変化(へんげ)
父は、父ではなかった。
私の父は、今、いつもの父ではない。
なぜこんなことになったのか。
だれだ。この人。
でも、父の姿をしている。
父の姿なのに、中身は父ではない。
父は私に話しかけてきた。
「ごめんね。ぼくが誰になってるかわかんないけど、しばらくよろしくね」
私はしばらく警戒した。
でも悪い人ではなさそうだ。
まあ、うまく付き合ってみよう。
父は、午前中まではいつもの父であった。
でも今の父はきょろきょろしてて落ち着かない。
私はいろいろ教えてあげた。
ここが私の家ということ、大体の家の場所、そして、言ってる学校など。
考えてみれば危ない。
それで狙われたらどうするんだ。
まあでも、その人と話すのは結局は楽しかった。
その人は私に親身になってくれた。
「私のお父さんはどこに行ったんですか?」
「僕も分からないけど、とりあえずはごめんね」
やはりお父さんはお父さんではなかった。
でも、爽やかな人なんだろうな。
この人。
私はやはりこの人に好感を覚えていた。
普通に優しいし。
ちゃんと家事もしてくれて、草取りもしてくれて、学校まで一緒に来てくれた。
そういえば、一緒にパソコンでゲームもした。
ゲームをするために何かのアプリをダウンロードした気がする。
とにかく、なんとなく楽しい時を過ごした。
学校に着くと、知ってる友達がたくさんいた。
小学校の友達、中学の友達、そして高校の友達。
意外とこんなにたくさん私のちゃんとした友達がいたんだなあ、って感動した。
この学校は、すごく居心地がいい。
「国語の係の人、隣の教室にちょっと来てください」
私は国語の係だった。
行ってみると、いつもの国語の係がいた。
何か読書週間について話し合っていた。
そこに来た人がいた。
私の担任の先生だ。
でも、いつもの担任の先生ではなかった。
しかし、さっきの雰囲気がよみがえってきた。
この人はいろんな人に乗り移って生きている人なのだろうか。
さっきの、父に入っていた人は担任の先生に入っていた。
結局私の近くにずっといるのだろうか。
なんで私の近くなのだろう。
そして、読書週間についての話し合いが終わり、その人と家に帰った。
その人はまた父に入っていた。
私はその人と一緒に帰った。
そして昼寝をした。
起きると、父はいつもの父に戻っていた。
普通の父はやっぱり安心した。
あの、だれかわからない人も少し恋しく、懐かしかった。
パソコンを見ると、壊れていた。
あの人としたゲームのアプリを入れたせいでパソコンのファン|(扇風機)が動いていなかったらしかった。
お父さんに、怒られた。
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何かから脱出しないといけないらしかった。
家にいたのに、何かから逃げているようだった。
家を出ると、工場につながっていて、その工場に入ってみた。
友達がいた。
その友達も、慌てていた。
慌てていたのは、原因がやはりあった。
周りの人が、バーバパパの人形にされていっていた。
バーバパパは、どんどん増えていき、カラフルになっていった。
何かに撃たれて、人形にされてしまうようだった。
その工場で最初に見つけた友達も必死に逃げていた。
私もとにかく逃げた。
逃げた。とにかく逃げた。
人けのないところまで逃げてきた。
ここなら安全かな。と思いつつ、連絡を待つ。
そうすると、大親友が人形になったという情報が入った。
行ってみると、その子はピンクのバーバパパになっていた。
私は泣き崩れた。
泣いても泣き足りないくらい。
私も逃げなければいけないのに、それどころではなかった。
とにかく、悲しかった。
人が別のものに変わるというものは面白いものだ。
それによって、楽しくなることもある。
でも、普通は怖い。
実際にはなくても、そういった恐怖を感じることもあるのだろうか
人々の変化というものは、何が起こるかわからなくて、難しいのだろう。