戦いは熾烈を極める!なんつって
ラヴィニアは戦力にならない!!
船酔いで戦うことはおろか、立っていることもギリギリだろう。
「フン」
船酔いしてるラヴィニアを一瞥しガオウという騎士団長が俺の元へ歩いてきた。
ガシャンガシャンと鎧の音がする。その身体から放たれる殺気が俺にプレッシャーを与えてくる。
ヤバイヤバイ!
俺はユウを見た。ユウは気絶していた。恐らくバリアが壊された衝撃で船の揺れに耐えられなかったのだろう。
シャルルは未だどこか分からない所で泳いでるのか?一向に姿を見せない。
焦る俺の前にエイブラハムがスッと入ってきた。
「どうやら、マスターとわたくしのみで客人方をもてなすしかなさそうですわねぇ」
余裕の表情であった。
ガオウがエイブラハムの前に来て立ち止まった。
「退かれよご令嬢。出来ることなら女人は傷付けずに捕縛のみで済ませたい」
「あらあら、お気遣い痛み入りますわ。ですがーー」
ガクンッ!
急にガオウが膝をついた。それはいきなり膝カックンされて倒れ込んでしまうみたいに急に支えてる力がなくなった様だった。
エイブラハムは膝をついたガオウの×印の傷がある額に、日傘式銃の銃口をカチャッと突きつける。
「レディを見下してんじゃねーぞって感じですわ♡」
ニコッと笑って言った。その笑顔の中に殺意がガッツリ織り込まれていた。
後ろに控えていた騎士達が騒つく。剣を構える者、何が起こったのか分からず動揺する者、様々いた。
「団長ーーーー!!!」
一際大声で大泣きしながらガオウに走り近づく若い騎士がいた。
「騒ぐなリュウギ!」
ガオウは膝立ちで額に銃口を向けられたまま、走ってくる騎士を一喝した。
「で、でででもっ!!団長ーー!」
走ってきた若い騎士は止まりガオウを心配したように涙ながらに見つめる。
「一瞬の内に僕の顎と膝に一撃を入れ態勢を崩したのか…。恐れ入った。女人と侮ってしまったが相当な手練れの様だ…」
ガオウは視線をエイブラハムから外さず冷静に先ほど起こった現象を解析した。
そうだったのか……。
エイブラハム凄すぎる…っ!全く見えなかった。
「貴公を侮った事、謝罪をしよう。ここからはーー」
ガキンッ!
エイブラハムの日傘式銃が跳ね上がった、いや、跳ね上げられた。
「僕も全力でいかせてもらおう」
ガオウは持っていた剣で銃を高速で弾いていたのだ。上にあがった剣をエイブラハムに振り下ろす。
エイブラハムは間一髪のところで後ろに身を翻しその剣撃をかわした。
ピンク色の綺麗な髪の毛が数本斬られフワフワと髪の毛が飛んで行った。左頬も軽く斬られて血が少しばかり白い頬をつたった。
「団長ーーーー!ご無事でなによりですーー!流石ですーーーー!そしてカッコいいですーー!」
感極まってか、先程の若い騎士が先程とは違う涙を流しながらガオウの元に駆け寄った。
「鉄の団の騎士たるもの、もっと冷静でいろリュウギ。騒がしくてかなわん」
リュウギと呼ばれたその騎士のテンションとは真逆に冷静な様子でガオウは述べた。
「エ、エイブラハム!大丈夫か!?血が出てる!早く応急処置しなくちゃ!!」
大げさな話だが俺は焦りと心配で動揺してしてしまった。
「………。ご心配には及びませんわよマスター」
心配する俺にエイブラハムは笑顔で答えた。
エイブラハムはガチャンと日傘式銃を構える。
ダダダダダダダダダダ!
エイブラハムはマシンガンをガオウに撃ち放った。
ギンギンギンギンギンギンギンギンギンギン!
ガオウは全ての銃弾を剣で弾き切った。
「マジかよ…」
伝説の勇者であるエイブラハムの攻撃を全て受け切ったガオウを見て俺は唖然した。
「終わりだ」
ガオウは一歩でエイブラハムに距離を縮め剣を振りかぶる。剣が振り下ろされーー
「そのままお返ししますわ」
ーーない!?
ガオウが振り落とそうとした剣はエイブラハムの頭上スレスレでビタッと止まった。
「!?」
自分が振り落とした剣が勝手に止まり、ガオウは驚く。
「レディとしてもですが、勇者としても侮ってはいけませんわ」
ガオウの剣に鎖の様な模様が刻まれていた。
「特殊スキル【奴隷の弾丸】。これに当たってしまったらわたくしの意のままですわよ」
ビューン!
ガオウの剣が本人もろとも後ろに飛んでいく。後ろに控えていた騎士達の元へ飛んでいく。
「ぎゃぁぁあああーーー!団長が謀反だーー!!」
リュウギがまた涙を流し叫ぶ。
他の騎士達もその場から逃げる。
「クッ!!」
ガオウは自分の意識とは別に飛んでいく剣の刀身を力尽くで握り、粉々に砕いた。
剣が壊れた事によりガオウはスピードを落として止まった。その手からは出血している。
「だだだだだ団長ーーー!!お怪我がーーー!」
リュウギは阿鼻叫喚した。




