表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年少女剣客隊  作者: 渋谷かな
9/53

顧問

「ねえねえ、そういえば江戸城に行った時、何かの石碑をみんなで蹴り倒したわよね?」

「そうそう。みんなで蹴り倒せば怖くないわよ。」

「実は徳川家の先祖たちが祀られている石碑だったりして?」

「構わない! これも少年少女剣客隊を盛り上げるためだ! 第十六代将軍の僕が言うのだから、きっとご先祖さまも許してくれるのだ! ワッハッハー!」

「家々! おまえが笑うな! 殺す!」

「調子に乗っていると、大砲をぶち込むわよ!」

「お腹空いた。」

「静かに! みんな席について!」

 子供たちが騒いでいると桜先生が教室にやって来た。

「そして、さようなら。」

「桜先生、さようなら。」

 子供たちは学校から去って行く。


「少年少女剣客隊! どんな難事件でも解決します! お小遣い求む!」

 ちいたちは、放課後に少年少女剣客隊の活動をすることにした。

「どう? いい看板でしょ?」

「住所も学校の教室だし、信頼はバッチリ。」

「お腹が空いても、給食室で盗み食いができます。」

「まさに徳川第十六代将軍に相応しい仕事だ。」

「これも貧しい家々が生きていくためにお金を稼ぐためよ。」

「そうそう、孤児の家々を助けなくっちゃ。」

「同じ寺子屋のクラスメイトだもんの。」

「ありがとう。みんな。僕はみんなのことを誤解していたよ。ありがとう。本当にありがとう。うるうる。」

 本当は何か楽しいことがしたいだけの、ちいたちであった。

「あなたたち!」

 そこに桜先生が現れた。

「ゲッ!? 桜先生!?」

「バレた!?」

「怒られる!?」

「家々を差し出しますから、お許しください!」

「裏切ったな!? お主たち!?」

 桜先生にバレて、我が身が可愛い、ちいたちは家々の身柄を差し出す。

「教室の使用許可申請書を出しなさい!」

「あ、そういうこと。」

「少年少女剣客隊? あなたたち部活動をするの?」

「はい。これも貧乏な家々のためです。」

「そう。友達思いなのね。」

「それ程でも。」

「でもね。部活動をするなら顧問が必要よ。」

「顧問?」

「監督する先生のことね。」

「私が少年少女剣客隊の顧問になってあげましょう。これで少年少女剣客隊は正式な部活動として認められるわ。」

「わ~い! やったー!」

「桜先生ありがとう!」

 こうして少年少女剣客隊は正式に発足した。

「すいません。ここは少年少女剣客隊でしょうか?」

 そこに一人の男が現れる。

「はい、そうです。」

「ようこそ。お客様が少年少女剣客隊のお客様第一号です。」

「事件ですか? それとも食い逃げですか?」

「なんでも僕たちが解決するでござる。」

「食べたい。」

「え?」

「おまえたちの霊力を食べたい!」

「キャアアア!?」

 現れた男は、全身を邪霊に憑りつかれていた。禍々しい存在であった。

「じゃ、じゃ、邪霊!?」

「初めて見ました! ワンダフル!」

「蛍ちゃんを呼んでこなくっちゃ。」

「僕なんか食べても不味いぞ!? どうせなら女子を食った方が美味しいぞ!?」

「霊力を寄こせ! 俺は甦ったばかりで霊力が足らないのだ! ガオー!」

 逃げ惑う子供たち。迫りくる邪霊。

「フッフッフ。子供たちは顧問の私が守る!」

「たかが女に何ができる?」

 桜先生が邪霊に立ち塞がる。

「いでよ! 妖怪! 幽霊! 魑魅魍魎!」

「なんだと!? おまえ!? 人間ではないな!?」

「そう私は、幽霊! でも人間の姿をしている霊体だ! そして、得意技は、妖の召喚だ!」

「おまえは!? 平将武!? 確かに倒したはず!? なぜおまえがここにいる!?」

 呼び出したのは、桜の亭主の蛍であった。蛍は、蛍の集合体の妖怪である。

「知るか。安らかに眠っていたら、最近、禍々しい妖気に誘われて目が覚めたのだ。」

「光れ! 蛍光灯! 夏の世の光!」

「ギャアアア!?」

 蛍は必殺の一撃で、邪霊、平将武を切り裂いた。

「すごい! 蛍さん!」

「楓のお父さんは光ってます!」

「蛍ちゃん、お腹空いた。」

「みんなが無事で良かった。」

「さすが私の旦那様!」

 なぜ邪霊が現れたのか、謎だけが残った。


「家々。家々。」

 その夜。解き放たれた徳川家康の邪霊が家々の枕元に来た。

「zzz。」

 しかし、熟睡している家々は目覚めなかった。

 つづく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ