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#1-17 期待の新星//第7話

 10枚程をクリップで留めたプリントの束を口元に当てて、ニヤリと笑う長身の男子生徒。

 整った顔立ちの、良く目立つ卯の花色の髪をした――――――――昨日、私が校門前で出会った、あの先輩だった。


 相手にわかるくらい嫌そうな顔をしてしまったらしい。

 昨日の出来事が頭に残りすぎて、あからさまに顔に出してしまった。


「えっと、あなたは……?」


「誰だと思う?」


「ええぇ……?け、軽音部の人ですよね?」


 にこりと――いや、ニヤリと整った顔を歪めて、白髪の先輩はくるみんの問いに問いで返す。

 わかんないよ、何その質問。

 すーと目を逸らしながらくるみんが答えると、先輩は「そうだねぇ。」と頷く。


「俺は如月 月(きさらぎ ゆえ)、軽音部のサイドギター担当。この学園の中だとそれなりに売れてるアイドルでぇす♪」


「いえーい」と空いている方の手でピースサインを作って、ドヤ顔で先輩――如月先輩は自己紹介をしてくれる。

 それなりに売れている……私は知らないけど、アイドルが好きだったわけじゃないからか。

 直輝は何か思い出したのか、あっと声をあげた。


「えーと、名前なんだっけ。去年“あいらいぶ”の出場辞めたユニットの人じゃない?男子3人組の。」


「あー……うんうん、あたりぃ。よく覚えてたじゃん。ちょっと地雷踏まれた感あるけど。」


 不機嫌そうに唇を尖らせた如月先輩は、直輝の言葉を適当に受け流す。

 その様子は気まぐれに生きる猫のようでありながら、意図的に捌いているようにも見える。


「そんな事はどーでもいいの。」と如月先輩は無理やり話題を変える。

「誰だと思う?」って聞いてきたのはそっちだったような……?


「そうだね!先輩の『仮面を置いてきた?』って表現、しっくりきた!凄いよ、なんか、表現がオシャレ。」


「うん、俺もそう思う。――――ま、これ俺じゃなくて姫が言ってたんだけどさぁ。」


 直輝って火鳥副会長以外の先輩にもタメ口なんだ……。

 とか考えていると、如月先輩は「さっすが姫だよねぇ。」と得意気に胸を張る。

 姫って誰でしょうか?

 私は知らないんだけど、普通に会話に出てくるってことは知ってて当然な人だったりするのかな?


「姫……?」


 と思ったけど、くるみんも直輝も分からないみたいだ。誰だろう。


「あ、これ言ったら怒られちゃうなぁ。……でも、姫に怒られてみたい気もする……!ああ、怒った顔も可愛いんだろうなぁ……。」


 何やら呟きながらとろけるような満面の笑みを浮かべる如月先輩に、失礼だけどちょっと引きそう。


「ま、おまけがうるさいからしないけどぉ。」


 何がしたいんだろうこの人。

 私が若干失礼なことを考えていると、如月先輩はプリントの束を私の頭に叩くように乗せる。

 痛くはないけど止めてほしい。


「俺、これを渡しに来たんだった。ええーと、名前なんだっけ、石ころちゃんに。」


「石ころちゃんじゃなくてみなみんだよー。」


「別にいーじゃん。その――みなみんってのも渾名でしょ?じゃあ一緒じゃん。」


 ようやく本題を思い出したらしい如月先輩。

 “石ころ”と“みなみん”はかなり差があると思うの私だけですか?

 そもそも石ころは渾名じゃないのでは……?悪口じゃない?


「それ、全部で13枚、そのうち提出が3枚―――だったけ?忘れたから自分で確認して。」


 何とも中途半端な説明の如月先輩。

 1番上の書類を見るに、生徒会からの書類のようだ。

 パラパラとめくってざっと確認してみると、いづれも提出先は生徒会。

 この学園は放任主義だから、こういったものも教師よりも先に生徒会に通す方がおおい。

 普通科もそうだったが、芸能科はよりその傾向が強いようだ。


 内容は、ユニットやGP、TP制度についての説明や、ユニット加入申請書、選択授業について等だった。

 選択授業は歌やダンス、演技等、芸能を極める内容。


 あれ?ユニットとか、私やっぱりアイドルになることになってない?

 近年はアイドルに特化しているとか言ってたから、当たり前にアイドルだと思われてるってことかな。


「それ、全部月曜までだってさ。放課後に生徒会室、それまでに書き上げといてぇ。」


「如月先輩、生徒会なんですか!?」


 手短に用件を伝えた如月先輩を、くるみんは意外そうに眼を丸くして見ている。


「えぇー、俺に生徒会業務が務まるわけないじゃん?姫の手伝いだよ。これホントは美和人が渡す予定だったんだけど、美和人うっかりしてるからねぇ。」


 失礼ながらちょっと思った。「この人に生徒会は無理でしょ。」と。

 本人もそう思うんだ……。

 美和人先輩ってさっきの先輩のことだよね。


「じゃ、ちゃんと渡したし俺は戻るね〜。手伝ったんだし、俺には姫にダル絡みする全うな理由が出来たってことで。キスでもせがんでみようかなぁ……ふふふ……。」


 如月先輩は何やら怪しげな笑みを浮かべて怪しげな事を呟きながら廊下のど真ん中を歩いていく。

 右側通行は?

 ダル絡みを自覚しているダル絡みの人って、いるんだ……。

 自覚しているなら止めてあげようよ。

 姫さん(?)が可哀想な気がしてきた……。

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