強くなりました!!
凛花さんの命令により、私と奈々(なな)ちゃんの特訓が始まった。
「はぁ、魔力を使い果たすって何に使えばいいんだろう・・・・・」
とりあえず私の武器、ドラゴンスレイヤーは出しているけど、前に天使たちが襲撃してきた時に咲さんや奈々ちゃんみたいなカッコイイ技なんて私には無いし・・・・・。
かといって、剣を振り回すだけじゃあ魔力ではなく私の体力が無くなるだけだし・・・・・。
「おりゃぁ!!おりゃぁ!!」
奈々ちゃんは向こうのほうで威勢よく、前と同じように八岐大蛇に鞭を変形させてちゃんと魔力を消耗しているみたいだけど・・・・・。
「こうなったら私も何か技を覚えるしかない!!」
しかし技といっても、特に何をしたらいいのかわからないから今困っているんだけどねー。
「ねぇ、マサトー、どうすればいいの?」
私が呼ぶとマサトが近づいてきた。
「んーどうすればいいと言われてもな・・・・・・。基本のことぐらいしか教えること出来ないよ。技は自分で身につけるものだからね」
「基本のことでいいから!早く!」
「基本は簡単だよ。武器に力をためるんだ。後はそれを打ち出せばいいってこと。肝心なのはイメージだよ」
力をためる?武器に力をためるイメージ・・・・・・・。
目をつぶって私はイメージをした。まるで自分の魔力を武器に流し込むかのようなイメージを。
少し経ってから、目をあける。
すると、ドラゴンスレイヤーが何か黒い光を纏っていた。
「ミカ。後はそれを放つだけだよ」
放つって言っても何をしたらいいんだろう。適当に振ってみるか。
私はすぐ近くにあった木にめがけて剣を振った。
すると、ドラゴンスレイヤーが纏っていた黒い光が木にめがけて飛んで行った。
だが、木には少し傷がついただけ、これなら直に剣で斬ったほうが威力がある。
「全然だめじゃん!!」
「そら基本だからね。もっと魔力があればこの技も強力にはなるんだけどね。でも、一番強くなる方法は自分で技を身につけることだよ。まぁ、基本は武器に魔力を高めることだからね」
「うん・・・・」
やっぱり、簡単にはできないよねー。アニメとかでも主人公が必殺技を身につけるのにも結構かかるし。
何かいいアイデアないかなー。
私が考えていると、凛花さんが近づいてきた。
「ミカ、迷っているならいいアイデアがあるわよ」
「ほ、本当ですか!!凛花さん!!」
「ええ、ミカのドラゴンスレイヤーを変形させるの」
「変形ですか・・・・。変形しても強い技を使えないんじゃ・・・・・」
「はっ!!」
凛花さん残念です。少し期待した私が恥ずかしいです。そういえば凛花さんは少し抜けているところがあるんでした。忘れてました。なんかすみません。
「ででででも、へへへ変形させるだけでも、ままま魔力は使うわよ!」
変形でも魔力は使うのか・・・・。しかたない、これ以上いいアイデアが浮かばないし、凛花さんの案にのるしかない。
「わかりました。できるところまではやってみます」
「そそそそのいきよ、ミカ!」
なんだか凛花さんが言っていることが嘘のように聞こえてしかたがないんですけど・・・・。
でも、変形って言ってもなー。私的にはこんな大剣よりかわいい杖とかが良かったんだけどなー。一回、変形させてみようかな。
確か、大切なのはイメージだったよね?杖のイメージをすれば変形するのかな?一回やってみる価値はあるし。
私は目をつぶり、かわいい杖のイメージをした。
「!?」
すると、ドラゴンスレイヤーが私の手から離れて、黒く光ったかと思うと、赤い宝石のかけらのようなものが埋め込まれている杖になった。
想像した杖とは全然違うけど!!
「ミカはやっぱり慣れるのが早いね。大体の魔力の使い方はわかってきたようだね」
後ろからマサトが歩いてきた。
「杖に変形したのか。よくがんだったね、よしよし」
そう言ってマサトが私の頭をなでなでする。
子供扱いされているように思えたが、マサトだからいいや。
「杖ってどう使えばいいんだろう・・・・・」
私はそう言いながら、杖の先で地面を突いた。
「うぎゃー!!」
向こうのほうから奈々ちゃんの叫び声が聞こえた。
見るとなぜかビリビリしてる。
もう一度杖で地面を突く。
奈々ちゃんに雷が落ちる。
また突く。
雷が落ちる。
突く。
落ちる。
突く。
落ちる。
「やばいっ!面白い!」
「面白くない!!」
奈々ちゃんが怒って私のほうに走ってくる。
「なんで私を狙うのよ!!」
「いやー初めて魔力を使うから、コントロールできなくて」
「じゃあなんで私に全部落ちているのよぉ!」
そんなことを言われましてもねぇー。でも確かに魔力は使えた。これって私、結構成長したんじゃない?
その後もいろいろ変形させようとしたが、できたのはこの杖だけ、凛花さんが言うにはもっと魔力を高めれば他の種類にも変形できるらしい。
後は魔力を全部使うだけ。私がそう思っていたら。
「!?」
空に扉が現れたかと思うと、いきなり眩しい光が私たちを襲った。
「何この光!?」
眩しすぎて目が開けられない。
「天国の扉!!」
凛花さんが驚いたように叫ぶ。
「なんですか?ヘブン何ちゃらって?」
「天使が来るわ」
「!?」
また天使が!!私はその瞬間、ミカエルを思い出した。
だが、空に現れた扉からは天使ではなく、二人の人が降りてきた。
「ま、まさか聖職者!!」
二人の仮面を被った男が私たちの前に現れた。
背中には大きな十字架を背負っている。
「我らは神に導かれし者。神の敵である、貴様らを排除する」
「聖職者、それは神に従う人間よ」