春の章 桜が眺める淡い季節 蕾1
久々に書いたら言葉回しや文章回しが大変だ...。
大丈夫かな…
古い寺院を元気に走り回る少年の姿。
何かを探しているような素振りを見せながら縦横、あっちやこっちに何度もお寺の周りを見回る。
小さな釜戸の中や、井戸の中も覗き込んでいる。
お寺の屋根の上でその様子を眺めているのは淡い桜色の髪を持つ鬼。
(また、来たのか)
屋根の上で寝転がって諦めるまで待とうと人の子を眺めている。
「何してるの、姉様?」
すっと、背後に気配が現れる。
少し空気が冷え、誰が来たかわかったのか手で伏せろ、しゃがめの指示をした。
銀色の長い髪をそのまま下ろし、巫女服に着物を羽織った少女は姉の指示に従う。
「見つかると騒がしくなる」
面倒くさそうな姉の口調に少女は姉と同じ方向に金色の瞳で見る。
「人の子ですね。あの子は小動物でも探しているのでしょうか?」
少女は籠の中を覗き込む少年を見て姉と同じく気配を消して小首を傾げる。
「あー、多分だが、探してるのは、私じゃないかな」
言いにくそうに口に出す。
「いやいや、でしたらあの籠小さすぎて、姉様は、入りませんよ…」
優しげな雰囲気の妹から「何を言ってんだ」と言う表情をして呟くのを聞き流しつつ眺め続ける。
ずっと探していたが諦めたかのようにとぼとぼと家路に向かっていく夢茨を確認したあとストっと地面に降り立つ。煉華と天華
「煉華姉様、人の子に追われてる?」
コテっと首を傾げる妹に対し「天華、人聞き悪い事いわんでくれ」と言いながら煉華は大きなため息をついて脱力している。
「ところで、なんで私を探しにきた?」
「楽しそうに出ていかれたのでどこに行くのかな?と思って」
天華は、探していた訳ではなく着いてきていたことを察し煉華は頭を抱えていた。
「夜か、月に行先を伝えてきたのか?」
滝のような汗を浮かべている天華。
「1度、帰るぞ。大変なことになる」
煉華はため息つきつつ天華を首根っこをつかみ鬼の世界へと戻る。
「姫様がたー!」
すごい速さで走って迫り来る黒い影が声を張り上げている。
「…夜だー」
「止まれ! まて! お前は、手加減とかできないだろうが!」
嬉しそうに手を振る天華と対象に慌てて手で制止させようと声を上げた煉華。
夜と呼ばれた黒い髪を肩口で乱雑に切った髪を振り乱して走しり抱きつこうとしていたが、煉華の言葉にピタっと止まる。
「...手加減? 姫様は、私より強いじゃないですか」
煉華に対して夜はキョトンと問いかけている。
「夜は、いつも全力しか出来ないからですね」
天華も暖かく微笑んで見ている。
「今から、手加減を覚えて貰わないといつの日か、夜に背骨へし折られるぞ。」
「あの、煉華さま、このままいつまで止まってればいいですか?」
煉華の言葉に重ねるように弱々しく呟く夜は両手を広げて踏み込もうとしている姿勢で止まっている。
「…誰か絵師通ってくれないかな。」
にやにやと笑いながら周囲を見渡した後に夜に目線を送って呟く。
「やめてくださーーーい!お嫁にいけにゃい!」
煉華の言葉により色々限界になっている夜は一層の涙目になって叫ぶ。
「天華さま!!たすけてーー!!」
にこにこと笑いながら煉華と夜の掛け合いを眺めていた。
「普通にしたらいいだろう」
ため息つきつつ煉華は肩をすくめる。
「ところで天華さま、いなくなるなら言ってください。お偉いさんたちとか月から怒られるの私なんですよ!」
握りこぶしを作りつつ夜は天華に訴える。
「遊びに行くなとは言いませんし! ついて行かせてもらえると怒られないし、護衛しないといけないんですから一緒に行きたいです」
本音がダダ漏れている夜。
怒られたくないが全面に出ている夜は希望に溢れた目を天華に向けていた。
はるかに背の高い夜の頭を撫で「今度は、一緒に抜け出そうか」と笑いながら言ってると少し驚いた顔をしたがすぐに嬉しそうにうなづいていた。
「あ、そういえば。人を喰らう鬼が人間の世で派手に暴れてるらしくて。行くなら注意しろと」
夜は天華と煉華を真っ直ぐ見て報告の体を取っていた。
「別に人を食わなけりゃ食わなくてもどうにかなるんだけどなー」
煉華は呟きながら派閥で意見が割れているのを考える。
「みんなピリピリでこわすぎますぅー」
プルプルと震えて涙目で夜は声を上げる。
「んー。だけど夜。気を抜くと馬頭鬼になるから遊びに抜け出せないね」
煉華は夜の肩を叩いて言う。
「えっ!?」
「変化の術を完璧にしてからじゃないと行かせられないね。いやー、寂しいわ。夜、残念だね」
驚いた声を上げた夜に煉華は追い討ちをかけてきていた。煉華を見つめて震えて既に目にいっぱい涙を浮かべつつある夜。
「せめて5日続けれるようにがんばれ。性別を変えないから楽勝だろ」
なおもにこにこと笑顔で煉華は夜に言う。
「変化の術、教えるから頑張ろ?」
「…て、てんかしゃまーーー」
撫でてくれている天華に抱きついているが、背骨がありえない音を響かせていた。
夜が腕から解放した瞬間、へにょーとくだけ落ちた天華を見て「言わんこっちゃない」と煉華、夜は慌てふためいていた。
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