第5話 近隣国
ベラルの報告を待つ一方でオレは兵士作成装置の前に来ていた。そろそろ9時間が経つ頃だ
グォォォォォォォォオ!!!
2回目だがこの迫力はやはり凄まじいな
ソルジャー、ガードナー、メイジがそれぞれ千体ずつ生まれてきた。彼等を兵舎で休んでおくように命じて次の兵士育成を開始する
レベルが上がった事により悪魔兵士の種類が増えていた。デーモン・エリート、ジェネラル、アークメイジ、シャドーの四種類
まずはシャドーを一体作成する
所要時間は約30秒か
「誕生させていただき感謝致します。主よ」
そう、シャドーは喋れる。このレベルから喋れる兵士が生まれてくるのだ
「早速だが、ここから西へ行った所に国がある。可能な限り姿を見せずに情報を集めてこい。兵力、資源や財産などだ」
命令を受けるとシャドーはスーッと影の中に消えていった。敵が感知型の兵士を持っていなければ上手く行くはずだ
シャドーの事を考えていたら良いアイデアが浮かんだ。量産が済んだらすぐにでも取り掛からせよう
その後エリート、ジェネラル、アークメイジ、シャドーを千体ずつ作成した
〈待ち時間ー108:00h〉
ざっと5日か、資源が確保出来るならすぐにでも終わらせるが
ちなみにここで上級の兵士となり一体五千の資源と金貨を使う。これだけで二千万の資源を使ってしまった。この上からは一体で二万の資源と金貨を使う。早急に対応が必要だ
ベラルよ、良い報告を期待してるぞ!
まだあまり時間が経っていなかったから兵舎にいる奴隷達の様子を見る事にした
「元気にやってるか?」
転移で奴隷達が休憩する部屋に入ると200の奴隷達が一斉にひれ伏した
「えーっと、いたいた。お前だ!料理人、ちょっとこっちにこい」
今日首を刎ねられそうになった奴隷だ
「やはり死刑ですか…」
落ち込んでいる。何故こいつらはこんなにネガティブなんだ
「お前をこれからこの奴隷のリーダーにする」
ゲームではそんな機能は無かったが現実になった今は出来るだろうし、どんな集団にもリーダーが必要だろう
「り、りーだーですか。具体的に何をすれば…」
「これから奴隷の数を増やそうと思っているのだがな。お前達はオレに従順に従ってくれると信じているが、これから来る奴隷の教育と管理を任せたいのだ」
これまたただの奴隷だった料理人には荷が重いだろうが、上手くいけばこいつらのためにもなる
「まず奴隷が働くシフトを組め」
「シフトとは?」
「三日働いたら一日休めるように働くものを分配するのだ」
奴隷達は感激していた、生まれてから一度も一日休みなんて無かったからだ。すでに嬉し泣きするものまで現れた
「で、では後は頼んだぞ。後から増える奴隷についても完全にお前に任せる。それとお前には名前をやろう。そうだな、プリズナとこれからは名乗れ」
「私なんかが…プリズナ、必ずお役に立って見せます!」
これで過労死する者は出ないだろう
城に戻ったオレはある事に気付いた。盲点とも言える落とし穴に…
「金貨ってどうすればいいんだ…」
そう、金貨はゼルフィシアに流通するお金でありこの世界にあるはずが無いのだ。兵士作成は既に詰みつつあった
国に流している金貨は約1000億枚あり、この国にいて民衆の人口100万人。平均したら民衆一人あたりに10万の金貨を常に保有する形にしている。金貨1枚が日本円での1円として10万円が民衆の財産とゆう事になる
まああくまでも平均したらの話しで貧困の差はあるが。そこらへんはオレには全く関係ないのだ
民衆から取り上げる訳にはいかないからな。後で側近達にでも相談して考えるか
そうこう考えるうちに2時間が経っていた
待てよ、ベラルはどうした?あいつなら1時間もせずに帰って来れるだろう。何かあったのか?探しに行くべきか
見計らったかのように城の扉が開かれベラルが帰ってきた。良かった。無事みたいだ
「藤堂高虎様!あの山の資源は使えます!」
「それは本当か!!」
ベラルは泥だらけになった姿でオレにやけに重い石を手渡すとニコニコしている。ん?どゆこと?
「アダマンタイトです」
「何だと!?アダマンタイト!?」
鉱石の中では最高峰の鉱石でその重さは他の鉱石と同じサイズで数百倍にあたる。そのアダマンタイトが取れる山だったのだ。ベラルが言うには山の土を掘り起こすと中身がアダマンタイトでほぼ出来ていたそうだ。要するに、アダマンタイトで出来た山だと言う事になる
「木の方も全てゼルフィシアに生息していた木々だとも確認しております」
国から30分の距離にはまさに宝の山が…なんてラッキーなんだ。すぐにでもデーモンを送って
「それで、一つ問題がございまして」
上げて落とすのか君は!!
「山の頂上に行きまして、山の反対側を確認したところ…」
それで帰ってくるのに2時間もかかったのか
「新たな国を発見致しました。間違いなくゼルフィシアの国では無いのですが、山に隣接するように在するその国はおそらく軍事国家のようで、たくさんの人間の兵士が確認できました」
オーマイゴット…そこの国とは間違いなく戦争になるな。いきなり隣にある山を削り出されたら怒るだろう
「そうか、ご苦労だったな。後のことはオレが考えておく。ベラルはゆっくり休んでくれ」
それを聞いたベラルはまた隣に座り込むともたれかかってきた。もう襲っちゃうよ
「もう夜も遅い、部屋で休むのだ。これは命令だぞ」
残念だが、まだそんな気分にはなれなかった
残念そうにベラルは一礼して自分の部屋へと帰っていった。ゆくゆくは、な
その後、オレは自分の部屋である天守閣に転移してこの世界をゆっくりと眺めた
この世界に来たプレーヤーはオレだけか?他にいるのなら…資源と金貨を奪わなきゃな
藤堂高虎は協力など一切考えていなかった。元々ゼルフィシアをプレイしていた時もひたすら周りを食い続けた彼にはその思考は持ち合わせていなかったのだ。この世界で自分達の国の強さはまだ未知数だが、なぜか大丈夫だろうと言う自信があった。最強として君臨し続けたせいだろうか…
彼はまだ知らなかった。この世界には彼等に匹敵するかもしれない戦力がいることを
人物紹介
ジークハルト 性格 正直者 潔癖
6人目のサブキャラクター。少年の姿をした悪魔でサブキャラクターの中では最も丁寧に仕事をこなすタイプ。潔癖で返り血を浴びたりするのが苦手。戦闘スタイルも遠距離からの攻撃を好み、大弓で魔法の矢を放つ。接近戦が苦手と言う訳ではなく、むしろ接近戦が得意である。大弓と短刀使い。指揮型のサブキャラクター