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はじまり

 魔女は様々な場所で生まれる。草原の真ん中、風がぶつかる谷底、湖の光が反射する森の中……。魔女であるサラは色とりどりに咲き乱れる花畑の中で生まれた。


 この世界で魔女は一般的な存在である。特別扱いなどなく、忌み嫌われる存在でもない。

 魔法書を扱う図書館や、魔女の作ったくすり、魔女が開業した医院、田畑を耕し生活をする魔女……。そんな風に彼ら彼女らは生活をする。

 異なる点でいえば、魔力があることぐらいである。


 サラを育ててくれたのは、偶然花畑を通りかかった老夫婦だった。子供もなく2人静かに暮らしていた。

 花畑の中声を上げる赤ん坊を見つけ、彼らは神からの贈り物だと話しながらその魔力がある赤ん坊にサラと名付けた。


「サラ、私たちの元に来てくれて嬉しかったわ。今まで本当にありがとう。最期にあなたの魔法が見たいわ。あの魔法を私に使っておくれ……」

 母は魔力を持たない人だった。魔力を持たない人間は生きることができても約80年。母とはもうすぐ永遠の別れになるのだ。

 父は横で涙を流しながら、母の最期を見ていた。

「分かったわ。お母さんがそう望むなら」

 私は母の胸に手を当て魔力を使った。

「お母さん今までありがとう。……、本当に楽しかったわ」


 母の周りがふわりと光に囲まれる。

 母の髪の毛の先や足先、指先から花びらが舞い続け、手を当てた母の胸のあたりで

 花びらがまとまり1つの花束になった。

「綺麗ね」

 母は最期に微笑みながらそう言った。


 私の魔力で使える特殊魔法は人間の命を花に変えるものだった。

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