少々汚らしい点もございますが…
「これがこの世界の海かー?小させぇなー!」
俺達一行は新宿から移動して海を渡る為それっぽい所に来た。
何故それっぽいところかと言うと、地図というものは無く東京湾とかそういった場所がどこにあるのか俺は知らなかったのでエイブラハムのスキル【天馬の馬車】に乗り海に繋がってそうな場所に出たからである。
ユウは不満そうだった。まあ多分まだ海じゃないから小さくて当然だろう。
「多分ここから海に出れるんじゃないかな?」
俺はとりあえずそう言った。
「こんな小せえのじゃ物足りねえが、まぁいいか」
そう言いユウは拳を握り天にかざした。
「召喚スキル!!【我勝船】!」
ブォォーーン!
目の前にある水辺には大き過ぎる程の船がド派手に登場した。
頑丈な木で造られている。立派な帆が立っていて眼帯の虎のマークがでかでかと描かれていた。まさしく海賊船という名がふさわしいと言えた。
船がド派手な登場をかました事によってまあまあ強めな波飛沫が俺たちをずぶ濡れにさせた。
エイブラハムは持っていた日傘をさして優雅に凌ぎ、シャルルは子供の水遊びかのようにキャッキャと濡れていた。俺とラヴィニアは只々濡れた。
「っしゃー!野郎ども乗りやがれ!出航だーー!」
ユウが活き活きと船に乗り込んだ。
「わーーい☆わーーい!船旅だーーい!」
シャルルは相変わらず子供みたいにはしゃいでいた。
「あらあら。ご立派なマストですこと」
エイブラハムよ、なんかいやらしく聞こえるのは俺だけだろうか…。
「じゅーご、行こう。」
ずぶ濡れになっているラヴィニアは御構い無しかの様に平常運転で軍人の様に俺に述べた。
「うし!いざ、外国へ!!」
ーーー「オエェェーーー!」
完全に船酔いだ。
船は波に揺られて海に出た。
俺は船に乗り慣れていないので秒で酔ってしまった。
「ギャハハハーー!じゅごたんゲロたん吐いてるーーー☆」
シャルルは全然平気そうにキャッキャと俺を指差して笑っていた。
エイブラハムは、おそらく召喚スキルで出したであろう日差し避けのパラソル、座り心地の良さそうなロッキングチェアーに揺られて紅茶を優雅に飲んでいた。
「ん?ラヴィニアがいないぞ?」
気持ち悪いと思いながらもそこにラヴィニアがいない事に俺は気付いた。
「あら、騎士様ならそこに」
エイブラハムが指差した方を見る。
「オェェェェエーーーー!!」
俺以上に盛大に船酔いしているラヴィニアがそこにいた。
「うぅ…。ふ、不覚……」
ガク。
そう言って力尽きた。
ああ、同類がいて良かった。
気持ち悪い時に自分より気持ち悪そうな人を見ると人間平常心を取り戻すと言うが、そうみたいだ。
俺は少し酔いが楽になった。
船の船頭の方をチラッと見たらユウが船首にカッコよく乗っていて海賊船の船長の様な出で立ちでいた。
「さすが海賊系勇者。後ろ姿だけでも絵になるなー」
俺は感心して見てしまった。
「……………」
ん?あれ?様子がおかしい様な…?
「オウェェェェエーーーーーーーーー!!!」
船乗りなのに船酔いするんかーーーい!!
俺は完全に酔いから覚めた。




