

「いや、それ俺?」

「お前だったな」

 16歳になったからと夢刻の鬼退治について来て、突撃して煉華さまに助けられてたのはたしかに夢茨であった。

「ちょうど煉華様が来ていたからいいものの!!」

 夢刻は思い出したかのように声を荒らげていた。

「それは、ごめって!」

 夢茨は思い出したかのように謝った。

「なのでお前は平和に暮らせ。何か問題があれば...」

 引き戸を開いたら、白いカラスが夢刻の腕に止まる。

「こいつに手紙を持たせたら煉華さまか、私に手紙を届けてくれる」

 夢刻は夢茨の肩に白いカラスを移動させた。

「煉華さまになら、恋文か」とにやにやと笑いながら夢茨をみていた。

「??!」

 真っ赤になった夢茨は顔を隠す。

「いや、ちがっ!」

 夢茨は全力で否定をする。

「ちがっくないけど! 身分が違うというか! お話できるだけでしあわせというか!!!」

 夢茨はにやにやしている夢刻を睨む。

「そこかしこに身分違いの恋の話はゴロゴロしている、気にし過ぎだな」

 夢刻は睨まれたまま平然と言葉を続けた。

夢茨は真剣に夢刻を見た。

 煉華は、夢刻と同じ鬼で外見が変わらず年月が過ぎていく。

 その中で間違いなく夢茨は、衰えて老化していく、最後には死別である。

「煉華様、ひとりぼっちにしてしまうなら……」

 しょぼんと気を落とした夢茨の頭をポムポムと撫でてやる。

「種別違いの恋もその辺に転がっておるがな…」

 夢刻は慰めるようにしていた。

「まぁ、煉華さまも気を張りつめていらっしゃる時あるから、良い気分転換にもなるだろう」

 夢茨はゆっくりうなづいた。

「ところでこいつの名前は?」

「お前が名付けろ」

 荷物を纏めながら夢茨に名付けを任せている。

「いいの?! 」と嬉しそうな夢茨の声が聞こえてきた。

「八雲でいい?」

カラスはそっぽ向いている。

「八雲、いいんじゃないか」

 夢刻はうなづいた。八雲と名付けられたカラスは羽根の手入れを始めている。


 夢刻は旅立つ前に煉華の屋敷に来ていた。

「用とはなんだ?」

「この土地に腰をおろしてもうすぐ30年になります。怪しまれるまえに名前を変え、別の土地に移り住みます」

 煉華の言葉に夢刻はつたえる。

「あいつはこの土地に残していきます。 」

「夢茨は、納得しているのか?」

 夢刻は煉華の言葉に苦笑している。

「教えたいことはまだありますが、彼の両親の墓がこの土地にあります。 頼まれたのは生きるためにに困らないくらいの事を教えて欲しいと言うことでした。」

 夢刻は「見守り続けたいはずだと思ってますので連れていくことは出来ません」と続けた。

「なので、無茶をしないように、時々でいいので見てあげてください」

 夢刻は真剣な目で煉華をみつめた。

「まぁ、暇人なので様子見くらい問題ない。 知らない仲でもないし」

 煉華は快くうなづいていた。

「感謝いたします」夢刻は感謝を言葉にし一礼をした。

「このまま、向かうのか」

「はい」

夢刻の言葉に煉華は頷く。

「気をつけてな」

「また、報告ありましたら戻ります」

立ち上がり、屋敷から出ていく。

 その日のうちに夢刻は別の土地に移動していたのだった。

不定期更新中……

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