合宿始ります!?
デーラル家の襲撃かがあってから、凛花さんは機嫌が悪い。
確かに、あの男が言ったことには私もイラっとはきた。
だがあれから一週間が経って、ゴールデンウィークに入ってもまだ機嫌が悪いのだ。
「咲さん、凛花さんはまだ機嫌悪いんですか?」
「ええ、どうしてかしら・・・。ちょっと話したいけどあの雰囲気じゃ話しかけずらいわね」
他のみんなを見ても困っているようだ。
いつも明るい凛花さんがこんなに機嫌が悪いと、生徒会室がとても静かだ。
「どうしよう・・・」
私たちが考え込んでいると凛花さんがいきなり立ち上がった。
「ああーもうイライラする!ゴールデンウィークだっていうのにのに生徒会があるのよ!ちょっとぐらいは息抜きさせななさいよ!もうがまんできない!みんな今から出かけるわよ!」
すごい迫力と怒っている理由に私たちはド肝を抜かれた。
怒っている理由がゴールデンウィークなのに生徒会があるからなの?まぁ私も休みがほしかったけど、そこまで怒っていないよ!?
「何よみんな私を見て・・・。私を見つめる時間があるんだったら出かける準備を早くしなさい!」
「は、はい!」
私たちは慌てて出かける準備をするって、どこに行くの?
「り、凛花さん、出かけるってどこへですか?」
「それは行ってからのお楽しみよ。とにかく、今は準備をしなさい!二日間泊まる準備を早く!」
二日間泊まるって、合宿ですか!?
私たちは不安が積もる中、準備をした。
「凛花さん、準備ができました」
「わかったわ、といっても行くのは夜だけどね」
じゃあ今準備した意味ないじゃん!
「いつもみたいに扉を出して行きたいんだけど、今日は特別に飛んで行くわ、ミカの特訓にもなるからね」
「と、飛ぶってどうやって!?」
「ついてきなさい」
そう言って凛花さんは私たちを屋上に連れてきた。
「こうするのよ」
そう言って、凛花さんは自分の背中からまるでコウモリのような羽を出した。
「コウモリの羽をイメージしてみなさい」
私は目を閉じでコウモリの羽をイメージした・・・・・・・バサッ。
「ミカ、自分の背中を見てみなさい」
凛花さんに言わた通りに、自分の背中を見た。
「あっ!羽がはえている!」
凛花さんたちと同じような羽が私の背中からはえていた。
「ここまではみんな順調なのよねー。問題はここからよ。ミカ、飛んでみなさい」
「と、飛ぶんですか!?」
急に飛べって言われても今まで飛んだことないしって当たり前か。
私があたふたしている間に私以外のみんなは羽をばたつかせながら飛んでいる。
「ミカ、大切なのはイメージよ!」
イメージ・・・・。飛ぶイメージ・・・・羽を動かすイメージ。
私は羽を動かすイメージをしていると、体がふわっと浮かんだ。
後ろを見ると羽が動いている。
そして徐々に凛花さんたちがいるところにまで飛んで行った。
「わぁぁ。高い・・・」
「えっもう飛べたの!?じゃなくて、よ、よくやったわね、ミカ!私の思った通りだったわ!普通なら半日はかかるんだけど」
凛花さんがなぜか動揺している。ふと凛花さんの後ろを見ると、なぜか咲さんと奈々(なな)ちゃんが驚いたように私を見ている。
「咲と奈々なんか、一週間も飛べなふごっ!?」
凛花さんが言っている途中で、咲さんと奈々ちゃんが凛花さんと口を手でおさえた。
「凛花さん、それだけは言わないで!」
「凛花、それ以上言ったら・・・殺すわよ・・・・・・」
奈々ちゃんは顔を真っ赤にして、咲さんからは殺気が出ている。咲さん怖いです。本当に怖いです。
「落ち着いて二人とも、そんなこと言わないわよー。あなたたちが飛ぶのに一週間もかふごっ!」
またも咲さんと奈々ちゃんが凛花さんの口を手でおさえている。
「凛花さん、もうやめて・・・・・・」
「凛花、消えるか死ぬか、どっちか選びなさい」
奈々ちゃんは今にも泣きそうな表情をしている。咲さんは相変わらず怖いです。もう主人と下僕の関係を忘れていますね。
「ぷはっ!危うく死ぬところだったわ。それよりも、ミカが思っていたよりも早く飛べるようになったから、もう今すぐ行くわよ」
「凛花さん、夜に行く予定じゃあ?」
「あぁ、ミカが飛べるようになるのが夜くらいかなって思ってただけよ」
もう出発か・・・・。本当にどこに行くんだろう。
「それじゃあ、しゅっぱーつ!」
凛花さんが子供のように元気いっぱいに叫ぶ。
飛んで行くこと二時間ほど、ある山奥の家に着いた。
さすがに二時間も飛ぶのは初めてだったからというか今日初めて飛べたんだけど、結構疲れた。
そんな疲れよりも今目の前にある家に目が釘付けになっている。
その家は、何といっても大きい。こんな山奥にすごく大きい家。まるで何かの基地のようだ。
「さぁ、みんな疲れていると思うから中で休んで!」
そう言って凛花さんは、家の扉の鍵を開ける。
「ガチャリ」
鍵が開けられた扉を開く。中はなんとも言えないほど豪華さ。
「凛花さん、こ、ここどこですか?」
「ここはね、私の別荘よ!別荘というか、もともと住んでいたんだけど、マサトの家に住むようになったから、今は別荘ね」
「おかえりなさいませ、凛花様」
奥のほうから、メイド服を来た、女の人が出てきた。
だがそれだけではない。その顔に見覚えがある。
「ただいま、千香」
そう、この前凛花さんが通信していた相手であった、千香さんだ。
「あっ、ミカにはまだ言ってなかったわよね?千香は咲の妹であり、私のメイドでもあるのよ」
「千香と申します。今後もよろしくお願いいたします」
丁寧にお辞儀までしている。
生で見ると、通信の時よりもよりきれいな人だ。
「ところで凛花様」
「ん?何?」
「こちらに皆様をおよびしたということは、あれをするのでございますか?」
「そうよ」
そう言って凛花さんはニヤッと笑う。
何かとてつもないことが待っていると、私は確信した。
「り、凛花さん、な、何をする気ですか?」
私がそう問いかけると、また凛花さんは笑い。
「今日からすることは、奈々とミカは知らないこと。咲はもうすでに体験していることよ」
「咲さん本当ですか!?」
「ええ、でもあれを思い出しただけで寒気がするわ」
と、そのことを思い出したのか、体が震えている。
「今日からすること、それは・・・・・魔力をすべて使い果たすまで食事や睡眠を許さないわ!」
えっ、魔力をすべて使い果たすまでって言っても、奈々ちゃんはともかく、私は魔力が少ないから結構楽なほうじゃ・・・・・。
「ミカ!今、私は魔力が少ないから楽だと思ったでしょ!?」
えっ、何この人?エスパー?宇宙人?なんでわかるの!?
「まったく、これだからだめなのよ。ミカ、自分の魔力を見てみなさい。今のあなたなら自力で魔力を数値化できるわ」
私は凛花さんにそう言われ、羽を出したときのように数字を出すイメージをした。
すると私の胸のところに数字が出てきた。
「えっ!?」
だが出てきたのは前見たのと同じ数字ではなく、もっと大きい数字だった。
「三万六〇〇〇!?」
前見たときと比べ物にならない数字。
「マサトとの二週間のトレーニングが効いたようね」
あのトレーニングか!!
「ということで、今からスタートよ!」
凛花さんの合図とともに始まったこの試練。今回は奈々ちゃんもいるので少し心強い気もする。
だが、試練はもっと過酷なものであった。