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マトイビト  作者: varitora
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第1話 捨てられた少年

異世界転移小説が好きで自分で書きたくなりました。文章力も無い素人ですが、よろしくお願いします


暗い森の中に一つの馬車が全速力で走っている。


「このままじゃ、カレン!!」

「嫌よ!」


馬車を運転する男が後ろにいる女に何かを命じているが、言う事を聞かない


「オレ達まで死んだら家で待っている他の子はどうなるんだ!差を付ける訳じゃない!生きるためには…」

「…」


馬の手綱を離して後ろの荷台に来た男は女が大事そうに抱きしめている男の子を無理矢理奪い取ると荷台から投げ捨てた


「ジョー!!!!」

「すまん、ジョー…」

「パパ、どうして…」


少年の目に映ったのは泣いている母と下を向く父の姿だった。その姿は一瞬で暗闇へと消えていった


「う、痛いよ…パパ…ママ…」


馬車から放り出され、地面へと叩きつけられ激しい痛みと悲しみが彼に襲いかかる。だが、襲いかかるのはそれだけでは無かった


『ギェェ!ギェェ!』


人間では無い者達がジョーに近付いてくる


「や、やめて!お願いだから!!」

『ギェェェェェ』


ヨダレを垂らしながらそいつらはジョーの体に鋭い爪と牙を突き立てた


「うゎぁぁぁぁあ!!!!」


ーー


ここはどこだろう。誰かに背負われてる


「気が付いたか、人間の少年よ」

「おじさんが…助けてくれたの?」

「そんな所だ。ちょっと一部始終を見ていてな…流石の儂でも少し可哀想になったのだ」

「…」


さっきの出来事を思い出す。モンスターに襲われた両親は僕を捨てた。両親の気持ちを組むなんてまだ出来るような歳ではない、ただただ悲しくておじさんの背中で泣くことしか出来なかった


しばらく泣いてジョーの気持ちは落ち着いた


「おじさん、僕を助けてくれてありがとう。パパと違っておじさんは強いんだね」

「強い、パパも強い男だと思うがな。あんな決断を下さる男はそうそういない」

「言ってる意味が分からないけど、それより僕はこれからどうすれば良いの…」


帰る所もない。助けを求めるあてもない


「おじさんと一緒にいちゃだめかな」

「…」

「だめだよね…迷惑だよね…」


ずっと返答せずに歩き続けたおじさんが背中から僕を下ろした。ここでお別れかと幼いながらに感じる


「10年、共に暮らしてやろう」

「い、いいの!?」

「10年だけだぞ」


思っていた言葉とは全く違う答えが返ってきた。一人にならずに済むと安心した僕はまた泣き続ける。僕は8歳の誕生日に嬉し泣きと言うものを知った


ーー


月日は流れて10年が経った


死の森(デスフォレスト)と呼ばれる場所で僕は、オレは10年の間生きてきた


「ほら!おじさんがくれたこの武器本当に使いやすいよ!オレの手に馴染むっていうかさ」

「そうか、ジョーも随分と大きくなったな」


18歳になったオレは身長もかなり高く、森で生き抜いて来たおかげで身体も引き締まっていた。今日は18歳の誕生日で、おじさんがどこから持って来たか分からないオレと同じくらい大きな鎌をプレゼントしてくれたのだ


「それはデスサイズと言ってな、儂の一族に代々受け継がれる家宝だ」

「そんなもの貰っていいの?」

「あぁ、儂が最後の一人だからな」

「そっか…なんかごめん」


おじさんはしばらく考えるような顔をして空を見上げる


「ジョーよ、今日が約束の10年だ。これからは自分で生きて行くんだぞ」

「もう10年も経ったんだね。約束だからこれからオレは一人で生きていく。また会いに来て良いかな?」

「それは無理だろうな」

「どうして?」


またおじさんは空を見上げる。これ以上聞いても何も教えてくれない事は10年共に過ごしたおかげでわかる


「本当に今までありがとうございました」

深々とお辞儀をする。10年間全ての思いを込めて


「あぁ。最後にこれだけは気を付けろ。デスサイズは所有権を持たない者を拒絶する」


デスサイズを見る

「それって…分かった、気を付ける」


おじさんは既にその場を離れていた。おじさんは姿を消す力なのか瞬間移動なのか分からないがよくこうやっていなくなった。またいつか会いにくるよ!そう叫んでおじさんと共に過ごした森を去った


「ジョー、儂こそ、ありがとう」


木の上から去っていくジョーを見守る。その顔に涙は無いが、巣立つ子供を見る母のような目をしていた


儂は明日には消滅するだろう。一族の運命だから仕方ないが、だから一人で生きてきたのだ。死神と呼ばれる儂らはこの世界にはもう必要ないから。でも、ジョーと過ごして儂はまだ生きていたい。ジョーを見守りたいと思った。神は残酷だよ、本当に


ーー


ジョーは森から一番近い街であるメクネイシに来ていた。生まれて初めてたくさんの人間が集まる場所で彼は圧倒されていた。ジョーは小さな村落で育った。だからたくさんの人が行き交う場所を知らない


さっきから街にいる人がオレをチラチラ見ている。田舎者だからどこか変なのかな?怯えてるようにも見えるんだけど気の所為だろう


「そこの君、ちょっと役所まで来てくれるか?」


んー、てかそうだ!お金とか何も持ってないや。おじさんが言ってたな。人と暮らすにはお金が必要とか


「こら!!何を無視している!」

「え?オレ!?」

「そうだ!見るからに怪しい格好をしている。話しは役所で聞くからちょっと来なさい!」


怪しい格好?


目の前の男は鉄製の肩当てとか胸当てをつけてる。街を歩く人々はパパやママと同じような服を着てるけどオレは…黒布を体に巻いてるだけ。ちょっと変だったかな


「それにその手に持ってる武器は何だね!街でそんなものを持って歩くなんて許されない!渡して貰う!」


男が手をデスサイズに伸ばしてきた。その瞬間、おじさんの言葉が脳裏に浮かぶ


「触るな、危ないから」

男の胸を押してデスサイズから離した


「な、何をする!貴様!」

「いや、危ないから」

「この!私の権限で貴様を殺す事も出来るんだぞ!」


叫びながら腰に差していた剣を抜いた。周りの人たちもぞろぞろと集まり出したが、聞こえてくる言葉が全てこの男への声援だった。オレ、何か悪い事したのか?


「大人しく武器を捨てろ!そうすれば命までは取らん!」


捨てろ…命をだと…


ジョーの中で嫌な思い出が蘇る。その瞬間、ジョーの体から黒い蒸気のような物が溢れ出す


「な、得体の知れないやつめ!さては人間ではないな!」

「簡単に命をどうとかオレの前で口にするな」


男は完全に恐怖していたが、街の治安を守るのが彼の務め、さらには集まっている人の目もある。引くに引けなかった


「治安維持の為!貴様をここで斬首の刑に処する!」

「だからーー」


男が斬りかかろうとした瞬間


「ギルツ、やめなさい」


野次馬の中から女性の声が聞こえてくる。その言葉で男の動きは止まった


「リーライ様…この男が!」


出て来たのは白色の鎧を付けた女性だった


「その男に悪意は感じないわ、あなたはもういいから下がりなさい」

「はい!」


何かまだ言いたげではあったが女の命令には逆らえない様子でこの場を去っていった。まだオレからは言う事あったんだけど


「あなた、何者?」


女性の言葉が胸に突き刺さるような感覚を受けた


なんだこれ…


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