#1-22 イースターマーケット//第2話
電車を降り、人の波に流されるように改札を出る。
駅前の広場は、沢山の人でごった返していた。
駅に行く人、駅から出てきた人がすごく沢山いるし、私達と同じように待ちあわせをしているのであろう人も沢山いる。
こんなに人が多いのなら、待ちあわせ場所をもっと細かく決めていればよかったな……。
駅前の広場、としか言われていない。
合流できるのだろうか。
すんなり合流できればよかったのだが、そう上手くはいかなそうなのでスマホを取り出す。
こういうときこそ、スマホで連絡をとればいいのだ。
3人のグループチャットを開くと、くるみんからメッセージが来ていた。
くるみ:『ごめんなさい、思ってたより駅前広場人多かったよ〜!だからすぐそこの公園のベンチで待ってます(o・ω・o)』
なるほど、それなら見つけられそう。
返信するべきか悩んだけど、すぐに会えるのでそのまま向かう。
くるみんが言っている公園にら心当たりがある。
駅から1番近い小さな公園だ。
少し歩くとすぐに公園が見えてきた。
ブランコと滑り台と砂場、それからパンダの置物があるだけのこぢんまりとした、どこにでもありそうな公園。
そんな公園のベンチに座っている人が2人、ここからでもみえる。
まだかなり距離があるけどはっきりわかる。
くるみんと直輝だ。
嬉しくなって少し小走りで2人の所へ駆け寄ると、楽しそうに話していた2人がこっちを見る。
2人は私の姿を見るなり嬉しそうに笑みを深めた。
「おはようみなみん!!」
「おはよう!」
にこっと笑顔で元気よく挨拶してくれる2人に、ひらひらと軽く手をふる。
「じゃあ、行きましょうか!」
くるみんはベンチから立ち上がってふんわりとしたフレアスカートをぱんぱんと払う。
くるみんは私服もよく似合っている。お洒落でかわいい。
薄桃色でまとめられたやわらかい印象のファッションが春らしさとくるみんらしさを両立させている。
「行こー!みなみんと遊ぶの初めてだから、すっごく楽しみだったんだよ。」
ニカッと休日の朝も元気いっぱいで笑う直輝は、一言で言うとすごくかっこいい。
白いTシャツに赤いパーカーというラフな格好と、同じ色合いのボディバッグが直輝の髪とよく合っている。
キラキラした2人を見ていると、やっぱり他の服にしてくればよかったかなと迷いが生まれるが、どの服でも不釣り合いなことに変わりはない。
お洒落な服はもってないし、何より本人が……。
「ライブが始まるまでは結構時間あるから、わたしお店見たいな~。ハンドメイド品って、かわいいものたくさんあると思うの!」
双子ちゃんにもらったチラシを眺めながら、くるみんが「いい?」と私に確認をとってくる。
こくこくと頷くと、くるみんは嬉しそうに笑ってまたチラシに目を落とした。
「色々出店してるみたいだねー!アクセサリーとか、花屋さんもあるんだ!!」
「布小物のお店とかもあるみたいよ。わたし、新しいポーチがほしいんだけど、かわいいのが見つかりそう。」
「へぇ~ポーチかぁ……いいね!みなみんは何か買いたいものあったりする?」
完全に聞く専だったので、急に話題をふられるとびっくりする。
答えを探すべく私もチラシを見る。
一応昨日ざっと目を通しているが、商品の一例の写真はあまりよく見ていなかった。
アクセサリー……は似合わないし、ポーチはこの前買ったばかり。お花は買っても置く場所がないし…………。
掲載されている写真の最後の方、端っこに小さく載っているものを指さす。
「エコバッグ……?いいわね!布のエコバッグって、丈夫でたくさん入るらしいし。」
私はチラシから顔をあげ、こくりと頷く。
私が指を指したのは、くるみんの言う通りエコバッグ。
お母さんの頼みでおつかいに行くことが多いのだが、私が使っていたエコバッグがこの前破けてしまったのだ。
百均で買ったエコバッグだったから、確かに強度はなかったかもしれない。
お母さんが牛乳と2Lの麦茶なんてもの同時に頼むから長く使ってきたエコバッグは重さに耐えきれなかったのだ。
だからちょうど新しいエコバッグが欲しかったからいい機会だ。百均よりも強度がありそうだし。
「いろんな柄があると思うから、かわいいのを探しましょ!」
「おれは特に何も欲しいものないけど、色々見たいな~!ライブの前と後使って、全部のお店見ようよ!」
「見て見て!会場がもう見えてるわ。」
くるみんが弾んだ声で言う。
前を見ると、いつの間にか目的地がもう見えていた。
木や花といった自然に囲まれた会場は、色とりどりのテントで彩られ大勢の人で賑わっている。
……こういう場所は、あまり好きじゃなかった。
スーパーとかの買い物と違って、直接人とやり取りすることが多いイメージがあるから、あまり近寄ろうとしていなかった。
でも今の私はすごくわくわくしている。
揺れる木葉が、カラフルなテントが鮮やかに見える。
――――私も、色々見て回りたいな。
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