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ふたりの世界
次の日、私は社員のパスを、いつもと同じく確認していた。
「あれ、何か元気なくなくなくない?」
また、お前か?早く通ってくれ……。
「俺の女性論、聞きたいって?」
別に……。
「女性にはカワイイ系とキレイ系がいる」
「私は、どっちなの?」
「キレカワ系」
……。早く行ってくれないかな。
あ、やっと行ってくれた。
あれ、アイツ、パスを落としていった。
私は、パスを拾いあげようとした。
手が震えている。
涙が出てきた。
彼が落としたことに気づいて戻ってきた。
こっちにくる。
「気づいて良かったよ。あれ、髪に塵、付いてるよ」
彼が私に触った。確かに触った。
(おわり)