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マトイビト  作者: varitora
9/10

第7話 龍族の脅威


どう言う事だ


あれから一日経ったがシャドーが帰って来ない


答えは二つに一つ。捕まったか殺されたかだ


どちらにせよ


「腹立たしいなぁ!!くそが!!」


会議室の机を粉々に粉砕する。この場にいる全員がゼルの激昂に恐怖していた


ここは城の一室を会議室として設けた部屋、広い部屋に30人は座れる円卓を置いた。玉座の間で話したりするのは少し不便だったし、これからは会議に参加する人も増えてくる


今はオレと側近8人、それに人間のリアとニア。まだ二人はおどおどしているが、それなりの扱いを奴隷のみんなもしてもらっている事と自分達は側近のように扱ってもらえる現状に安心していた。二人は慰めモノにされる事を覚悟していた


だが、この国は見た事の無い技術がありアトランタにいる時よりかは確実に良い生活をしている。


「取り乱してすまなかった。さて、どうしたものか」


「私が偵察に行きましょう」

ベラルが手を挙げるが却下だ


各々手を挙げるが却下却下却下


「こうなったら、オレが出るか」

8人が全力で却下してきた。まあそうなるわな


「仕方ない。シャドーが育成されるまで待つしかないか。でも、迂闊に手を出さずに良かったよ」


シャドーがやられたとなると向こうも相応の戦力を保有していることになる。もしかしたら出兵した兵が、下手したらザハランがやられると言う可能性もある


「では、今日の報告会は以上だ。解散」


昨日と今日で売れた奴隷は5000人、あと三日で完売する予定だ。収益は金貨74510000枚。よしよし、上々だ


奴隷になった人間は幸せだと言う者が今の所殆どらしい。一日しか経っていないと言うのに現金な奴らだ


将軍3人はそれぞれの配下の兵士達と三食の食事を取り、絆を深めているらしい。奴隷の鍛冶屋で三色の防具も作らせているそうだ。ザハランの兵士はザハランの鎧と同じ色のワインレッドの鎧。デュラムは黒色の全身鎧。ジークハルトは白色のコートだそうだ。あいつらの頼みで農園と反対側の空きスペースに闘技場を作りたいと頼まれたから快く許可した


ディアブロとシルビアは早速リアとメアに仕事を取られてまた無職状態。うん!頑張れ!


玉座の間に戻り椅子に座り考える。オレ一人で行って大丈夫な気がするんだがな。黙って出て行くか?大騒ぎになるか…あのシャドーには少し愛着が湧いていたからなんとか仇討ちしたいのだが


「ゼル様、二人で行きますか?」

オレの心中を察したベラルが提案する


悪くないが、ベラルを危険な目に合わせたくないと言う気持ちもある。贅沢なのだろうが、嫌なものは嫌だ


ウーーーーー!ウーーーーー!


城内に、国内に警報が鳴る


これは敵の兵が視認出来る距離に来た時に鳴らされる戦争警報だ


「くそ、ちょっと見てくる。お前は三将軍に戦争の準備をするように伝えろ」


ベラルはすぐに兵舎へと駆け出した


「す、凄い数の…」


天守閣から見た敵はおおよそ50万の兵を引き連れて現れた


「凄い数のゴミが現れた」


民衆は警報が鳴っていても気にせずいつも通りの生活を送っている。信頼されてるもんだな


玉座の間に戻ると三将軍以外の側近達が集まっていた。焦っているものは誰もいなかった


皆、心配で防壁から一度敵を確認して問題なしと判断していた。三将軍なら余裕だろうと


ーー


一向に攻めて来ない。かれこれ1時間、敵はただ立っているだけだった


「くそ、もう我慢ならん!出るぞ!」

「待て、ザハラン。ゼル様に仰ぐのだ」

「僕がちょっと行ってくるよ」


ジークハルトが城へと戻り、ゼルにどうすれば良いか助言を仰いできた。と言うよりわざわざ城から出るなんてしなくて良いと分かっているが聞きにきたのだ


「行けと、命令が欲しいのだろう?」

「おそれながら」


見た所、人間のみで編成された兵しかいない。でも流石に人数が多い、少なくない仲間が死ぬだろう


「ならば、8人で行け」


その言葉にジークハルト含む側近は胸を躍らせた


久しぶりの出陣、しかもゼル様の前で自分の活躍を見てもらえる


「わざわざこちらのテリトリーに出てきてくれたのだ。ただ、一つ条件がある」


6人は条件を聞くとすぐさま城を後にし城門で合流した


「まさか8人の出陣を許してくださるとは」

「映像を見て人間だけの兵と判断されたからよ」


8人の先頭に立つザハランとベラルが武器と防具を装備した


「ベラル姉さんの全身魔装初めて見たよ!」

ディアブロがベラルのスキル全身魔装に目を輝かせる


全身魔装、魔力を任意の量を変換して鎧へと変える


「遊びじゃないのよ、ディアブロ」

「分かってるよー」

ディアブロも力を解放する


体が肥大化し、牙と尻尾が大きくなる

巨大なドラゴンへと変貌した


ディアブロの竜化。この状態のディアブロは最上位の龍族と真正面から対等に戦える


「グォォォォォォォォオ!!!」


「其方、もはや喋れないのか」

デュラムは姿を変えずにいた。彼が姿を変えるトリガーは任意では無く怒りによるものだからだ


「さぁ、行きますよ」


ベラルの掛け声で50万vs8人の戦争が始まった


ーー


「兵長!敵が出てきました!」

「やっとか、低脳なやつらだ。それでどのくらい出てきたのだ?」

「は、8人です!」

「なんだと!!」


そんな訳けあるかと望遠鏡で国の方を見た


絶句した。8人の内1人が伝説の龍へと姿を変えた瞬間を兵長は目撃してしまったのだ


「兵長…」

「て、撤退だ!敵国は龍を保有している!全軍速やかにて…」

〝手遅れ、ですよ〟

「っっひ!」


敵国兵の中に斬り込んだのはベラルだった。彼女のスキルの一つ黒霧島(ダークアイランド)を発動した彼女は注いだ魔力により広さが上下する範囲を自由に移動出来る空間支配系のスキル。今回は敵兵の全てを覆うサイズで発動した


兵長と呼ばれた男はなす術なく首を刎ねられた


各々敗走を始めた人間を後は狩り尽くすゲームのような状態になった。敵は手を出してはいけないモノに手を出してしまったと今更気付いた


「「ずるいよー!」」

敵兵の上空に飛ぶ双子は得意の爆発魔法を逃走ルートを塞ぐように放つ


その爆発は地球で言うナパーム爆弾のようだった


「我と戦える者はおらぬのか!」

愛馬にまたがり長槍を振り回し敵兵の命を散らすのはザハラン


「グォォォォォォォォオ!!!」

低空飛行で人間を砕くディアブロ。この中で一番ヤバいだろう。色々と


「某の出番はなさそうですね」

両手を胸の前で合わせてそれを開くと黒い球体のようなモノが現れ、そこから無数のコウモリが現れ人間を襲い始める。多彩な魔法を扱うデュラム


「私、いらない?」

兵がバタバタ倒れはじめた。数千の毒針が敵兵を襲う。シルビアだ


「あーぁ、あんな返り血浴びて。病気になっても僕は知らないよー」

防壁の上から魔法の矢を打ち込むのはジークハルト


「グォォォォォォォォオ!?」

「あ、ごめんね。僕にも誤射する時あるんだなー」


1分も経っただろうか。敵兵は誰1人残っていなかった


草原だったそこは荒野へと変わっていた。やり過ぎだぞあいつら。まぁ今回は許すか


「「いーきーてーるーひーとー?」」

双子が死んだふりしてる奴がいないか、生き延びてるやつはいないかを確認していた


「某が燃やした方が早くないか?」

デュラムが面倒臭くなったのか両手を合わせて火炎魔法を発動する


「「ちょっとー!」」

双子は慌ててその場を離れるとそこはあっという間に燃え尽きた。死体も全て消し炭となりこんがり焼けた肉の匂いが周囲に広がる


これでゼル様からの条件をクリアした。それは誰一人逃すことなく殲滅せよとの命令だった


50万も敵がいたら逃す可能性が高かったが、それを防いだのが終始逃げ道を爆撃して上空から監視してくれた双子だった


今回の功績は双子にあるだろう


「グォォォォォォォォオ!!!」

国の中に帰ろうとした時、山の上空に龍が現れた


「え!?」

「ディアブロ、双子」

「ディアブロ双子だったの?」

「いや、あれは龍族だ」

「「ちょっとヤバいー?」」

「某が本気出せば大丈夫」

「僕は援護するからねー」


8人は龍族を前にしても慌てていなかった。いくら強くてもたかが一体だからだ


「「「「「グォォォォォォォォオ!!!」」」」」


更に5体の龍族が姿を現した


これはいくら何でもまずい。はたして8人の運命はどうなる


「龍族、方角からしてあの国か」


これは変だな。6体も保有してるのなら初めから龍を動かすはず、何か臭うな


ゼルは腕を組み思考巡らせる


情報が少な過ぎて仮説が絞れない。何とでも言える状況だ


「仕方ない、オレも出るか」


落ち着いてはいるがハラワタが煮え繰り返っていた


卑怯者の匂いがプンプンしていた



人物紹介

ゴーレム

魔力のコアを原動力として動く岩人形 消費500

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