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外出

 太陽の光が差し込む前に目覚める。花の季節ではあるが、早朝はまだ冷える。毛布をズルズルと引きずりながら暖炉に火をつける。

 だんだん暖かくなってきた部屋の中で、ぼーっとしながら揺れる火を見ていた。ハッと今日の予定を思い出し、私は毛布をベッドに戻した。

「街に行くんだった!」

 適当に朝食を済ませ、外出用の服を準備する。

「久しぶりだわ。何を着ようかな……」

 外出するときはいつも少しだけ胸がドキドキする。何着か試着して、お気に入りのワンピースを選ぶ。

 まだ静かな村の道を歩いて街に向かった。歩いて1時間くらい程で街には着いた。朝早いのに街は入り口から活気に溢れていた。

「あら、サラさん久しぶりね~木の実の季節以来じゃない?」

「サラちゃーん、寄っていきなよ!果実たくさんあるよ!」

「おはようございます、サラさん。前に頂いたお薬のおかげで傷跡も残らず怪我が治りました。ありがとうございました!」

 街の人が声をかけてくれ、私は返事をしながら目的地に向かった。


 数分歩いて目的地に着いた。町の中心にある見た目が少しゴツゴツとした造りの大きな図書館だ。

 大きく重い扉を開けると、紙とインクの香りが広がる。身長の何倍もある高さの本棚が奥までぎっしり詰まっている。

「サラさん、おはようございます。本日は何かお探しでしょうか?」

「新薬の報告書と魔法に関する最新の書物は入ってきていますか?」

「それでしたら、あちらの棚に揃っていますよ。……どうぞごゆっくり」

 図書館の管理人はニコリと笑い、少し先にある棚を指さして教えてくれた。


 棚から報告書と書物を手に取り、窓際の椅子に腰かける。

 新しい新薬は使えそうね、でもこちらの報告書の新薬はまだ改良できそう……私はすべてページを確認しいくつかメモを取った。

 報告書を机に置き。書物をパラパラと捲る。書物には色々なデータや最近の出来事などが綺麗にまとめられていた。その中の1ページに目を留める。


 ――人間の子供に後天的に魔力が現れる事例が数例確認された。いずれも15歳以下の子供にみられており、魔力の強弱は検査中である。魔力が現れた場合は、速やかに届出を……――

 この子たちはこの先どのように扱われるのだろう、そう思いながら書物を閉じる。報告書と書物を元の棚に戻し、私は図書館を出た。

 街中にお昼を知らせる鐘の音が響いていた。


 私はすぐ傍にある、建物に入った。誰もいない室内で立っていると、奥から声がした。

「いらっしゃい、サラ。待ってたわよ」

 奥から出てきたのはこの家の主であるレミナだ。彼女も魔女で、この町で病人や怪我人を診ている。

「ごめんなさい、少し遅くなってしまって」

「いいのよ、気にしないで」

「これ、頼まれていた薬を持ってきたの。」

 ドサッと机の上に薬の入った袋を置く。

「ありがとう! あなたの薬、本当に出来が良いから街の人も大喜びよ」

「そうなの! 良かったわ」

 レミナと会話をすることも久しぶりで、昼食をとりつつお互いの近況を報告し合った。

 私は図書館の最新の書物について、レミナに聞いてみることにした。

「レミナは後天的な魔力について、どう思う?」

「そうねぇ……」

 レミナは何か考えているようだった。


「今ね、ちょっとした事情で預かっている子がいるの。その子、おそらく後天的な魔力を持った可能性がある子なの。」


 会ってみる? というレミナの問いかけに私は頷いた。

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