表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

ラッキースケベ

俺の名前は『永田董次(ながたとうじ)』都内の高校に通う15歳。


休日の今日は優雅なひと時を楽しむために、オープンテラスのあるカフェに来ている。


「次の方どうぞ」


このカフェはカウンターで注文して飲み物を受け取ったあと自分で席まで持っていく方式を採用している。


「店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?」


「もちろん、テラスで」


「え?今日風が強いのでお勧めできませんが」


「かまいません」


「そ、そうですか」


「はい、飲み物はブレンド大で」


「643円になります」


お金を払いコーヒーを受け取ると、テラス席へとやってきた。


なぜテラス席にやってきたのか、それは今日は風が強いからに他ならない。


席に着くと、スマホを取り出してアプリを起動して漫画を読み始めたふりをしながら歩道を歩く人たちを観察し始めた。


もちろん狙いは、自分のスキルラッキースケベ(願望)の発動を狙ってのことである。


テラスに座り、一切読んでいな漫画のページを時折進めながら横目で道を見ているが、いまだにラッキースケベが発動しない。

それどころか、風が強いせいかスカートを穿いた女性すら通らない。


「お代わりはいりますか?」


1人しかいないテラス席で、漫画を読むふりをして半時間もたつとコーヒーが空になっていた。

それでもそのまま読むふりを続けていると店員が、お代わりを持ってきた。


「いただけますか?」


「はい、それにしても寒くありませんか?」


「ちょうどいいくらいなのでこのままで大丈夫ですよ」


店員には強気に振舞っているが、冬先で木枯らしが吹く中で陰り始めたテラス席は相当寒かった。

それでもテラス席に座るのは、使命感があるからである。


さて、新たに温かいコーヒーで体を温めながら歩道へと目を向けると、肩までの黒髪に少し太めの胴体、この時期に履くには寒そうなチュールスカートを履いた後ろ姿が目に入った。


顔が見れなかったことや、少し太めの体系なのが好みではないが、スカートを履いている人が少ないこの状況で文句を言ってられないと、後姿を凝視して強風が吹くのを今か今かと待ちわびる。


そしてついに強風が吹くとゆっくりとスカートがめくりあがる。


正確には、脳内に焼き付けるため、ゆっくりめくりあがるように感じているのだが。


ゆっくりとめくりあがるスカート、最初に見えてきたのは、黒いソックスに包まれたふくらはぎが見えてきた。

やはり少し太めであるが、問題はない。


次に太ももが見えてくるが、ここで少しげんなりしてしまった。

毛の処理を怠っているのか、少し離れたここからでも生えているのが確認できたからである。


それでも、次に見えてくる光景に心を躍らせながらさらに食い入るように見つめると、ついに待ち望んだ光景が目に入ってきた。


それは黒かった、ただ黒いだけではなく今流行りと聞くボクサーパンツであった。


期待したものではなかった失望もおしりの形をはっきりと見せるパンツに今日初めて見たという待ち望んだものが見れた興奮が上回り、脳内にしっかりと焼き付けた。


完璧にまくりあがったスカートを手で押さえて隠しきれるまでの間しっかり記憶をして満足したところで、どのような方がこの形のいいおしりをしていたのかが気になった。


こちらを振り向かないかと思ってみていると、スカートを直し終わった人物が恥ずかしそうに周りを見渡しこちらを振り向いた。


少し距離が離れているとはいえ見ていたことを気づかれるのは、さすがに気恥ずかしい部分があるためさもコーヒーを飲んでいたように装うようにカップに口をつけていると、その人物の顔がはっきりと見えた。


そこにいたのは青髭を化粧で頑張って隠そうとしているが、全然隠しきれておらず、そのうえ真っ赤な口紅に濃いシャドーラインを引いて、一切女装を隠す気のない人物が立っていた。


あまりの衝撃に口に含みかけたコーヒーを吹き出すと、咳き込んでしまった。


「お客様、大丈夫ですか?」


先ほどお代わり入れてもらってから数秒しかたっていなかったためまだ店内に戻っていなかった店員が慌てて駆け寄って背中をさすってきた。


「だ、だいじょ」


店員を安心させるために言葉を返そうとするが咳き込んでおり、なかなか言葉が返せなかった。

出てこない言葉を無理やり出すよりも、一度落ち着こうとしたときにふとあることが思い浮かんだ。


『あれ?さっきの後ろ姿があの女装野郎ってことはさっきのパンチラは』


「う゛ぇ」


「だ、大丈夫ですか。て、店長来てください」


気づかなければよかったことに気が付いてしまい、吐き出してしまった。


その後、コーヒーを飲んだ後に吐き出してしまったことにより、食中毒の疑いをかけられ救急車にて搬送されてしまった。


医者によると食中毒ではなく、ストレスにより胃液が逆流したのではないかとの結論になったわけだが、ストレスの原因を聞かれたときにはわからないで押し通した。


1日間入院して、退院後その足で迷惑をかけたカフェに親とともに謝罪に赴き二度とそのカフェには寄ることはなかった。






今日の成果


女装野郎のボクサーパンツ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ