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道の夢 未知の先

作者: 宮野 尋

この物語の始まりが本当の意味での始まりなのです。

 カーテンの隙間から柔らかな光が差し込んでくるのをかすかに感じ、悠希はゆっくり瞼を開けて、あたりを見渡した。だが、どこにも光などはなく、世界はいまだ闇のなかにあった。枕元にあるスマホに手を伸ばす。時刻は深夜の二時一三分、夜明けまでには時間がありすぎる。

勘違いしたのは寝ぼけていたからではない、妙な夢を見たからだ。悠希はそう、頭の中でつぶやいて寝返りを打った。

 妙な夢は、時に現実で妙な幻を見せる。体と心がドロドロになりながら、夢の中に溶けていくのを感じながら、私は再び瞼を閉じた。

 夢と現実の狭間で改めて思う。妙な夢を見た、と……



 暗く、じめじめとした山道が目の前に続いていたのをはっきり覚えている。その道を自分は歩いているのだ。遥か前方にいる一人の少女の背中を追いながら……

 悠希には分からなかった。今、自分がどこにいるのか、前を行く少女はだれなのか、この道はどこへ続いているのか、何も分からなかったのだ…… 

 長い間、あれこれと考えた末にそれも仕方のないことだという結論に達した。夢なのだからしょうがないと……

 草木が生んだ黒い影は、あたり一帯を暗く悲しみに満ちた雰囲気で覆っている。前を行く少女がやけにかすんで見えた。



 長い、長い道のりだった。土を踏みしめるたび、今までの思い出や記憶が蘇ってくる。湧き上がるそれらは静かに、ゆっくりと昇華されていくのだった。

 前を行く彼女は、うなじから背中上がレース状の黒い長袖を着ていた。髪の毛は黒髪だ。黒を身に纏った彼女の後姿は凛とした雰囲気を醸し出していた。

 しばらく歩くと、髪が少し湿ってきた。視界に細い線が混じり始める。雨が降り始めたのだ。

―雨音はちっとも聞こえてこないけど……

 静寂が水を吸った服とともに重く、悠希の心にのしかかる。逃げ場所が見当たらなかったのはむしろ幸運だったのかもしれない。どんなにずぶ濡れになろうと、どんなに苦しくとも、どんなに辛くとも立ち止まること、休むことは出来そうになかったからだ。

 前を行く少女は一向に足を止める気配を見せない。気を緩めることもできそうにない。

 雨の中、ひたすら彼女を追うことにもようやく慣れたころだった。雨雲が生んだ、あたりを覆っていた影がだんだんとその中に闇を宿し始めたことに気が付いた。やがて一面、闇に染まったころ、悠希は夜が静かに訪れたことを、知った。


 闇はあたりを覆っても、悲しみや苦しみまで覆いつくすことは出来ないらしい。

 木々の隙間から雲をたっぷり纏った青白い月が不意にその姿を現した。月の光が雲の中にまで光と影を生み、その存在をずいぶんと輝かせていた。夜空が海に、雲が波のように見えた。美しさと疲れが悠希の足を止める。心が空に吸い込まれそうになるのを感じ、それをどこかで喜んでいることに悠希は気づいた。

 月の輝き、その美しさは、辺りに無数に散らばる星々のそれをくすませるばかりか、亡きものにしようとしているようですらあった。そのことに気づいた悠希は、誰かさんと一緒で傲慢な人だと、胸の中で毒つくのであった。その毒が二つの意味で、自分自身を蝕むことになるのを知っておきながら、それでも彼女は毒つかずにはいられなかったのだ。

 あたりの静寂さは、夜が更けるのに従って、その不自然さを少しずつ、少しずつ消していった。

すると、目の前を行く彼女は躓いたかのように前のめりになった。かと思うと、勢いよく草むらに倒れ込んだ。慌てて、悠希は彼女に近づく。

 慎重に、彼女の肩に手を触れると息遣いが、かすかに指に伝わってきた。どうやら眠りについたようだ。気のせいか、音なき寝息はふわりと空を舞い、雲の中に消えていったかのように見えた。

 寝息が目に見えるものか、おそらく歩き疲れて、幻覚でも見えたのだろう。そう思った悠希は、彼女からそっと離れると近くにあった木に身を委ねた。

―いけない。あの人の顔を見るチャンスだったのに……

 それでも、悠希は再び、彼女に近寄ろうとは思わなかった。



 ハッと目を覚ますと、朝日がほんの少しあたりに差し込んできていた。どうやら眠ってしまったらしい。上体を起こし、周囲を見渡す。暗闇から解放された、草木は隠し切れない寂しさを抱えながらも、精一杯、生きているようだった。

 彼女はまだ、眠りについていた。悠希は彼女にそっと近づいた。

―ちょっと様子を見るだけだから。

 心の中で、そう言い訳をしたところで後ろめたさが悠希の背中に張り付いて離れることはなかった。

 伸びた草花に隠れて彼女の顔は見えない。

 すると、何とも言えない甘く、包み込むような優しさを秘めた香りが私の鼻を刺激した。その瞬間、なんとも言えぬ居心地の悪さが悠希を襲った。

 逃げるように、彼女から離れ、近くの大木に身を潜めた。木陰にしては、ずいぶんと冷たかった。

 ちらちらと、うつぶせになっている彼女に目を向けながら悠希は、この夢についてあれこれと考えを巡らせていた。

 一体、この世界は本当に夢の世界なのだろうか。

 やけに鮮明なこの世界が自分の脳が無意識に創り出したものだとは、どうしても思えなかった。

 はぁとため息をつく。考えがまとまらない。

―一旦、保留にしとこ……

 考えるのを止めた途端、眠っていた彼女がようやく目を覚ました。ようやくと言っても時間も分からない以上、どれだけ眠っていたのかもはっきりしない。のそりと立ち上がった彼女は、一瞬伸びをしたかと思うと、すぐに目を疑うような速さで歩き始めた。

―おいおい、まじかよ……

 さすがに面喰ってしまったが、そんな暇は悠希にはなかった。旅が再び始まったのだ。油断をしていると、見失いかねない。悠希も彼女に合わせてスピードを上げた。



 それからどのくらいたったのか。かなりの距離を追いかけてきたはずだ。どんなに先に進んでも、鳥のさえずりや虫の鳴き声、木々たちのささやき、踏みしめられた土の音すら聞こえないことにはもう慣れた。己の声ですら空気を震えさせることがままならないのも、もう気にならない。

 ただ、ぬかるんだ土、この道を覆う空気が、貪るように音という音を喰っている、そんな感じは消えないままだった。あたりは昨日と同様、いやそれ以上に息が詰まりそうなほど、静寂に包まれていた。

 彼女は一向にこちらを振り向こうとはしない。もしかしたら私のことも気づいていないのではないか。迷いすら感じられない。道の先にある何かを求め、ひたすらに前へ前へと進んでいるように見える。

 先の見えない不安は感じないのだろうか、と思う。いや、引き返したところにある恐怖に比べれば、些細なものなのだろう。その思いを共有しているからこそ、悠希も振り返らない。引き返さないでここまでついてこられたのだ。 

 いつしか、彼女のことをこう思うようになった。彼女は私を悲しみのない場所に案内してくれる、救ってくれる人に違いない、と。それが例え、夢の中であろうとも……

 

 だいぶ道も進んだ気がする。なのになぜだろうか。歩き続けているはずなのに、昨日に比べ、不思議と疲労が感じられなくなっている。昨日の今頃なら、体が悲鳴を上げて仕方ないのに…… お腹も空かない。のども乾かない。

 なんだか、変な気分だった。昨日なら喜んでいた私は、もうここにはいない。。むしろ、苦しい。胸が詰まりそうだ。あんなに忌み嫌っていた、苦痛、乾きでさえも、今では懐かしく思えてたまらない。

 きっと夢だからだ。夢だからいつもと違って当たり前じゃないか。そう、納得できる答えを持っているのに、なぜか言い聞かせるような感じになってしまう。悠希にはそれが心底、気持ち悪かった。

―これも夢だからだろうか……

 気づかなかったが、徐々に風景も変わってきているようだ。ぽつぽつとだが、花が咲いている光景が見えるようになってきた。しかも、道を進むにつれ、花の数もだんだんと増えてきている。まるで、我々を道の先へといざなっているようであった……


 どんな道にも終わりはある…… 永遠に続く道など存在しないのだ。彼女の背中の向こうに、淡い光が見えた時、不思議とそんな想いが悠希の頭をよぎった。旅はそろそろ終わりを迎えるらしい。淡かった光がわずかにその輝きを強めた。

 このまま静寂の時の中で、光に導かれながら、静かに終わりを受け入れるのしかないのだろうか、それとも…… いけない、いけない。それ以上、考えてはいけない。後戻りができなくなる。

輝きを強める光の中に、青白い光が浮かぶようにきらめいている。掴もうとする意思を見せるだけで、消えてしまいそうな儚い光。彼女は、先を往く者であり、大切な道標でもあるのだ。

 

 そんな感傷に浸る私の横を後ろから一人の少女が通り過ぎて行った。少女は泣き腫らした顔をして、一生懸命に何かを叫んでいる。その声は誰にも届かないことに気づいているのだろうか…… 

 そんな少女に続いてぞろぞろと、人々が湧いて出てきては、彼女を取り囲んだ。彼らは皆、泣いていた。血の涙を流していた。まるで彼女をここにとどめんとばかりに泣いている。立ち塞がっている。

 私には彼女の後姿しか見えない。ただ、とても悲しそうな背中をしていた。だが、彼女は何か固く決心をしているようで、彼らの伸ばす手にもただ首を横に振るばかりであった。

 彼女に拒否された者は、悲しそうにしながらもそれを受け入れ、どろどろと、溶けるように崩れ去っていく。ある者達は、木々や草花に変わっていく。やけにゆっくり、不気味なほど静かに人々が消えていく。

 その光景に半ば呆然と立ち尽くすばかりであった。気づくと、最初に彼女に駆け寄った少女だけが、彼女の後ろで、手で目を頻繁にこすりながら、立っている。おそらく、また泣いているのだろう。そして、いきなり彼女の背中に飛びつき、何かわめき始めた。堪え切れないながらも、一生懸命に繋ぎとめようとしていた。残念なことに、まったくその声を聞き取ることはできなかったが…… すると、彼女は振り向いて、そんな少女の腕を優しく解いた。ゆっくりとしゃがみ、少女に何か言葉をかけ始めた。

―ごめんね?

 そうつぶやいているように見えた。それしか分からなかったし、それすらも確証がない。ただ、初めて見る彼女の顔が、表情がそれらしき言葉を発しているように見えたのだ。

 そんなことを思っている間にも、彼女は少女に対して多くの言葉を発していた。たくさんの想いをのせて、悔いの残らないように。

―相変わらず、何も聞こえないけど…… 

 しかし、今回に限っては、そのほうが都合は良かったのかもしれない。

 しばらくして、彼女の最期の言葉を、想いを受け取ったであろう少女は泣くまいと必死な顔をしながら、だが涙がこぼれそうでならないという様子で別れを告げた後、急ぎ足で来た道を戻っていった。途中、私にぶつかり、不思議そうな顔をしながら帰っていった。まるで私が見えていないようだった……

 そんな少女の姿を見つめている彼女の顔を見て、悠希はハッとなった。彼女があんまりにも綺麗だったからではない。(一応、彼女の名誉のために言っておくが、比較的、整った顔立ちの部類には入ることは間違いないと思う……) 

 彼女の顔に死相が浮かんでいたからだ。深く刻み込まれた死相は、本来は明るい顔立ちであるはずの彼女をやけに暗く、黒ずんだモノに変えていた。

―死ぬ間際のおばあちゃんの顔によく似ている……

 それがいったい何を意味するのか、それに気づかない程、残念ながら悠希は鈍感ではなかった。

 しばらくして、少女の姿が完全に見えなくなったのだろうか、彼女はまた、道を進み始めようとしていた。しかし、何かに気づいたのか、足を止め、生い茂る草木に手を伸ばした。彼女の手を伸ばした先にあったのは、『夕顔』の花だった。彼女はその花を摘むと、つらい顔をして、その花をポトリと地面に落とした。その時、彼女の腕から何かがぽたぽたと滴り落ちているのに気が付いた。

 迷いのない足取り、引き返したところにある恐怖、悲しそうな人々、泣き腫らした顔をした少女、最期の言葉、彼女の摘んだ花、今までの出来事を通して、薄々感じていたことが確信に変わった。

 それはどす黒い色をしていた。それが、血であることは明白であった。出血している場所からして恐らく、その理由も……

―彼女は…… 死にに行くんだ……

 彼女の事だけではない。この道の行きつく先、この道が何なのか、それらの答えが解った時、世界は一変した。

 草木や花々の色で染まっていたこの世界がぼんやりとゆがみ、だんだんと色のない世界に変わっていった。 

 道の果てにあった光もそれに合わせて、黒く染まっていった。それはどんな闇よりも深く、悲しい色をしていた。

 あの中に何があるのか、何が待ち受けているのか、こちらからではまるで見当がつかない。いや、恐らく私の前を行く彼女ならそこに何があるのか見当がついていることだろう。何しろ、望んでこの世界に足を踏み入れたのだから…… いや、そうせざるを得なかったのかもしれない。

 ただ、彼女がこの道を選んだことがどうしようもなく悲しく、つらく、苦しいことのように悠希には感じられた。それが例え、夢であったとしても……

―生きていてほしい

 そう思うのは、私が彼女の境遇を知らない赤の他人だからだろうか。無責任な意見だとも思う。それでも私は彼女に生きていてほしい。私も先ほどの彼らと同様、彼女を止めるためにこの道に足を踏み入れたのだろうか。

―もし、そうなら、私のやることは決まっている。

 私は、走り始めた。彼女に追いつくために、彼女に伝えるために。だけど…… 残念なことに、そう上手くはいかないらしい。



 走り始めた、直後の事だった。先ほどまで、貪りように音いう音を喰っていた地面が、そこにある泥が、今度は悠希を喰い始めたのだ。

 生い茂った木々や草花が腕に絡みついて締め付けてきた。一歩も前に進むことが出来ない。少しも彼女に近づくことが出来ない。こうしている間にも、彼女は刻一刻とあの闇に近づいているのに……

 焦る私の頭に様々な声が飛び込んできた。久しぶりに音を聞いたためか、頭がガンガンする。痛くて痛くて、たまらない。声を私にこうつぶやく。

―赤の他人が、口を出せると思っているのか

―彼女を止めるな。自由にしてやれ 

―お前が何をやっても、結果は変わらない

 その声の主が先ほど、彼女を説得していた者たちの声だということは、すぐに気が付いた。悠希を足止めする、締め付けているのは人の形をわずかに残した、彼らの成れの果てだったからだ。しかし、そんな異形の者たちから発せられた言葉だとしても、悠希の心を締め付けるのには、十分すぎるほどの強さがあった。

―心が、折れそうだ……

 足に絡みついていた泥は腰まで迫ってきて、腕に絡みついていた草木は顔にまで侵食していた。顔に広がった草木を剥ぎ取った私は、その痛みに耐えきれず、気を失った。



 目が覚めると、道の上に倒れこんでいた。周りはやはり、色がなく、それはこの世界が夢の世界、そして、あちらの世界に行くための道であることを表していた。

 それにしても夢の中で意識を失うとは、なんとも奇妙な経験をしたものだ。体を起こすと、体の節々がまだ痛かった。頭がぼうっとしているからなのか、視界がぼやけて前がよく見えない。手触りから、纏わりついていた泥は固まってボロボロになっているのが分かる。絡みついた草木も、幾分か取り払われていた。右手には、ヒヤシンスの花が握られている。おそらく、顔に纏わりついた草花を剥ぎ取った時、そのまま掴みっぱなしだったのだろう。

 こんな状態でも、彼女のことが頭から離れなかった。足についた泥の渇き具合からしても、もしかしたら彼女はもう、あの闇の中に…… 

 ぼやけた視界が晴れてきた。目の前に色々なものが飛び込んできた。それらのほとんどは色がなかったが、たった一つだけ違うものがあった。それは、こちらを向く彼女だった。

 彼女は静かにこちらに歩いてきた。その歩き方は、先ほどまでの迷いのないものではなかった。立ち上がることもできない、私の目の前でしゃがみこんだ彼女は、何か話し始める。その声も私に届く前に、溶けるように消えていく。何も聞こえない。

 何かをしゃべり終えた彼女は、立ち上がりざまに、手を近づけ、私の髪に『勿忘草』の花を挿した。何を思ったのか、とっさに私も彼女の髪に『ヒヤシンス』の花を挿す。色のないヒヤシンスの花は、彼女の髪に刺さると、ふんわりと鮮やかな青色に変わっていった。ありふれた色がその時、とても美しく見えた。 

「行かないで……、貴女は……」

 響くはずがなかった音が、届くはずのなかった言葉が、わずかにこの世界を揺らした。

 彼女はその言葉に、少し驚いているようだった。喜びや戸惑い、切なさが見て取れた。

―ありがとう?

 彼女はそうつぶやいて、目の前に広がる闇の中にその身を投げ入れ、消えた。声は届いた。それでも、結局、彼女を引き留めることはできなかった。私の言葉が彼女の心に響くことはなかったのだ……



 彼女が闇の中に消えてもしばらくの間、私は私でいることが出来なかった。色のない世界がだんだんと色に取り戻りつつある。それとともに、目の前にある闇もだんだんと消えていく。ゆっくり、ゆっくりと世界が元に戻っていく。

 これでよかったのだ、これで…… 醜い世界に、このままとどまる必要はない。とどまる理由など、どこにもないのだ。そう自分に言い聞かす。

 それでも…… 私は、痛む足をかばいながら立ち上がり、一人佇む。それでも、私には、この世界には彼女が必要だったはずだ。

 それなのに、彼女を引き留めることが出来なかった。救うことが出来なかった。髪に挿してあった、勿忘草の花を手に取りながら、思い出す。彼女がこれを髪に挿すときに見せたあの瞳を……とても悲しい色をしていた。この世界にあるどんな色よりも絶望的な色を…… 

―そういえば、勿忘草は確か……

 消えていく闇の奥を見つめながら、忘れかけていた古い記憶を辿っていく。そして、一つの言葉に辿り着く。偶然だと思う。それでも……

―行く、か……

 本当は、彼女が元の世界に別れを告げてあの闇の中に消えた時点で、私の気持ちは決まっていた。それなのに、どうして迷っていたのだろう。例え、この世界が現実であろうとも、そうでなかろうと、どんなに拒絶されても、大切なものが、救いたいものがある限り、私達はあきらめるわけにはいかないのだ。 「この花のことも気になるし……」

 美しく咲く花に触れ、そうつぶやいた私も目の前の闇に手を伸ばした。少しずつ、闇の中へ消えていく自分の身体を見て、ふと思う。

 夢はしばらく、終わりそうにない、と……







Good Night, And Have A Nice Dream


この物語が、貴方の持てるすべての力によって完全なる終幕へとたどり着けますように


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