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質疑応答のその後に

 立ったままこちらを見ているルカの視線に気付き、私とリュイは椅子から立ち上がった。一応私が頭を下げると、リュイもそれを見て頭を下げた。

「ああ、いや頭を上げてくれ。君たちは別にあんな風にならなくてもいいんだよ」

 その言葉を聞いて、私とリュイはいつも通りにルカのほうに視線を移した。


「ルカ様、ご依頼されていた魔法薬が期日までに仕上がりましたので持ってきました」

 私はそう言って、ルカの前に魔法薬の入った袋を差し出す。彼はその袋を受け取り、中身を空中に浮かせて種類や数を確認していた。

「依頼通りの数、種類……完璧だね。追加の依頼も確認してくれたかい?」

「はい。封筒に入っていたので確認済みです」

「それなら次も大丈夫そうだね。いやあ、サラが仮死状態だったと聞いた時には凄く驚いたよ」

「今大丈夫ならそれで良いかと……」

「サラはそういうことには無頓着なところがあるよね。まあ、あの時大勢の人が君のことを心配していたのは真実だよ。そこは覚えておいた方が良いよ」

「そうですか……」

 そう言うとルカはクルリとまわって、リュイと視線を合わせた。


「やあ、リュイ。久しぶりだね。相変わらず綺麗な金色の瞳だ。透明感が少し増したんじゃないか?」

「お久しぶりです。ルカ様……。瞳の色そんなに日によって変わったりするんですか?」

「ああ、変わるとも。それより卵の調子はどうだい?」

 リュイははっとした様子で、慌てて自分の鞄からあの箱を取り出し、蓋を開ける。リュイは箱の中に座るように置かれた卵をルカのほうに傾け、中身が見えるように手に持った。

「えっと……これで卵は見えますか?」

「ああ、ちゃんと見えるよ。これはこれは……。この前より大きくなっているじゃないか! それに卵の殻のツヤも増している。毎日魔力を与えているのかい?」

「はい。毎日起きてから、手をかざして魔力を吸収させています」

「うん。いいね! そのまま続けてくれるとこちらとしても凄く助かる。この卵は引き続きリュイに預けるとしよう」

 そう言って、ルカはリュイに卵をしまうように指示をした。

「誤って卵を落としてしまっては大変だからね。しっかりと蓋をしておくんだよ。そうだなぁ。あと何回かは呼び出すかもしれないけれど大丈夫だよね?」

「はい、大丈夫だと思います。分かりました蓋はしっかりと閉めます」

 リュイはその指示に従い、蓋をぎゅっと押した後鞄の中に卵の入った箱をしまった。

「引き留めて悪かったね。今日はもうこちらの用事が済んだから帰宅しても構わないよ」

 ルカがそう言うと、ポンという音と共に目の前にドアが現れた。


「サラが僕と話したいって言うなら、止めないけれど……」

「いえ、全くその気はないので失礼させて頂きます。リュイ、私の手を握って」

「はい!」

 リュイが手を繋いだことを確認して、私はドアノブに手をかけた。ドアはゆっくりと開き私たちはその中に足を踏み入れた。そんな私たちを、ルカは笑顔で見送っていた。


 気付いた時には、受付のある出入口のところに立っていた。リュイもちゃんと手を繋いだまま付いてきている。

 私はあたりをキョロキョロと見まわして、レミナの馬車を探した。

「あ! サラ、あっちに馬車がありますよ!」

「少し遠いわね」

 馬車を見つけた私たちは、小走りでその馬車の元へと向かった。馬車のドアをコンコンと叩くと、中にいたレミナがドアを開けてくれた。


「サラ、リュイ……おかえり!」

「ご無事そうで良かったです」

 レミナと管理人の言葉を聞きながら、私とリュイは馬車に乗り込んだ。全員が座ると馬車は急上昇し、スピードを上げて街のほうに向かって進みだした。

「まずは管理人さんを街の図書館に降ろすわね。図書館が開いていないと支障が出る人がいるかもしれないし」

「レミナさんありがとうございます。来館された方たちに迷惑をかけないうちに開けられそうで安心です。皆さんもまた図書館にいらしてくださいね」

「僕はまだまだ読み足りないので、また本を借りに行きますね!」

「私も調べ物の続きがあるので、また伺います」


 そう話している間に、街の図書館の前に馬車は着いた。管理人さんが降りた後、私たちは彼女に手を振る。馬車は浮き、今度は私たちが住む村のほうに向かって進みだした。

 馬車は数分ほどで、私の家の庭に降りた。風に揺られて花たちは大きく揺れている。私とリュイは馬車から降りて、ここまで乗せてくれたレミナにお礼を言った。

 レミナが乗った馬車を見送り、私たちは家の中に入った。時間的にはまだお昼頃ではあったが、身体の疲れはピークに達していたので私は自室に戻り休むことにした。

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