第6話 お呼びでない来訪者
人物紹介
ディアブロ 性格 ポジティブ 冷酷
7人目のサブキャラクター。性格はポジティブで明るいが、いざ戦闘となると冷酷な一面が出てくるたくましい二本角を持った悪魔。鎖を武器として扱い捕縛を得意とする。本当の戦闘スタイルは五体を使った肉弾戦で竜化のスキルを使う事で戦闘力は更に上昇する。その可愛い容姿で敵を油断させる。戦闘型のサブキャラクター
天守閣に差し込む太陽で目が覚めた
景色を眺めていたらいつの間にか寝ていたようだ
転移して二日目だが、まだ完全に現実とは理解できている気がしなかった。まだゲームの中で遊んでいるような。いつかここが現実だと思い知らされる事になるような気がする
「お前達、早いな。おはよう」
城の会議室に下りるといつものように側近達は並んでいた。一体いつから待っていたのか
「今日は隣国を攻め落とそうと思っている」
昨日寝る前に考えていたのだが、異世界に来ようがオレはオレのやり方を貫くと決めたのだ
側近達はなんて言うか心配ではあったが、着いてきてくれるだろう
「素晴らしい判断です」
「我も同じ考えでありました」
「某はそういう藤堂高虎様が好きです」
「「着いてくだけなのー!!」」
「僕には王の考えが答えになる」
「ディアブロを使ってくださーい!」
「私も、賛成」
良かった
「それとオレは名前を変える、これからはゼルと呼んでくれ。そして、この国の名前はフィシアと名付ける。民衆への説明は任せたぞ双子」
「「はーい!」」
ポポルとモモルは双子と呼ぼう。そっちが楽だ
「ゼル様、なぜお名前を?」
ベラルが訪ねてくるが答えは簡単
「長過ぎて呼ばれるこっちがダルいんだ」
それだけではなかった。もしプレーヤーがいたらその内、気付いて接触してくるだろう。金貨はプレーヤーからしか取れない可能性があるからな。いるなら早く出会っておきたい。餌に
「「「「「「「ゼル様に忠誠を」」」」」」」
側近達は練習したかのように揃った声を出す
「そして、お前達にはこれから役職を与える」
双子には国安の役職を。ベラルには相談役、ザハランとデュラム、ジークハルトには将軍。ディアブロとシルビアには…また後でと言う事にした
双子の国安は文字どうり国内の安全を守ってもらう。じきにシャドーが千体生まれてくる。そいつらを配下に置かせて民衆の声をより多く聞いて貰い、それに応じれるように働いてもらう。これはシャドーを作成した時に思い付いたアイデアだ。もちろん今後は敵国へのスパイにも借りる事になるが、基本は国の内部を見張らせる。これで逆にスパイが来た時には撃退できる
将軍の3人には兵士を分配する。上級までは均等に分配するが更に上の種類になると進軍を任せるザハランには突進力のある兵士を、国の盾となるデュラムには迎撃力が高い兵士を、遊撃隊となるジークハルトには機動力のある兵士を中心に与える。あくまでもバランスが悪くならないように綺麗に分配はするが
ベラルは常にオレと共にいて、オレの相談役になってもらう。頭はキレるし閃きがすごい。何より一番愛しているからな。側に置いておきたい。もしオレが不在の時は国王代理にもなってもらう予定だ
ディアブロとシルビアは、もう少し成長しないと任せられる事は無い。ひとまずベラルの補佐となってもらった。秘書の秘書って笑えるな
「以上、理解してくれたか?」
一同は質問も無く頷いてくれた。優秀な部下で助かる。二名は除くが
「主よ、ただいま戻りました」
オレの影から黒い悪魔が現れた。デーモン・シャドー、彼には隣国の調査を任せていた
「ひっ!」
力の抜けた声がシャドーから発せられた
「やめろ、言って無くてすまなかった。シャドーを昨日見つけた国へ送り込んでいた」
8人の側近がゼルの後ろに現れたシャドーを捕らえていた。怖かったろう。鎌を首に当てられ、眉間に槍、胸部に短剣、目の前で爆発しそうな魔力の塊が二つに体を鎖で縛られていた。そして、周囲には目を細めないと見えないような細い針のようなものが数千本、体の周りに浮いている
「ご苦労様ね!シャドー!」
「我らでは出来ない事をよくやってくれた」
「某も貴殿のような力が欲しいな」
「「ねえ!どんな国だったー!?」」
「君も王に仕える同士だったんだね」
「ディアブロまた失敗しちゃった。」
「私も、また死にたい」
全身真っ黒なシャドーから見た目では分からないが相当怖かったというのが雰囲気でわかる
「ざ、財は我が国で使えるような金貨ではございませんでしたが。豊かな国のようでたくさんの硬貨が流通しておりました」
またいいアイデアが思い付いたぞ。でかしたシャドーよ!
「資源はおそらく我が国でも使えるで…ひっ!」
大鎌がまた首に当てられていた
「ゼル様におそらくで答えるの?」
「やめろ、ベラルよ。家族だと思えと昨日言ったはずだぞ?」
さっきはオレの背後に現れたシャドーが悪かったが今回はベラルが悪い
ベラルは鎌をしまってシャドーに謝った。これだけでも少しは成長と言えるかな
「そ、そして兵力の調査ですが…民衆が武器を持っただけのような者が2万程でしょうか」
な、に?この世界はそのレベルが当たり前なのか
「ご苦労、お前はこれから双子の部下だ。双子をオレだと思って従うように」
「双子様。よろしくお願いします!」
「ポポルと「モモル」「だよー!よろしく」」
挨拶を終えるとシャドーはポポルの影に入っていった。あいつはシャドーのリーダーにしよう
「これで情報は得た。敵国は恐れるに足らないようだ。ザハランよ、これより兵を率いて進軍するのだ!いつも通りのやり方で構わない」
「御意。我、これより進軍を開始します」
鎧を鳴らしながら城を出て行った。ザハランよ吉報を待ってるぞ
いつも通りのやり方とはゲーム時代の作戦の事を指していたがすぐに理解してくれたようだ。進軍と戦争中は城の中で映像が見れたが、この世界でも使用可能かな?見れなかったら遠くからでも見に行くか
ザハランの部隊はデーモン334、ソルジャー334、ガードナー334、メイジ334とゲームでは弱小編成だがシャドーの情報が正しいならこれで余裕のはずだ
進軍の準備が終えたら連絡が入るように双子にシャドーを動かしてもらった
ゲームと違ってそれぞれの将軍の兵士である事が明確にわかるようにした方がいいな。兵舎に鍛冶屋があったな。色分けした防具を作らせるか。アダマンタイトが腐るほどある山からアダマンタイトの鎧でも量産させるか
あ、一つ言い忘れていた。ザハランの所へ転移
ザハランは城の門の内側で兵士の士気を上げていた。指揮型のスキル鼓舞だ
「ゼル様に忠誠を誓え!その命は全てゼル様に捧げろ!ゼル様に栄光を!」
「「「おー!!!!」」」
1300体の掛け声は圧巻だった
「いい士気だ、ザハランよ」
「これはゼル様、こんな所に。御用ですか?」
ザハランにある作戦の追加を命じた
「それは名案です。では、行って参ります」
ザハランの掛け声で巨大な門が開く。国を守る防壁は5メートルの高さと2メートルの厚さがありまさに鉄壁の守りだ。それにそびえるこの門はレアメタルからできていて龍族のブレスをも数発は耐えてくれる
「「「「「「え?」」」」」」
門の前には6人の人間が立っていた。戦士の男3人とメイジの男2人に僧侶のような女が1人。どこかで聞いた風貌だな
「何者だ?」
オレの言葉に反応できず、その場で尻もちをつく6人。完全に怯えている
「ディアブロ!」
「お呼びですか」
どこから来たのか一瞬で現れたディアブロに6人を捕らえて城に連れてくるように命じた
ディアブロはスキルで鎖を出して6人を捕獲した
人間は何も出来ないまま城へと連行されていった
なんだったんだあいつら。後でじっくり話しを聞こう
「それでは行って参ります」
何事も無かったかのようにザハランは愛馬にまたがりそのまま進軍して行った
ーー
城に戻ったオレはひとまず人間を無視して映像が見れないか模索していた
「やはり映像は見れないか」
「ゼル様、おそらくこのボタンを押せば見れるかと思います」
ベラルが椅子の側面についているボタンを教えてくれた。アイコンに頼っていたオレには本当に彼女は重宝する。いずれオレの妻にしてやろう
「おー!出て来たな」
城の壁に映像が映し出された。ザハランがもうすぐ到着するようだ。ククク、楽しみ楽しみ
オレは残虐で非道、冷酷な王だ。これから始まる殺戮が楽しみでたまらなかった
「そ、そんな…」
「私たちの…」
「お父さん!お母さん!逃げて…」
「なぜ…アトランタ王国に…」
「いやだ…こんなの嘘だ」
「化け物め…」
捕らえていた人間達の故郷らしく騒ぎ始めた。五月蝿いハエ共だ。殺すか?いや、こいつらには利用価値がある。殺すのは勿体無い
「しかと見ておけ、これがゼルの力だ」
国が視界に入るとザハランが腕を振り上げて下ろした。ガードナーとメイジがマンセルを組んで進軍を始めた。人間達はまだ気付かないのか?ゲームとは違って警告メールも宣戦布告も届かないからこれが現実か
2メートル程の防壁にメイジが貫通力の高い魔法で穴を開けたかと思ったらそこに爆発の魔法を叩き込む。一瞬で壊れた防壁を今度はガードナーとソルジャーがマンセルを組んで壁内へと入り始めた
「さぁ、蹂躙を開始する」
人物紹介
シルビア 性格 ネガティブ コミュ障
8人目のサブキャラクター。ネガティブでコミュ障って言う謎の設定をしてしまい作成されたロリータ悪魔。ウケ狙いで転移する三日前に作った。武器は魔力を通した毒針を使う。有り余った資源で作った事もあり他の側近よりステータスと保有スキルは多め。コミュ障なのに指揮型のサブキャラクター