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遅くなりました
桜野月美
朝方のことだがあの五月蝿い犬の顎に一発アッパーを食らわせ失神させたた後
流石に罪悪感に襲われたあたしとゆきっぺはそれぞれ片側ずつ足をもち引きずって校舎内に引っ張っていくと玄関先で
「あれ?真ちゃん?」
朝練を終えたらしき背の高い男が下駄箱で犬の名前を探している私達と寝ている犬に近づいてきた
「お♪君はこいつの学友かい?」
ラッキー犬を運ばなくてすむ
てかコイツ背高いなとチョッと羨ましく思う
「はいそうですけど?」
「そうか、ならこの犬を頼む朝から校門付近で寝ていたのでな……」
チラッと犬の顔を見ると目が白目を向いていた
「じゃそういう訳だよろしく」
「そういう訳だよイケメンくん」
「は、はぁー?」
それだけ言ってその場を後にする
意味わからず押し付けられたノッポ、あたしはそう名付けた
は犬を迷惑そうにしながら靴を脱がしていた
「しかし、ゆきっぺイケメンくんはないだろ?」
廊下を教室にむけて歩いているちょっと疑問に思ったので言ってみた
「そう?カッコいいと思うよ結構女子にも人気あるし」
意外な答えが帰って来たゆきっぺ結構ミーハーなのか?
「いやいや、ゆきっぺてばあれは見かけだけの野郎だよ」
多分そうだ、あんなチャラチャラしたヤツどこがいいのやら髪染めてるし……注意するの忘れた
しかしこう言われると若干親友のセンスが疑われる
「ゆきっぺ因みに他にカッコいいと思うヤツっている?」
そう言うと
ん〜と少し考えた後とんでもないぶっ飛んだ答えが帰って来た
「そうだな犬くんかな?」
「は?」
あたしの耳を疑う返答が聞こえた
「いやいやいやいや無い断じてない!!」
そこは完全否定する
「そうかな?顔は悪くないし結構可愛いと思うよ」
またも気色悪い答えが来た
「うげ〜ゆきっぺあんなのが趣味なのか」
「趣味って酷いなみっき、私は一般論を言ってるだけだよほら中々一所懸命な所とかいいと思うのに」
親友の目を見つめるとあ、この目はマジだ
本当にそうか?絶対にウザイだけだって
あ、犬の野郎ゴミ箱の弁償代持って来たか?
「ん〜わからん、ダメだウザイヤツにしか見えない」
ゆきっぺはハァーと溜め息をつくと半ば諦めた感じで
「だから彼氏とか出来ないんだぞ」
残念そうにそう言った、ゆきっぺには悪いがそんなのいらないんだよ
それに今のところ全然興味を持てない
まぁ多分あたし自身が恋愛事に諦めを抱いているからだろう
何だかんだ言っている内に教室に着いた
[色々あって放課後]
ゆきっぺは遅くなるとの事で先に生徒会室に足を運ぶ
『今日の議題はどうするかな?あ、来年の部費の割り振り決めて無かったなあー面倒臭い』
と今後の我等の方針について悩んでいると生徒会室の入口に何やら人が集まっていた
「なんだお前達入らないのか?」
集まっていたのは役員達で何故にここにいる?しかも、あたしの背丈では見えん……
「あ、会長お疲れ様です」
「会長、ちょっと見てくださいよ!!」
入口に集まって役員達はバッと避けて教室内の状態を露にする
「こ、これは!?」
開いた口が塞がらないとはこの事だ
「ありゃ?皆してなに固まってんの?」
遅れて登場したゆきっぺが側に来てやっぱり同じく固まる
しかしこのままでは話が先に進まないので教室に入る事に
あれほど悲惨だった教室内は見事に綺麗になりすぎていた
「………」
「………」
「………」
役員達全員言葉を無くし取り敢えず各々の席に着く事にした
しかしもはや諦めて誰も掃除や片付けをしなくなっていたというのに
『掃除すか?やりました!!てか終わりました』
「やれやれ、本当だったとは……まぁいい早速だが話を始めよう早速だが去年と一昨年の部費の資料を取ってくれ」
「……」
「おい、書記長どうした?」
書記長はなぜか教室の棚を行ったり来たりしていた
「スイマセン、資料が見つからないっす!!」
はぁ?何を寝ぼけた事を
「何を言っている?昨日、机に出しておいただろ……」
「遅くなりやした〜」
その時間抜けた声と共に入って来たのは犬だった
「犬くん遅いぞ」
ゆきっぺが一喝入れる
「も、申し訳ないっす会長遅くなってすみません!!」
そう言った後私の席に近づいて来て空いていた席に
つまり席の作りとして黒板に背を向けて座っているのがこの私だがそれを中心にするように残りの席は向かい合って座っている
左側の窓際にゆきっぺの席、その正面右側入口側の席に座った
「あ、あのそこ俺の席……」
書記長の席に犬は座った
「何言ってんの?今からここは俺の物だ、なんたって会長に一番近い席ここだし
それに空いていた、だからここに座っても良いのだ反対側には参謀さんがいるしここがMyベスポジなんだ!!」
「え!?じゃぁ俺はどこに……」
すると犬は
「ん?じゃーそこ」
指を指した先にはボロい折り畳み式のちゃぶ台と綿のはみ出たカエルの子供椅子
書記長は口に出来ない訴えを目で私に訴えて来た弱いな書記長
「おい犬、貴様の席はそこではない貴様には特別に席を用意している」
マジっすか!!と驚いた後何故か私の席の近くに来た
「まさか会長から積極的にとは……照れますな///」
「おい……何のつもりだ?」
この犬は私の席の隣すぐ近くつまりの私の椅子に割り込んで来た
「え?いや俺にとって特別な席ってあれ?」
ブチっ
切れてはいけない血管が切れたかもしれない
「死にさらせ!!犬めが!!」
果てしなくおもっくそその醜い顔を蹴った
「ゴハッ!!いいぃぃ////」
「テメーの席はそこだ!!」
指を指してやったのは教室の一番後ろの端
先程まさに犬が書記長に進めた席だ
「貴様の席はあそこ」
「まじすか?」
ヤツの驚いた顔はかなり傑作だった
吹き出すのをこらえてゆきっぺを見るとやはり笑いをこらえていた
「それでは話を進めよう、書記長資料は見つかったか?」
書記長は資料を探していたがお手上げらしく首を横に振った
「はい」
ん〜何とかならんものか……
「はい、はい」
仕方ない今日は部費を決めるのは止めて他の議題で話を……
「はい!!」
話を……
「はいはいはいはい!!」
……
あからさまにシカトしているのを気にせず挙手をするあ〜ウザイ
「ちっ!!貴様は小学生か?一体なんだ?」
コレでしょうもない話をしたらフルボッコだ
「部費の資料すよね?それでしたらコチラのファイルに年度別にキッチリまとめておきました」
サッと渡されたファイルには年度別に整理されたプリント
確か昨日までは野ざらしにしていたプリントだ
「色々ゴッチャになってたので他の資料も年度別に整理しときやした、その資料はそっちの棚にそれはそこに、あれはコッチに……」
あれ?何故コイツが資料の位置を?
「ま、まてまて一度に言われたらわからなくなる
そもそも何で貴様が資料の位置に詳しいのだ?」
すると犬は自信満々に
「掃除したの俺すから」
そうだった確かに昨日掃除を任せたのは私だがここまでするとは
「犬くんスゲーじゃん見直したぞ!!」
ゆきっぺは犬にグッと親指を立てた
「いや〜照れる///」
これには他の委員達も感服したのか拍手などしていた
するとゆきっぺは私の耳元で
「いい拾い物したね♪」
と囁いた
「ん、確かに」
しかしこの時はオマケが着いてきて得したな〜位にしか思っていなかったが後に私は後悔することになるこの犬を拾った、拾ってしまったことに……