ナイショの話って妄想掻き立てるよね?
ガオウの手からはダラダラと血が流れている。
って言うか、エイブラハム凄いけど、剣握り潰したガオウも凄いな……!
「あらあら。もうお終いですの?お早い殿方です事」
ガオウを見下す様なドSな表情でエイブラハムは不敵な笑みを浮かべる。
「武器が無くなっただけのこと。図に乗るーーー」
ザバーーーーーーン!!
ガオウの言葉を打ち消す様な巨大な波飛沫が彼らの後方で起こった。
海から飛び出て来たのか、頭上高くには誰かがいた。
「たっだいまーーーー!☆」
スタッと船の上に体操選手も嫉妬する様な綺麗なフォームで着地したのはシャルルであった。
どデカイ魚、いやサメを担いでいた。
忘れた所にシャルルがキターー!
服がいつの間にか水着みたいな感じになっていた。
服を胸下までたくりあげ結んで、胸元が隠れているそういうオシャレビキニみたいだった。
「ぎゃーーーー!!海から人がーー!サメがーーー!」
リュウギが泣きじゃくりながら叫んだ。
「いやはやー、サメくんと遊んでいたら遅くなっちったぜよ☆」
可愛く言っているがコイツはこんな巨大なサメに戦いを挑んで勝ったのか…!?
「おろろ?見知らぬ者達がいるけど、じゅごたん、ハムちん、これってなんぞや?☆」
エイブラハムの事を下の2文字を取ってハムと呼んでいる事は今はスルーだ!
「シャルル、コイツらは敵だ!やっつけてくれ!」
俺はエイブラハムが作った戦況を更に優位に進める為、シャルルにも戦ってもらいたかった。
「なぬーー!?☆敵ぞな!?ならやっつけちゃうぞーーーーー!」
シャルルは担いでいたサメの尻尾を持ちハンマー投げの如くグルグルぶん回した。
「サメくんトル☆ネーーード!!」
シャルルを中心とした竜巻が発生し騎士達は海へ吹き飛んでいった。
「飛ばされるーーーー!!死ぬーーー!」
「くっ!ここは退く!」
泣き叫ぶリュウギや騎士達に指示を出してガオウ達は乗ってきたドラゴンを呼び、それに飛び乗った。
騎士達はドラゴンに乗って去っていた。
俺達は難を逃れた。
正直伝説の勇者達だからなんとかなったものを、敵のレベルがドンドン強くなってる。俺も守ってばかりじゃいられないな。
「そうだ!エイブラハム、傷は大丈夫か?」
「ふふ、ご安心下さいマスター」
俺に微笑みかけるエイブラハムの頬には傷など跡形もなかった。
「勇者ですから回復能力は高いので、これくらいならすぐ治りますわ」
相変わらずのチート能力!
「そーいえばラビッピとユウたそはー?」
ラビッピ→ラヴィニア
ユウたそ→ユウ
俺の脳みそもコイツの思考回路に追いついてきた。
俺は辺りを見渡した。
2人とも樽の中に入っていた。
しかも逆さまで。
犬○家か!って突っ込みたくなる2人の謎な光景は恐らくシャルルの『サメくんトルネード』が巻き起こした二次被害であろう。
そんなシャルルは大爆笑をしている。
「あの、マスター、ちょっとよろしいですか?」
?
ーーーーエイブラハムに呼ばれ俺は船の後方へ移動した。
「……わたくしの事を男性と分かったら皆、今までと対応がガラッと変わるものでした。ましてや勇者ですのでわたくしにどんな事があっても心配をしてくれる人なんていませんでした。ですからーー」
エイブラハムは笑顔でこちらに振り返った。頬が少し赤くなっていた。
「嬉しかったのですよ。ほんのちょっとのかすり傷に心配してくれたマスターが。自分の事を女性として見てくれているのかと思ってしまうほどに」
俺は一瞬何が起こったのか理解に時間がかかった。
エイブラハムが俺のほっぺに突然キスをしてきたからである。
男にキスをされたのに俺は女にされたかの様に慌ててしまった。
「%○う〆パ▲〜#□ろA¥!!」
「ふふ」
何語か分からない言葉を発する俺の唇にそっとエイブラハムは人差し指を添えた。
「ナイショ、ですわよ♡」
俺は不覚にもその可愛さにときめいてしまった。
太陽がオレンジ色に辺りを照らし、気づけば夕暮れだった。




