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とあるEランク冒険者の心の中

挿絵(By みてみん)



いつかきっといいことがある。


まじめにやってさえいればいつか報われる。


今が苦しくたって、いつか笑えればそれで良い。



――辛さを忘れさせてくれる、魔法の言葉。今でも彼の胸に刻まれている亡くなった母からの言葉だった。



その"いつか"は、一体いつなんだ?


真面目にしていることは良いことだけども、みんなそうしているのか?


みんなはいつも楽しそうに見えるけれども、自分は生きていて楽しいか?




――世界と自分を見比べた時、底辺の自分は幸せよりも"生きてゆく"のがやっとだと思い知る。



結局世の中は、もともと“持つ者”と、もともと”持っていない者”に別れている。


持っていないない者は、真面目にするくらいしかできることはない。


だけども真面目で”持っていない者”はいつも貧乏くじばかり引かされる。


”持つ者”にこき使われ、私の成果は私の成果、貴方の成果も私の成果なのである。



――やはりこれが避けようのない“Eランク冒険者クルスを取り巻く現状だった。

笑っていられるのはほんの一握りの人間だけで、彼を含む大多数の持たない者は苦しみばかりの世界で生きている。



 だけどもたった一つだけ、彼には夢があった。希望があった。三十を超えても尚、冒険者を続けて来られたのは、目標があったからだった。



――溜めた魔力を使って、昇段要件である魔法を行使し、等級を上げる。


 あくまで内からの力である魔力は、外からの獲得では質が劣り、十倍以上の量を獲得せねばならなかった。

 

 ロクに魔法を使えぬ戦士は人でなし――これが聖王国の基本的な考え方である。


だからこそクルスは十数年、耐え難きことを耐え続け、必死に魔力を集め続けていた。


 Dランク冒険者にさえなれば。きっと報われる筈。幸せになれる筈。

 いつも笑っていられるようになる筈――そう強く信じて。


 だが彼は、今当に選択を迫られていた。必死にかき集めた“唯一の希望”を掛けるか否かの渦中にあった。



「ク、クルス頼む! 助けてくれっ……!!」



 絶対的な状況の中、パーティーリーダーの魔法剣士:フォーミュラがそう叫ぶ。

 彼らの命運はEランク冒険者クルスに委ねられていたのである。


*続きが気になる、面白そうなど、思って頂けましたら是非ブックマークや★★★★★評価などをよろしくお願いいたします! 

こちらは執筆を終えている100%完結保障の作品です。

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